民事訴訟法−上訴−
特定侵害訴訟代理業務試験(いわゆる付記試験)のための備忘録です。
内容の正確性は保証いたしませんので、そのつもりでご覧ください。
控訴
地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対しては、控訴することができる(281条1項)。
不控訴の合意をしたときは、控訴権が発生せず控訴できない(281条1項ただし書)。また、控訴権は、放棄することができ(284条)、控訴期間経過により消滅する(285条)。なお、控訴が取下げられた場合(292条)、控訴審手続は終了する。
控訴は、本案の申立の全部または一部が排斥された場合に認められる(控訴の利益)。例えば、請求の一部を認容する判決には、原告および被告の両方に控訴の利益がある。
控訴の提起は、控訴状を第一審裁判所に提出して行う(286条)。
被控訴人は、控訴権の放棄・消滅後であっても、控訴審手続の口頭弁論終結に至るまで附帯控訴をすることができる(293条1項)。附帯控訴によれば、控訴人が申し立てた審判対象を拡張することができる。
また、第一審においてした訴訟行為は、控訴審においてもその効力を有する(298条)。
上告
高等裁判所が第二審又は第一審としてした終局判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所が第二審としてした終局判決に対しては高等裁判所に、上告することができる(331条)。
上告は、上告の利益及び上告の理由がある場合に認められる。例えば、判決に憲法の解釈の誤りがあった場合や(312条1項)、法律に従って判決裁判所を構成しなかった場合等に(同条2項)することができる。また、高等裁判所にする上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときもすることができる(同条3項)。なお、上告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、原判決に最高裁判所の判例等と相反する判断がある事件や、法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、上告受理申立てをすることができる(318条)。
上告の提起は、上告状を原裁判所に提出して行う(314条)。
上告裁判所は、上告の理由に基づき不服の申立てがあった限度においてのみ調査をする(320条)。また、原判決において適法に確定した事実は、上告裁判所を拘束する(321条)。つまり、上告審は法律審であり、原審までに確定された事実に基づき裁判が行われる。そのため、不要な場合は口頭弁論を開く必要がない。
抗告
口頭弁論を経ないで訴訟手続に関する申立てを却下した決定又は命令に対しては、抗告をすることができる(328条1項)。つまり、口頭弁論が保証されていない訴訟手続に関する申立てを却下した決定・命令に対しては、抗告することができる。また、決定又は命令により裁判をすることができない事項についてされた決定又は命令に対しては、抗告をすることができる(328条)。つまり、違式の決定・命令に対しては、抗告することができる。
抗告裁判所の決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがある場合などに限り、更に抗告をすることができる(330条)。
地方裁判所及び簡易裁判所の決定及び命令で不服を申し立てることができないものや、高等裁判所の決定及び命令に対しては、憲法解釈の誤り又は憲法違反を理由に、最高裁判所に特別抗告をすることができる(336条)。また、高等裁判所の決定及び命令に対しては、高等裁判所が許可したときに限り、最高裁判所に許可抗告をすることができる(337条)。
抗告は、抗告状を原裁判所に提出して行う(331条)。
通常抗告は、原裁判の取り消しを求める利益(抗告の利益)がある限りいつでも提起できる。一方、即時抗告は、裁判の告知を受けた日から一週間以内にしなければならない(332条)なお、不適法な再審の訴えの決定による却下(345条1項)、再審の事由がない場合の決定による請求棄却(同条2項)、及び再審開始の決定(346条1項)に対しては、即時抗告をすることができる(347条)。
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