弁理士とは?

 弁理士とは、主に特許、実用新案、意匠、商標に関する特許庁における手続の代理、鑑定、その他の事務を行うことを専権業務とする国家資格です。そして、弁理士になるためには、以下の方法があります(なお、弁理士登録が必要となります)。
 @弁理士試験に合格する。
 B特許庁で通算7年以上、審判または審査の事務に従事する。
 A弁護士の資格を取得する。
 また、資格取得後の主な進路には、企業内弁理士(つまりサラリーマン)、事務所内弁理士(つまり事務所所員)、事務所経営する弁理士(つまり事務所所長)があります。

 ※具体的な仕事内容については、「弁理士の仕事について」をご覧下さい。

企業内弁理士

 企業内弁理士として仕事をする場合は、資格取得が社内でどの程度評価されるのかと、登録費用(約20万)、弁理士登録前の実務修習費用(約12万)、弁理士会費(月2万)を会社が負担してくれるかを確認して下さい。但し、資格のみを取得しておき、必要になるまでは登録しないという手段もあります。なお、資格取得後、企業の知財部に就職又は転職したいという方については、現在はかなりの需要があります。

事務所内弁理士

 資格取得後に事務所に転職をお考えの方は、現在の給与と転職後の給与について検討をして下さい。経験年数や事務所によっても大きく異なるのですが、中小規模の事務所勤務の弁理士の給与は、大企業のサラリーマンの給与と大きく差はありませんし、むしろ下がる場合があります。さらに、35歳以上で知財経験もない場合、そもそも転職自体がかなり困難です。また、文系大卒で知財経験がない場合も、転職は困難ですので、勉強をする場合はそれを覚悟してから望んでください。個人的には、退職して勉強を始めるのはお勧めしません。特にご家族がいる方は止めた方が無難です。

無職又は学生の方

 現在無職又は学生で、資格取得後に事務所に勤務したいという方についても、35歳以上で知財経験がない場合、または文系大卒で知財経験がない場合、事務所への就職は困難ですので、覚悟してから勉強を始めてください。但し、20代〜30代前半の若い方ならば、希望する条件にもよりますが、資格取得後はほぼ事務所に就職できると思います。なお、資格取得後に企業の知財部に就職したいという方については、かなり需要があります。

弁理士の魅力

 結局、弁理士資格を取得しても、事務所を開業して成功した一部の弁理士以外は、それほど儲かりません。むしろ、企業内弁理士となるほうが給与面では厚遇となる場合も少なくありません。そのため、高給を期待してこの業界へ入ってしまって、落胆される方も多いと思います。かといって、弁理士業に魅力が無いわけではありません。大きな魅力の一つは、定年が長く、事務所によっては65歳以上でも継続して仕事ができるという点です。また、転職にも強く、実務経験者であれば転職に困りません。

 もう一つの魅力は、自由度が高いということです。企業、事務所、事務所経営の他、コンサルティング又はマネージング会社の経営等、実力と工夫次第で様々な仕事を行える可能性があります。さらに、弁理士の仕事の枠組みを広げるべく、弁理士会等が活動しておりますので、今後はその自由度がより広がると予想されます。また、知的財産のプロフェッショナルを自称するならば、弁理士は必須の資格であると思います。少なくとも明細書を書く人間としては、弁理士の資格を一つの目標とすべきと、私は考えます。

弁護士の脅威

 ところで、理系弁護士の増加に伴い、弁理士業へ弁護士が進出してくるのではないか? という話も聞かれますが、このような不安は杞憂であると思います。というのも、理系弁護士が進出してくる業務は訴訟系等の一部の業務に限られると考えるからです。その上、このような業務は従来から弁護士との協同で行われていたものでもあり、弁理士業務のシェアが大幅に侵食されるような不安はないものと思われます。なお、弁護士が対特許庁手続に参入してくるという不安を持つ方もいるかもしれません。しかし、弁理士業界で一人前になるのは、5年の実務経験が必要であると言われており、わざわざ実務経験を積んで参入してくるような奇特な弁護士はいないと予想します。

弁理士の平均年収

 ところで、よく頂く質問に「弁理士の平均年収がどの位か?」というものがあります。2011年に公開された「弁理士試験アンケートの結果」によると、弁理士の平均年収は、2005年が1089万円、2006年が1081万円、2007年が1059万円、2008年が1026万円、2009年が943万円と、年々低下傾向にあります。弁理士試験アンケート第34頁というデータがあります(日本弁理士会調べ)。
 なお、所属別の平均年収は以下の通りです。
特許事務所経営の弁理士:2005年が1653万円、2006年が1631万円、2007年が1605万円、2008年が1529万円、2009年が1359万円
特許事務所勤務の弁理士:2005年が817万円、2006年が826万円、2007年が825万円、2008年が824万円、2009年が789万円
企業等知財部門の弁理士:2005年が655万円、2006年が670万円、2007年が681万円、2008年が700万円、2009年が699万円


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