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H20年短答試験問15

 特許法第29条の2(いわゆる拡大された範囲の先願)及び第39条(先願)に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。
 ただし、特に文中に示した場合を除き、出願は、外国語書面出願でも国際出願に係るものでも実用新案登録に基づく特許出願でも、分割又は変更に係るものでもなく、いかなる優先権の主張も伴わないものとする。また、明細書、特許請求の範囲又は図面についての補正は、行われないものとする。


枝1

 1 甲は、実用新案登録出願Aをした後、当該実用新案権の設定の登録を受ける前にAを特許出願Bに変更した。甲が自らした発明イは、A及びBの出願書類のうち、いずれも願書に最初に添付した図面のみに記載されていた。乙は、自らした発明イについて特許出願Cを、Aの出願の日後かつBの出願の日前にし、その願書に添付した特許請求の範囲にイを記載した。この場合、Bについて出 願公開がされても、Cは、Aをいわゆる拡大された範囲の先願として特許法第29条の2の規定により拒絶されることも、Bを先願として同法第39条の規定により拒絶されることもない。

 解答
 ○ 特46条4項、実14条3項及び特39条解説参照。実用新案登録出願Aを、実用新案権の設定の登録を受ける前に特許出願Bに変更した場合、特46条4項によりもとの実用新案登録出願Aは取り下げたものとみなされるため、Aが設定登録されることはない。よって、実14条3項の実用新案公報に掲載されることもなく、特許出願Cは、Aをいわゆる拡大された範囲の先願として特許法第29条の2の規定により拒絶されることはない。また、特39条は後願の請求項に係る発明と先願の請求項に係る発明が比較されるところ、発明イはBの図面のみに記載されているので、CはBを先願として特39条の規定により拒絶されることもない。

枝2

 2 甲は、自らした発明イについて学会で発表した後、発明イについて発明の新規性の喪失の例外(特許法第30条)の規定の適用を受けた特許出願Aをした。乙は、学会での甲の発表により発明イを知って、特許を受ける権利を甲から承継せずに、甲を発明者としてAの出願の日前にイについて特許出願Bをした。その後、A及びBは、いずれも出願公開がされた。この場合、出願Bは、出願Aに対し同法第29条の2に規定するいわゆる拡大された範囲の先願の地位も、同法第39条に規定するいわゆる先願の地位も有しない。

 解答
 ○ 特29条の2かっこ書及び特39条6項参照。発明者同一なので、出願Bは出願Aに対して拡大された範囲の先願の地位を有しない。また、乙は特許を受ける権利を甲から承継していないので、特許出願Aは冒認出願となり、出願Bは特39条の先願の地位も有しない。

枝3

 3 甲は、特許出願Aをし、その願書に添付した特許請求の範囲に自らした発明イを記載した。乙は、特許出願Bをし、その願書に添付した特許請求の範囲に自らした発明ロを記載し、その明細書の発明の詳細な説明のみに、自らした発明イを記載した。A及びBは、同日に出願され、その後、出願公開がされた。この場合、AとBの双方について特許をすべき旨の査定がされることがある。

 解答
 ○ 特39条解説参照。特39条は後願の請求項に係る発明と先願の請求項に係る発明が比較されるところ、特許出願Aの特許請求の範囲に記載した発明イは、特許出願Bの発明の詳細な説明のみに記載されているので、AとBの双方について特許をすべき旨の査定がされることがある。

枝4

 4 甲は、自らした発明イについて平成20年5月15日(木曜日)に特許出願Aをしたが、平成20年6月10日(火曜日)にAを取り下げた。甲は、平成20年7月10日(木曜日)に再度、特許出願Bをし、その願書に添付した特許請求の範囲にイを記載したが、乙が、自らした発明イについて特許出願Cを平成20年6月30日(月曜日)にしていた。Cが出願公開された場合、Bは、Cをいわゆる拡大された範囲の先願として特許法第29条の2の規定により拒絶される。

 解答
 ○ 特29条の2参照。題意より特許出願Bは分割に係るものではなく、特許出願Aに基づく優先権の主張も伴わないので、平成20年7月10日に出願したものとして取り扱われる。一方、特許出願Cは平成20年6月30日に出願されておりBの先願となるので、Cが出願公開された場合、Bは特29条の2の規定により拒絶される。

枝5

 5 甲は、自らした発明イについて雑誌に発表した後、発明イについて発明の新規性の喪失の例外(特許法第30条)の規定の適用を受けた特許出願Aをした。乙は、自らした発明イについて甲の雑誌の発表の日後Aの出願の日前に特許出願Bをした。この場合、Bについて出願公開がされても、Aは、Bをいわゆる拡大された範囲の先願として同法第29条の2の規定により拒絶されることも、Bを先願として同法第39条の規定により拒絶されることもない。

 解答
 × 特30条参照。新規性の喪失の例外の適用を受けても、雑誌に発表した発明に対してのみ新規性が喪失しなかったものとして取り扱われるのであって、出願日が遡及したり公開日を基準に審査されるわけではない。よって、雑誌の発表の日後Aの出願の日前に出願された特許出願Bによって、特29条の2の規定により拒絶されることも、特39条の規定により拒絶されることもあり得る。


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