よろしければ、ご意見、ご質問等をこちらへお寄せ下さい
独学の弁理士講座掲示板

メールはこちら



当サイトは
 リンクフリーです。

All Rights Reserved.




意匠法14条-15条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

意匠法14条(秘密意匠)

第一項

 意匠登録出願人は、意匠権の設定の登録の日から三年以内の期間を指定して、その期間その意匠を秘密にすることを請求することができる。

 ・登録意匠が意匠公報に掲載されると、出願人の将来の意匠傾向を他の業者に知られ、また転用意匠を作り出されるおそれがあるためである。なお、技術の上に技術を積み重ねる発明や考案では独占権の対象を秘密にしておくことは一般に許されない。しかし、意匠の対象は物品の美的外観であり累積的進歩が少ないので、例外的に認められている。
 ・秘密にしている期間が長いと権利者に過度の保護を与えるので、該期間は3年以内である。権利者と第三者との利益の調和を図るためである。
 ・分割、変更又は補正却下後の新出願と同時に秘密請求することはできない。しかし、パリ優先の場合は、日本出願と同時に秘密請求できる。但し、いずれも登録料の納付と同時に請求できる。
 ・出願前に公知となって新規性喪失の例外適用を受けた場合であっても、秘密請求をすることができる。
 ・秘密請求により、@意匠公報には形式的事項のみが記載され、A請求書等の請求が認められず、B差止請求には警告が要件となり、また、C侵害時に過失が推定されない。
 ・秘密請求する場合の手数料は、期間に応じたものではなく所定の手数料である。


第二項

 前項の規定による請求をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した書面を意匠登録出願と同時に、又は第四十二条第一項の規定による第一年分の登録料の納付と同時に特許庁長官に提出しなければならない。

 ・審査が出願時の予想よりも早期に終了した結果、秘密意匠の請求の必要が生じたような事態には対処するために、意匠登録の第一年分の登録料の納付と同時に場合も請求できることとした。なお、第一年分の登録料の納付と同時のみとしたのは、登録査定の謄本の送達後、任意の時期に秘密意匠請求を可能とした場合、当該請求が登録料の納付手続きとは別途なされることとなり、確実な秘密意匠請求の管理が困難となるため、また、秘密意匠請求がなされないものについても当該期間中に請求がなかったことを確認した上で登録を行う必要が生じ、迅速な登録及び公報発行に支障を来すためである。
 ・秘密請求に際しては、氏名と期間を書いた紙を提出するのみで足り、その旨の記載は不要である。また、物件を密封し秘密意匠と朱書きするとともに、別途手数料納付が必要である。
 ・登録料の納付は出願人だけでなく利害関係人もできるので、出願人が登録料の納付と同時に秘密意匠の請求を行おうとしても、請求の機会が失われてしまう場合がある。


第一号

 意匠登録出願人の氏名又は名称及び住所又は居所

第二号

 秘密にすることを請求する期間

第三項

 意匠登録出願人又は意匠権者は、第一項の規定により秘密にすることを請求した期間を延長し又は短縮することを請求することができる。

 ・秘密期間の短縮は元に戻せるため不利益行為ではない。よって、共同出願の場合は各人が短縮できる。
 ・秘密請求期間中に延長しなければならない。一旦公開された後に秘密意匠とされることにより第三者に不測の損害が生じるおそれがあるからである。なお、3年以上に延長することは許されない。


第四項

 特許庁長官は、次の各号の一に該当するときは、第一項の規定により秘密にすることを請求した意匠を意匠権者以外の者に示さなければならない。

 ・秘密請求期間経過後であれば、公報掲載前であっても何人も謄本の交付を請求できる。
 ・本項に該当する場合は、秘密請求した意匠が開示されるが、意匠権者への通知は不要である。なお、本項には該当しないが、閲覧等の請求があった場合は、意匠権者へ通知される。


第一号

 意匠権者の承諾を得たとき。

第二号

 その意匠又はその意匠と同一若しくは類似の意匠に関する審査、審判、再審又は訴訟の当事者又は参加人から請求があつたとき。

 ・秘密意匠の後願であることを理由として拒絶された後願出願人から請求があった場合等である。
 ・秘密期間中であっても拒絶理由は通知される。


第三号

 裁判所から請求があつたとき。

 ・秘密意匠の後願出願人が拒絶審決の不服に対して出訴した場合に、審理の必要上裁判所が請求する場合等である。

第四号

 利害関係人が意匠権者の氏名又は名称及び登録番号を記載した書面その他経済産業省令で定める書面を特許庁長官に提出して請求したとき。

 ・利害関係人、例えば、意匠権者から警告を受けた者が請求する場合等である。
 ・その他経済産業省令で定める書面とは、利害関係人であることを証明する書面である。


意匠法15条(特許法 の準用)

