転職について

特許事務所・企業知財部への転職

 ※知財業界に弁理士として転職をお考えの方は、まずは「弁理士の仕事について」をご覧になって、どのような仕事なのかの感触をつかんでください。

 また、「知財で働く(コラム)」「知財パーソンの履歴書」(いずれも知財ナビ)が参考になると思います。
 理系大卒の方であって、35歳以下であれば現在の職にかかわらず特許事務所・企業知財部への転職が十分可能です。また、文系大卒又は35歳以上の方であっても、知財(研究開発)経験者であれば特許事務所・企業知財部への転職が可能であると思います。特許事務所の場合、その多くが弁理士試験への時間的又は金銭的援助をしていますので、特に弁理士試験合格を目指す方にとっては転職が有利に働きます。さらに、実務を行いながら勉強をするのと実務を知らずに勉強をするのでは、理解度が全く異なります。
 また、転職活動をする前に将来のビジョンについて良く考えて欲しいのですが、私が思いつく範囲では、独立開業コース、パートナーコース、新ビジネスコース、知財部部長コース、プロフェッショナルコースがあります。

転職情報サイト

 転職先の選び方としては、「関連求人が多い転職情報サイト」で紹介しているようなサイトで探す方法があります。もちろん、転職後の一般的な条件や弁理士試験への支援制度の有無は必ずチェックして下さい。なお、管理人未使用のサイトがあるので、その内容を保障するものではありません。ご利用は、個人の責任でお願いします。

知財・特許の年収と弁理士の年収

 企業知財部の年収は、弁理士であっても通常の社員と同程度です。(参考で506万円(2010〜2011年)「平均年収:知財・特許」(DODA))一方、弁理士の年収はピンきりであり、例えば、200万〜1億円と広い範囲に跨ってます。参考までに、一説によると弁理士の平均年収は800万円だそうです(「資格と職業の平均年収」(偏差値ランキング図書館))。以前は1000万円といわれていたので、ずいぶん落ちましたね。

転職活動を始める前に

 転職活動を始める前に、将来どうしたいのかというビジョンを描いて下さい。独立開業して特許事務所を経営したいのか?(独立開業コース) 大手特許事務所のパートナーになりたいのか?(パートナーコース) 弁理士の肩書きを生かして新ビジネス(知財コンサル、知財価値評価等)を始めたいのか?(新ビジネスコース) 企業知財部で知財部長になりたいのか?(知財部部長コース) それとも、明細書執筆のプロフェッショナルの道を極めたいのか?(プロフェッショナルコース) それによって、転職先も当然に異なるからです。

 私だったら独立開業コースと、パートナーコースの方は、大手又は中堅特許事務所への転職をお勧めします。独立開業する場合には経験と信頼の実績が有効ですので、大手特許事務所勤務という肩書きを取得することと、優良顧客とのパイプを作れることが有利に働くからです。パートナーコースについては、顧客確保に困っているような小事務所のパートナーになってもメリットが少ないというのが理由です。

 なお、独立開業コースの変形として、事務所を承継するという手段があります。というのも、弁理士業界では個人事務所といって一人の弁理士が経営している事務所がほとんどですが、このような事務所所長が高齢や事故等で引退せざるを得ない場合に、外部から弁理士を招き入れる必要があるのです。この場合の採用に際しても、大手特許事務所勤務の肩書きが生きてくると思います。ただし、承継時には事務所の事業の買い取り(場合によっては数千万円)が必要となることもあります。
 さらに、将来の承継を計算して、高齢の個人事務所に勤務するという手段もありますが、90歳でなお現役という強者もいるので、承継時期を計算できないというデメリットがあります。最悪の場合は、名前だけの所長に一生牛耳られてしまいます。

 次に、新ビジネスコースと、知財部部長コースの方は、企業知財部への転職をお勧めします。知財部部長コースについては、言わずもがなですが、新ビジネスコースについて企業知財部を勧めるのは以下の理由からです。すなわち、新ビジネスの多くの場合は、企業知財部が顧客となる可能性が高いと考えるからです。そのため、新ビジネスを成功させるためには、企業の考え方を知っておくことが有利に働くと思われるからです。

