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商標法13条-15条の3

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

商標法13条(特許法 の準用)

第一項

 特許法第四十三条第一項 から第四項 まで並びに第四十三条の二第二項 及び第三項 の規定は、商標登録出願に準用する。この場合において、同法第四十三条第二項 中「次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月」とあるのは「商標登録出願の日から三月」と、同法第四十三条の二第二項 中「又は世界貿易機関の加盟国」とあるのは「、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国」と、同項 中「若しくは世界貿易機関の加盟国の国民」とあるのは「、世界貿易機関の加盟国の国民若しくは商標法条約の締約国の国民」と、同条第三項 中「前二項」とあるのは「前項」と読み替えるものとする。

 ・審査の遅延による影響が大きいため、優先権証明書の提出は商標登録出願の日から3月である。
 ・パリ条約の例による優先権主張と同様の規定は、商9条の3に規定されている。
 ・優先権証明書の電子的交換の規定は不準用である。

第二項

 特許法第三十三条第一項 から第三項 まで及び第三十四条第四項 から第七項 まで(特許を受ける権利)の規定は、商標登録出願により生じた権利に準用する。

 ・特許を受ける権利が、発明の完成と同時に発生するのに対して、商標登録出願により生じた権利は、出願することによって初めて生じる。従って、出願前の特許を受ける権利の承継は出願が第三者対抗要件であるとの規定、同一の特許を受ける権利について同日に二以上の出願があったときは協議により定めた者以外の者は第三者に対抗できないとの規定、同一の特許を受ける権利及び実用新案登録を受ける権利について同日に特許出願及び実用新案登録出願があつたときも同様とするとの規定は、準用していない。
・意15条と比較すると、職務発明の規定及び共同出願の規定を準用していない。

商標法13条の2(設定の登録前の金銭的請求権等)

第一項

 商標登録出願人は、商標登録出願をした後に当該出願に係る内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後商標権の設定の登録前に当該出願に係る指定商品又は指定役務について当該出願に係る商標の使用をした者に対し、当該使用により生じた業務上の損失に相当する額の金銭の支払を請求することができる。

 ・出願から登録までの問において、当該商標を第三者が指定商品又は指定役務について使用することにより生ずる出願人の業務上の損失を補填すべく設けられた。従って、損失が発生していなければ、たとえ警告をしても金銭的請求権は発生しない。なお、特許法の場合は、警告さえすれば実施料相当額を請求できる補償金請求権が発生する。また、上記趣旨より、金銭的請求権の発生の前提として出願人自らの使用が原則として必要とされる。
 ・商標登録出願に係る商標であることは、商標公報に掲載された事実だけでは推定されない。
 ・補償金請求権との相違:
 @公開は発生要件ではない。警告も公開後に限られない。
 A相手方が悪意であっても警告は必要である。
 B実施料相当額ではなく、悪意であっても損害がなければ金銭的請求権は生じない。
 C損害が必要であるので商標出願人の商標使用がなければ請求権は発生しない。
 ・防護標章登録出願も含まれる。

第二項

 前項の規定による請求権は、商標権の設定の登録があつた後でなければ、行使することができない。

 ・商標権の設定登録後でなければ権利行使できない。出願が拒絶された場合に、利害関係の調整が面倒になるからである。

第三項


 第一項の規定による請求権の行使は、商標権の行使を妨げない。

第四項

 商標登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、商標登録出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したとき、第四十三条の三第二項の取消決定が確定したとき、又は第四十六条の二第一項ただし書の場合を除き商標登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、第一項の請求権は、初めから生じなかつたものとみなす。

 ・最終的に商標権の設定の登録がある場合以外は、初めから存在しなかったものとみなされる。また、指定商標等が二以上あるときは、個々の商品等ごとに請求権が消滅する。

第五項

 第二十七条、第三十七条、第三十九条において準用する特許法第百四条の三第一項及び第二項、第百五条、第百五条の二、第百五条の四から第百五条の六まで及び第百六条、第五十六条第一項において準用する同法第百六十八条第三項から第六項 まで並びに民法 (明治二十九年法律第八十九号)第七百十九条 及び第七百二十四条 (不法行為)の規定は、第一項の規定による請求権を行使する場合に準用する。この場合において、当該請求権を有する者が商標権の設定の登録前に当該商標登録出願に係る商標の使用の事実及びその使用をした者を知つたときは、同条 中「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」とあるのは、「商標権の設定の登録の日」と読み替えるものとする。