第一項

 特許法第三十八条 (共同出願)、第四十三条第一項から第四項まで(パリ条約による優先権主張の手続)及び第四十三条の二(パリ条約の例による優先権主張)の規定は、意匠登録出願に準用する。この場合において、同法第四十三条第二項 中「次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月」とあるのは、「意匠登録出願の日から三月」と読み替えるものとする。

 ・意匠登録出願又は実用新案登録出願に基づくパリ条約による優先権を主張する意匠登録出願の優先期間は、6月である。
 ・表現形式に関わらず、優先権証明書の中に、優先権主張出願に係る意匠と実質的に同一の意匠が示されていれば、両意匠は同一と認められる。また、両意匠に係る物品は同一でなければならないが、法令等の相違によってやむを得ず「意匠に係る物品」の名称が異なる場合には、両物品が同一と認められる。例えば、第一国出願に係る物品の名称等が「操作画面」で、表示部に画像が表示された携帯電話機が図面に記載されている場合に、優先権主張出願に係る物品が「携帯電話機」で、携帯電話機の(画像が表示された)表示部の部分意匠である場合は、優先権証明書記載の物品の名称等が物品を特定しなくとも、意匠に係る物品を優先権証明書の記載全体から総合的に判断して導き出せるならば(特定の物品に画像を表示させた図がある等)、両物品は同一と認められる。
 ・優先権証明書記載の物品の名称等が総括名称(例えば、容器)である場合に、そこから総合的に判断して導き出される複数の物品の区分のうち、一の物品の区分(例えば、包装用容器)を優先権主張出願に係る物品とした場合、両物品は同一と認められる。
 ・優先権証明書から認定できる意匠ごとに出願した場合は、第一国出願に含まれる意匠の数が、優先権主張出願に含まれる意匠の数と異なるとしても、両意匠は同一と認められる。また、優先権証明書に複数意匠が記載されている場合に、その内の一の意匠について優先権主張出願した場合、両意匠は同一と認められる。
 ・優先権証明書に複数意匠が記載されている場合に、その全部又は一部の構成物品を組物の意匠として優先権主張出願した場合、両意匠は同一と認められる。しかし、優先権証明書に記載された意匠と、記載されていない意匠とを合わせて、組物の意匠として優先権主張出願した場合、両意匠は同一と認められない。
 ・複数の第一国出願(例えば、ボールペンの蓋の出願Aと、 ボールペン本体の出願B)を組み合わせて優先権主張出願した場合(例えば、蓋+本体からなるボールペン)、両意匠は同一と認められない。
 ・優先権証明書に物品全体の形態が表されていない場合に、優先権証明書の記載や図面等を総合的に判断して導き出せる意匠について優先権主張出願した場合、両意匠は同一と認められる。一方、優先権証明書全体の記載を総合的に判断しても、不明な部分の具体的形態を導き出せない場合、両意匠は同一と認められない。例えば、正面図のみが記載された腕時計用文字盤の出願について、該正面図と一致し実線で表した一組の図面が記載された全体意匠の優先権主張出願をする場合、両意匠は同一と認められる。
  ・優先権証明書に具体的形態が表されている部分を、意匠登録を受けようとする部分とし、表されていない部分をそれ以外の部分とする部分意匠の優先権主張出願をした場合に、優先権証明書の記載を総合的に判断しても、具体的形態が表されている部分の物品全体に対する位置・大きさ・範囲を導き出せない場合、両意匠は同一と認められない。一方、優先権証明書の図面以外の記載又は物品特性等によって、物品全体に対する位置・大きさ・範囲を導き出せる場合、両意匠は同一と認められる。例えば、折り畳み式の携帯電話機の閉じた形態のみが記載された出願について、閉じた形態の部分意匠の優先権主張出願をして、開いた状態の内側を破線で表す場合や、表示部に画像が表示された携帯電話機の正面図と複数の画像の図面のみが記載された操作画面に係る出願について、携帯電話機の表示部の部分意匠を優先権主張出願し、携帯電話全体の形状を破線で表し、表示部に複数の画像の内の一の画像を記載する場合、両意匠は同一と認められる。しかし、例えば、包装用容器の模様のみが記載された出願について、包装用箱の一部に表された模様部分の部分意匠を優先権主張出願する場合、両意匠は同一と認められない。
 ・優先権証明書に記載された意匠が、意7条の規定に照らして一の意匠と認められる場合は、当該意匠と同じ意匠の単位について出願したときのみ、両意匠は同一と認められる。しかし、優先権証明書に記載された部品の意匠と、優先権証明書に記載されていない他の部品の意匠とを組み合わせた完成品の意匠について出願した場合、両意匠は同一と認められない。さらに、優先権証明書に記載された意匠が完成品(例えば、自転車)の意匠である場合に、完成品を構成する一の部品(例えば、自転車用サドル)について、出願した場合も、両意匠は同一と認められない。