 最後にプロフェッショナルコースの方についてですが、このコースの方は大手特許事務所又は企業知財部()への転職をお勧めします。というのは、明細書の道を極めるには、技術分野が特定されており且つ執筆回数が多い方が有利だと考えるからです。この点、執筆回数が多い大手特許事務所の場合は、特定顧客に限定される可能性が高いので、一つの分野に絞ることができます。企業知財部については、言わずもがなですね。但し、注意して頂きたいのは、出願件数が多い企業であっても、社内で明細書の執筆を行っていない場合があるということです。なお、社内執筆件数が多い企業としては、キヤノンさんやエプソンさんが有名です。

転職先の調べ方

 まずは、どのような分野の企業又は特許事務所で働きたいのかを考えましょう。その上で、中途採用している企業や特許事務所をピックアップします。この際、転職先の調べ方としては、以下に添付するような転職情報サイトで探す方法があります。もちろん、転職後の一般的な条件や弁理士試験への支援制度の有無は必ずチェックして下さい。なお、管理人未使用のサイトがあるので、以下のサイトは、その内容を保障するものではあり ません。ご利用は、個人の責任でお願いします。
 その後、口コミサイトで、実際の企業の様子を調べることも有効だと思います。ただし、退職者の偏見が混じる可能性がある(あ頼った情報が入る)点にご注意ください。

蛇足

 個人的には、以下の条件を備える事務所が良い事務所だと思います。
 @弁理士試験前に有給休暇を取れる。
 A弁理士試験勉強の費用的援助がある。
 B弁理士会の登録費用が事務所負担である。
 C弁理士の基礎研修費用が事務所負担である。
 D弁理士の義務研修を業務時間内に受講できる。※業務外だと、有給を取得して受講する必要があります。
 E福利厚生が充実している。特に厚生年金に加入している及び退職金制度があること。
 F弁理士が2人以上在籍している。※所長弁理士のみの事務所だと、所長に万が一の事態があった場合、事務所が潰れてしまいます。
 G主要顧客が分散しており、1社に集中していない。※顧客との連鎖倒産を防ぐために、メイン顧客が3社以上あり、且つ、出願依頼の40%以上を占める顧客がいない方が良いです。

転職活動のアドバイス

 @転職情報サイト登録前に履歴書、職務経歴書及び自己PR(任意)を作成しておくことが望ましい。
  履歴書の志望動機には、志望先で貢献できることを簡単に記載するとよい。
  経験者の場合、職務経歴書には平均処理件数(出願・中間)を書いておくとよい。
 A転職支援会社(エージェント)との打ち合わせは、面談を要求されているが、電話ですることもできる。
 Bエージェントによって同一事務所の募集条件が異なる(ex.600~1000万円→800~1000万円)ので、見比べも重要。
 C転職情報量が多いのはパテントサロン 求人スクエア。  Dただし、年収の交渉などを代行してもらえる点で、エージェントの利用も有効。

関連求人が多い転職情報サイト

 「パテントサロン 求人スクエア」
 パテントサロン:求人情報の多さはピカイチ。ただし、エージェントとは異なり、年収交渉などは応募者自身が行う必要がある。

 「日本弁理士会 求人情報」
 日本弁理士会:求人情報の掲載数は、おそらく最多。ただし、無料で掲載できるためか玉石混合との噂。

 ※以下の求人サイトでは、特許のフリーワードで検索したり、法務、知財、管理、コンサル、士業等の分類から関係求人を検索できます。
  また、エージェントが求人の紹介をしてくれるサービスもあります。

 MS-Japan(リーガルネット):エージェントにもよるだろうが、履歴書の内容等、細かく指導を受けられたので高評価
 基本は来社しての面談であるが、電話面談可能である。
 大手特許事務所の求人がある点で評価できる。

 
 リクナビNEXT:じゃらんなどのリクナビの他サービスとIDを共通化できる。
 検索時に事務所名までわかるので、応募選択が楽である。

 
 DODA:電話での面談であるため気楽であり、登録後即日に電話がかかってきた!
 関係のない求人情報(ハウスクリーニング等)をメールで提案され、設定を変えても改善されない。
 検索時に事務所名までわかるので、応募選択が楽である。
 マイページでの登録事項が履歴書代わりになるため、入力の手間がある。


 キャリコネ:毎日求人情報がメールされる点で評価できる。
 希望しない求人情報(ハウスクリーニング等)をメールで提案され、設定を変えても改善されない。


 マイナビ:大手だけに、サイトが使いやすい点で評価できるが、弁理士の求人数は少ない。

 REX弁理士キャリア:来社しての面談である。(電話面談可能)