 ・商37条を準用している。従って、類似範囲の使用、間接侵害行為に対しても金銭的請求権を行使できる。
 ・防護標章登録出願についても準用されている。ただし、防護標章類似範囲での使用に対する金銭的請求権は認めていない。
 ・特101条 、特102条 、特103条 、特104条、特104条の2、特105条の7は不準用である。
 ・類似の範囲も侵害とみなされる。

商標法14条(審査官による審査)

第一項

 特許庁長官は、審査官に商標登録出願を審査させなければならない。

商標法15条(拒絶の査定)

第一項

 審査官は、商標登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その商標登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。

 ・商7条は、直接は拒絶、異議、無効理由とならず、商3条1項柱書に反するとして扱われる。
 ・商6条1,2項は拒絶理由であるが、異議、無効理由とはならない。
 ・出願により生じた権利を承継しない者による登録は、拒絶、異議理由ではないが、無効理由となる。なお、商標は選択物であるので商標登録を受ける権利という概念がなく、冒認出願・共同出願違反の拒絶理由は存在しない。また、特49条7号に該当する規定はない。無効審判では、特123条1項6号に相当する規定がある。
 ・補正要件違反、商5条の規定に反する場合でも、無効、異議、拒絶理由とはならない。

第一号

 その商標登録出願に係る商標が第三条、第四条第一項、第七条の二第一項、第八条第二項若しくは第五項、第五十一条第二項(第五十二条の二第二項において準用する場合を含む。)、第五十三条第二項又は第七十七条第三項において準用する特許法第二十五条 の規定により商標登録をすることができないものであるとき。

 ・商8条1項がないのは、商4条1項11号違反となるためである。なお、商8条1項は拒絶理由ではないが、異議、無効理由となる。
 ・商7条は拒絶理由ではないが、商7条の2は拒絶理由である。なお、商7条1項違反は、商3条1項柱書に反するとして拒絶される。
 ・商8条1項は不準用である。

第二号

 その商標登録出願に係る商標が条約の規定により商標登録をすることができないものであるとき。

第三号

 その商標登録出願が第六条第一項又は第二項に規定する要件を満たしていないとき。

 ・商6条3項は不準用である。

商標法15条の2(拒絶理由の通知)

第一項

 審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、商標登録出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

 ・拒絶の理由が数個あるときは、同時に数個の拒絶の理由を通知することができる。
 ・議定書においては、国際事務局が領域指定の通報を行った日から1年の期間が満了する前に、国際事務局に対して拒絶の理由を記載した文書と共に、拒絶の通報を行うこととされている。

商標法15条の3

第一項

 審査官は、商標登録出願に係る商標が、当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の商標又はこれに類似する商標であつて、その商標に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものであるときは、商標登録出願人に対し、当該他人の商標が商標登録されることにより当該商標登録出願が第十五条第一号に該当することとなる旨を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えることができる。

 ・社会情勢等を反映して同一類似の商標が短期間に集中して出願されることが多いが、先の出願が順次最終的に処理されるまで後の出願はすべて処理待ち状態となり、全体としての処理が滞ることになる。ここで、出願人も先願未登録商標の存在を早期に知ることができれば、抵触する指定商品役務の減縮補正、登録の断念及び別の商標の出願、先願出願人との譲渡交渉等の対応が可能である。そこで、先願未登録商標が存在する場合には、それが未登録の場合でもその存在を理由とした拒絶理由を通知することができることとした。
 ・「第15条第1号に該当する」とは、商4条1項11号に該当することを意味する。
 ・商15条の2は強行規定であるのに対し、本項の意見書を提出する機会の付与は、任意規定である。

第二項

 前項の通知が既にされている場合であつて、当該他人の商標が商標登録されたときは、前条の通知をすることを要しない。

 ・先願未登録商標の存在を理由とした拒絶理由が通知されている場合、先願商標の登録後に再度の拒絶理由通知は不要である。
 ・拒絶理由で引用した先願商標の指定商品又は指定役務について補正があったとしても、改めて拒絶理由の通知をすることを要しない。


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