 ・優先権証明書に複数の取り替え可能な部品を組み合わせた完成品の意匠が記載されている場合に、優先権証明書にない組合せを優先権主張出願した場合は、優先権証明書の記載全体から総合的に判断して、その組合せの態様を含めて第一国で意匠登録を受けようとするものである場合、両意匠は同一と認められる。しかし、その組合せについて第一国で意匠登録を受けようとするものか不明な場合、両意匠は同一と認められない。例えば、3つのボールペン本体及び3つのボールペン用蓋と、1の蓋付きボールペンと、組み合わせを変える旨とが優先権証明書に記載されており、記載されていな い蓋付きボールペンの優先権主張出願をする場合、両意匠は同一と認められる。
 ・原則として、意匠の構成要素を変更した場合は優先権主張の効果が認められないが、作図方法等の表現方法が異なる場合に、優先権証明書記載の図面等を総合的に判断して、優先権主張出願に係る意匠と同一の意匠を当然に導き出せる場合、両意匠は同一と認められる。例えば、色彩のない図面で表されたくぎについて、第一国出願に鉄製と記載されている場合に、優先権主張出願において表わされたくぎの写真に金属光沢を有するくぎが写っている場合や、優先権証明書記載の意匠が斜視図で表され、優先権主張出願の意匠が正投影図法による6面図で表されている場合、又は、優先権証明書記載の意匠が写真で表され、優先権主張出願に係る意匠が着色図面で表されている場合、両意匠は同一と認められる。
 ・意匠の表現方法が異なる場合の例:
 @優先権証明書の意匠と優先権主張出願の意匠とが、異なる図法により表されている場合
 A優先権証明書の意匠が図面(CG を含む)で表され、優先権主張出願の意匠が写真(白黒又はカラー)又は見本、ひな 形で表されている場合
 B優先権証明書の意匠が写真(白黒又はカラー)又は見本、ひな 形で表され、優先権主張出願の意匠が図面(CG を含む)で表されている場合
 ・特許出願に基づいて優先権主張出願した場合、優先権証明書に優先権主張出願に係る意匠と同一の意匠が示されていれば、優先権主張の効果が認められる。しかし、日本は商標登録出願から意匠登録出願への出願の変更を認めていないので、商標登録出願に基づいて優先権主張出願した場合、優先権の主張の効果は認められない。なお、立体商標の場合も効果は認められない。
 ・パリ条約による優先権等の主張の効果が認められるための要件:
 @基礎出願が同盟国における正規な最初の出願であること
 A出願人が基礎出願の出願人者又はその承継人であり、条約の利益を享受できる者であること
 B基礎出願が意匠又は実用新案登録出願であること
 C出願が第一国出願の日から6月以内であること
 D第一国への最初の出願に基づいて優先権が申立てられていること
 E意匠が基礎出願の意匠と同一であること
 ・パリ条約による優先権等の主張の効果が認められない例:
 @第一国出願が全体意匠であり、優先権主張出願がその全体意匠の一部である部分意匠の場合
 A第一国出願が部分意匠であり、優先権主張出願における部分意匠の「意匠登録を受けようとする部分」に、第一国出願に無い内容が付加された場合、又は、第一国出願の内容の一部が含まれない場合
 B第一国出願が部分意匠であり、優先権主張出願がそれらを組み合わせた部分意匠の場合
 C第一国出願が部分意匠であり、優先権主張出願が(一般に破線で表される)「その他の部分」を実線に変更した全体意匠の場合
 ・組物の意匠については、第一国においてその構成物品が日本の組物と同様に一出願として出願されている場合にのみ、パリ条約による優先権等の主張の効果が認められる。
 ・パリ条約による優先権等の主張を伴う意匠登録出願について、関連意匠の出願日と本意匠の出願日とが所定の期間内か否かは、第一国の出願日によって判断する。
 ・特43条5項(優先権証明書の電子的交換)は不準用である。


第二項

 特許法第三十三条並びに第三十四条第一項 、第二項及び第四項から第七項まで(特許を受ける権利)の規定は、意匠登録を受ける権利に準用する。

 ・各共有者は、他の共有者の同意を得なければ仮専用実施権の設定又は仮通常実施権の許諾ができない旨の規定は、不準用である。

第三項

 特許法第三十五条(仮専用実施権に係る部分を除く。) (職務発明)の規定は、従業者、法人の役員又は国家公務員若しくは地方公務員がした意匠の創作に準用する。

オリジナルレジュメ

 参考書・基本書  試験対策・勉強法  改正・判例解説  短答試験  過去問  論文試験  選択科目  選択科目の免除  口述試験  転職  リンク  メールはこちら





 「独学の弁理士講座」TOPへ戻る inserted by FC2 system