 知財キャリアセンター(アドバンスフューチャー):来社しての面談である(話が長かったが、事務所の実情を聞けた)。
 求人検索できるが、勤務地でしか絞れないので調べにくい。

 PatentJobAgent(アスタミューゼ株式会社):数か月ごとに現状確認のメールがくるので、継続的に転職先を探す場合にはありがたい 。
 求人検索できるが、勤務地でしか絞れないので調べにくい。

 ELITE-NETWORK(エリートネットワーク):来社しての面談である。

 ジャスネットキャリア:弁理士の求人に限定して検索できる。

 ※以下の求人サイトでは、エージェントが求人の紹介をしてくれるサービスがあります。
 
 リクルートエージェント:関係のない求人情報(タクシードライバー)をメールで提案された。
 企業が得意であり事務所は不得手とのことであった。また、面談後のアンケートがある。

 
 マイナビエージェント:未体験。情報求む。

 知財・弁理士お仕事ナビ(アスタミューゼ株式会社):電話での面談であるため気楽である 。
 エージェントは、かなり業界に詳しい印象であるようであった。
 大手特許事務所の求人があった。

 Patent CAREER AGENT(テクノキャリア):来社しての面談である。

 エン ミドルの転職:登録閲覧のみ であり、関係のない求人情報(安全管理責任者)をメールで提案された(設定変更可能)

 SACT弁理士キャリアナビ:求人件数が少ないような気がした。

 CareerRelease40(キャリアリリース):メールでの求人紹介は妥当な内容である。

 「Pasonacareer」(パソナキャリア):電話での面談であるため気楽である。

転職先の絞り方

口コミを調べる

 大手事務所の場合には、以下の口コミサイトで評判を調べることができます。なお、一般論ですが、いわゆる最大手に分類される事務所は仕事量の割に給与が低いと言われています。ただし、この出願減少時代であっても、売り上げを維持できる点で魅力的な転職先ともいうことができます。

 「転職会議」
 「カイシャの評判」
 「Vokers」

出願件数を調べる

 ピックアップが済んだら、実際に履歴書を送付する送付先を絞り込みます。ここで、絞り込む条件として使える情報が、出願件数です。出願件数の多い事務所は仕事量が安定していますので、安定性を求める場合には良い事務所といえます。事務所の出願件数を調べる場合、「知財ランキング」で調べることができます。また、J-Plat Patの「特許・実用新案テキスト検索」で事務所所長の名前(業務法人の場合は事務所名)を代理人欄に入力して検索することもできます(年間の公開件数で調べましょう。例えば、2017年の出願件数を調べたい場合は出願日の検索項目を選択して「2017?」と入力します)。なお、出願から公開公報の発行までには1年半のタイムラグがあります。

特許事務所の技術分野を調べる

 上記の方法で目当ての事務所の出願件数が分かったら、ついでに主な出願分野もチェックしておきましょう。「特許・実用新案テキスト検索」の一覧表示後に、文献番号をクリックすると公報を見ることができますので、その画面で「要約」や「書誌」を見ることでチェックできます。なお、ほとんどの場合は、発明の名称を見れば分野がわかりますが(例えば、「〜プログラム」の名称が多ければ、ソフトウェア系が得意な事務所といえます。)、要約書の内容をチェックするとより正確です。

特許事務所の顧客を調べる

 上記の方法で目当ての事務所の公報をチェックする場合は、さらに主な顧客もチェックしておきましょう。「書誌」項目の出願人を見ればチェックできます。当然、大企業を大口顧客として持っている事務所は、安定性が高いといえます。

社内代理人の有無の調べ方

 「弁理士ナビ」のマルチ検索(弁理士)で、事務所名欄に目当ての企業の名前(一部でも可)を入力して検索を行います。その後、ヒットした弁理士の名前を、J-Plat Patの「特許・実用新案テキスト検索」で代理人欄に入力して検索します。その結果、公報がヒットすれば、社内代理人を使っている(社内で明細書を執筆している)と判断できます。但し、この方法は100%確実というわけではありません。あくまで、その可能性が高いだけですので、最終的には採用面接などの場面で確認した方がよいでしょう。


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