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商標法36条-40条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

商標法36条(差止請求権)

第一項

 商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

 ・辞書に登録商標と付さないで単に商標を書いた場合は、普通名称化させるおそれのある行為に該当する。しかし、普通名称化させるおそれのある行為に、差止請求までは認められない。

第二項

 商標権者又は専用使用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

商標法37条(侵害とみなす行為)

第一項

 次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。

 ・商標法における商標の保護では、商標的機能(自他商品等識別機能、出所表示機能、品質保証機能、広告宣伝機能)と関わりがない使用態様のものは、登録商標の正当な権利行使に影響を及ぼすことはないと解される。商標的機能と関わりがない使用態様に、権利侵害を認めると公正な競争秩序を害するためである。

第一号

 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用

 ・いわゆる禁止権について規定している。
 ・商37条2号以下は、何らかの意味で侵害と関連づけられる目的を構成要件とし、この目的がない限り可罰行為とはならない。一方、本号は目的を必要としない。
 ・商標の類否は、同一又は類似の商品等に使用された商標が、外観、観念、称呼によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して、全体的に考察される。


第二号

 指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であつて、その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為

 ・譲渡、引渡し又は輸出の目的がなければ本号には該当しない。
 ・譲渡又は引き渡しさせるために所持する行為は、必ず譲渡又は引き渡しするために所持する行為に該当する。
 ・指定商品の包装に登録標章を付したものを販売目的で所持する行為は、その中身が商標権者自身の製品であり且つ新品であったとしても、侵害とみなされる。中身が商標権者自身の製品であり且つ新品であることは、侵害の成立になんら影響しないからである。


第三号

 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為

 ・役務を提供するために所持又は輸入する行為が該当する。

第四号

 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為

 ・役務の提供のために加えて、役務を提供させるために譲渡又は引き渡す行為、あるいはその譲渡又は引渡しの為に所持又は輸入する行為が該当する。
 ・登録商標が付され且つ役務の提供を受ける者の利用に供される物であっても、単にそれを輸入する行為は使用の定義には加えられていない。役務の提供の段階とは直接の関係を有しないためである。しかし、役務を提供するため又はさせるために輸入する行為は、予備的行為とみなして本号で侵害とみなす行為に加えた。


第五号

 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為

 ・商標を付した物ではなく、侵害行為を組成するおそれのある物の所持を禁じている。
 ・使用するために所持する行為が該当する。使用する目的がなければ本号には該当しない。


第六号

 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為

 ・商標を付した物ではなく、侵害行為を組成するおそれのある物を、他人に使用をさせるために譲渡、引渡しす行為、又はその譲渡若しくは引渡しのために自ら所持する行為が該当する。

第七号

 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をし、又は使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造し、又は輸入する行為

 ・商標を付した物ではなく、侵害行為を組成するおそれのある物を、使用し又は使用させるために製造又は輸入する行為が該当する。
 ・善意の他人に委託して製造させる場合は、委託者が本号に該当するのであって、製造人はその手足として働くにすぎない。


第八号

 登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し、譲渡し、引き渡し、又は輸入する行為

 ・例えば、商標印刷用の金型が該当する。
 ・目的は不要である。


商標法38条(損害の額の推定等)

第一項

 商標権者又は専用使用権者が故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した商品を譲渡したときは、その譲渡した商品の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、商標権者又は専用使用権者がその侵害の行為がなければ販売することができた商品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、商標権者又は専用使用権者の使用の能力に応じた額を超えない限度において、商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を商標権者又は専用使用権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。

第二項

 商標権者又は専用使用権者が故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、商標権者又は専用使用権者が受けた損害の額と推定する。

第三項

 商標権者又は専用使用権者は、故意又は過失により自己の商標権又は専用使用権を侵害した者に対し、その登録商標の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。

 ・商標権者、使用権者のいずれもが使用していない場合でも原則損害賠償は認められるが、登録商標に顧客吸引力が全くみとめられず商品の売り上げに全く寄与しないことが明らかな場合は、得られるべき利益としての使用料相当額の損害も生じていないと解されるので、損害賠償は認められない(損害不発生の抗弁)。

第四項

 前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、商標権又は専用使用権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

商標法38条の2(主張の制限)

第一項

 商標権若しくは専用使用権の侵害又は第十三条の二第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する金銭の支払の請求に係る訴訟の終局判決が確定した後に、次に掲げる審決又は決定が確定したときは、当該訴訟の当事者であつた者は、当該終局判決に対する再審の訴え(当該訴訟を本案とする仮差押命令事件の債権者に対する損害賠償の請求を目的とする訴え並びに当該訴訟を本案とする仮処分命令事件の債権者に対する損害賠償及び不当利得返還の請求を目的とする訴えを含む。)においては、当該審決又は決定が確定したことを主張することができない。

 ・商39条で準用する特104条の3により、侵害訴訟の当事者は商標登録の有効性を主張立証する機会と権能が保障されているためである。

第一号

 当該商標登録を無効にすべき旨の審決

第二号

 当該商標登録を取り消すべき旨の決定
 ・特104条の4とは異なり、異議申し立てによる取消決定の確定についても規定している。

商標法39条(特許法 の準用)

第一項

 特許法第百三条 (過失の推定)、第百四条の二(具体的態様の明示義務)、第百四条の三第一項及び第二項(特許権者等の権利行使の制限)、第百五条から第百五条の六まで(書類の提出等、損害計算のための鑑定、相当な損害額の認定、秘密保持命令、秘密保持命令の取消し及び訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)並びに第百六条(信用回復の措置)の規定は、商標権又は専用使用権の侵害に準用する。

 ・意匠法と同様に特105条の7不準用のため、当事者尋問等の公開停止はできない。
 ・特104条の3を準用しているので、無効理由の存在を理由とした攻撃又は防御の方法を提出できる。


商標法40条(登録料)

第一項

 商標権の設定の登録を受ける者は、登録料として、一件ごとに、三万七千六百円に区分(指定商品又は指定役務が属する第六条第二項の政令で定める商品及び役務の区分をいう。以下同じ。)の数を乗じて得た額を納付しなければならない。

 ・登録料は区分の数による。指定商品(役務)の数は基準とならない。改正前の一出願一区分制度と対応させたためである。
 ・商標の場合は、原則10年分を一括納付する。
 ・不責事由に基づく追納はできない。特許でも第1〜3年分の特許料は、猶予された場合を除き、不責事由に基づく追納は認められていない。


第二項

 商標権の存続期間の更新登録の申請をする者は、登録料として、一件ごとに、四万八千五百円に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。

第三項

 前二項の規定は、国に属する商標権には、適用しない。

第四項

 第一項又は第二項の登録料は、商標権が国と国以外の者との共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、第一項又は第二項の規定にかかわらず、これらに規定する登録料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。

第五項

 前項の規定により算定した登録料の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

第六項

 第一項又は第二項の登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。


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