特許法171-175条
初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
以下、
太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。
特許法171条(再審の請求)
第一項
確定審決に対しては、当事者又は参加人は、再審を請求することができる。
・再審は、判決が確定した後に特別の理由に基づいて認められる非常の不服申立手段である。一般的には、法的安定性を害するので許されないが、まったく不服申立の途をとざしてしまうと、具体的妥当性の要請に反することがあるからである。
・確定審決と同じ審決を下す場合でも原審決を取り消す。
・審決確定前に再審理由を知った場合、訴えは提起できるが再審は請求できない。
・再審の確定審決に対しても再審を請求できる。
・参加を申請した審判の再審について、参加を申請してその申請を拒否された者は、請求人適格を有しない。一方、審決取消訴訟について、当事者、参加人又は参加を申請してその申請を拒否された者は、請求人適格を有する。
・法人格なき社団等も、特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審を請求することができる。
第二項
民事訴訟法第三百三十八条第一項 及び第二項 並びに第三百三十九条 (再審の事由)の規定は、前項の再審の請求に準用する。
・参加拒否の決定等の中間処分に再審理由がある場合にも、再審を請求できる。
・差止判決確定後に無効となった場合は、再審を提起し確定審決を変更できる。
・審決確定前に再審事由を知った場合に、審決取り消し訴訟で主張しなかった場合は、その再審事由を理由として再審請求はできない。
特許法172条
第一項
審判の請求人及び被請求人が共謀して第三者の権利又は利益を害する目的をもつて審決をさせたときは、その第三者は、その確定審決に対し再審を請求することができる。
・詐害審決に対する再審の場合は、第三者であっても再審請求できる。
第二項
前項の再審は、その請求人及び被請求人を共同被請求人として請求しなければならない。
特許法173条(再審の請求期間)
第一項
再審は、請求人が審決が確定した後再審の理由を知つた日から三十日以内に請求しなければならない。
・再審の理由を知った日から30日経過した場合、抵触審決を除き再審請求不可能となる旨を規定している。但し、延長が可能である。
・再審の理由が審決確定前に発生し且つ請求人が出訴期間経過前にその理由を知った時は、審決取消訴訟を提訴する。
・出訴期間の経過直前に再審理由を知り、再審請求期間を経過してしまった場合は、追完できる。
第二項
再審を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。
・不責事由の消滅から14日(在外者は2月)又は6月経過経過した場合、再審請求不可能となる旨を規定している。
第三項
請求人が法律の規定に従つて代理されなかつたことを理由として再審を請求するときは、第一項に規定する期間は、請求人又はその法定代理人が送達により審決があつたことを知つた日の翌日から起算する。
・本項の再審理由を知った実際の日が送達日より遅い場合であっても、送達日が理由を知った日となる。
第四項
審決が確定した日から三年を経過した後は、再審を請求することができない。
・審決確定日又は再審理由発生日から3年経過した場合、抵触審決を除き再審請求不可能となる旨を規定している。
第五項
再審の理由が審決が確定した後に生じたときは、前項に規定する期間は、その理由が発生した日の翌日から起算する。
・審決確定後に再審事由が発生した場合は、発生した日の翌日から起算して3年となる。
第六項
第一項及び第四項の規定は、当該審決が前にされた確定審決と抵触することを理由とする再審の請求には、適用しない。
・抵触による再審の場合は、30日以内の請求及び審決確定後3年の除斥期間は、適用しない。
特許法174条(審判の規定等の準用)
第一項
第百三十一条第一項、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第三項及び第四項、第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第四項、第百三十五条から第百四十七条まで、第百五十条から第百五十二条まで、第百五十五条第一項、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条から第百六十条まで、第百六十七条の二本文、第百六十八条、第百六十九条第三項から第六項まで並びに第百七十条の規定は、拒絶査定不服審判の確定審決に対する再審に準用する。
・再審においては審判請求書の要旨変更を伴う補正は認められない。
・再審においては訂正の請求ができない。
・再審においても、職権による調査、進行制度が設けられている。しかし、再審は非常の不服申立手段であるので、判断の範囲を狭く限定すべきであり、職権では申し立てない理由について審理できない。
・拒絶査定不服審判の再審において、前置審査は行われない。また、審理の併合もできない。
第二項
第百三十一条第一項、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第一項、第二項及び第四項、第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第一項、第三項及び第四項、第百三十五条から第百五十二条まで、第百五十四条、第百五十五条第一項から第三項まで、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条、第百六十七条から第百六十八条まで、第百六十八条、第百六十九条第一項、第二項、第五項及び第六項並びに第百七十条の規定は、特許無効審判又は延長登録無効審判の確定審決に対する再審に準用する。
・再審中に訂正はできない。再審は確定審決の可否を争うものであり、確定審決の対象が変更されるのは妥当ではないからである。
・再審においては審判請求書の要旨変更を伴う補正は認められない。
・再審においても職権による調査、進行制度が設けられている。しかし、再審は非常の不服申立手段であるので、判断の範囲を狭く限定すべきであり、職権では申し立てない理由について審理できない(弁論主義が採用される)。
第三項
第百三十一条第一項及び第四項、第百三十一条の二第一項本文、第百三十二条第三項及び第四項、第百三十三条、第百三十三条の二、第百三十四条第四項、第百三十五条から第百四十七条まで、第百五十条から第百五十二条まで、第百五十五条第一項及び第四項、第百五十六条第一項、第三項及び第四項、第百五十七条、第百六十五条、第百六十七条の二、第百六十八条、第百六十九条第三項から第六項まで並びに第百七十条の規定は、訂正審判の確定審決に対する再審に準用する。
・再審においても、職権による調査、進行制度が設けられている。しかし、再審は非常の不服申立手段であるので、判断の範囲を狭く限定すべきであり、職権では申し立てない理由について審理することはできない。
・再審においては審判請求書の要旨変更を伴う補正は認められない。
・審理の併合はできない。
第四項
民事訴訟法第三百四十八条第一項 (審理の範囲)の規定は、再審に準用する。
特許法175条(再審により回復した特許権の効力の制限)
第一項
無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復した場合又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつた場合において、その特許が物の発明についてされているときは、特許権の効力は、当該審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に輸入し、又は日本国内において生産し、若しくは取得した当該物には、及ばない。
・発明が特許権の拘束から脱したと信じて、または、自由に利用できると信じて発明を実施した者が、さかのぼって侵害者となるのは、公平の原則に反して妥当ではないからである。但し、悪意の実施者に対しては、たとえさかのぼって侵害者であるとしても不当でないので、除外される。
・再審の請求の登録前に時点を限ったのは、再審の請求があったときは予告登録を行い且つ特許公報に掲載されるので、それ以降の実施を悪意とみなしても苛酷ではないと考えられるからである。
・悪意で輸入した場合は制限されない。
・追納による回復の場合の効力制限とは、善意の有無の点で異なる。
・無効審決確定から回復までの期間も特許権が存在したことになる。
第二項
無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつたときは、特許権の効力は、当該審決が確定した後再審の請求の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
第一号
当該発明の善意の実施
・生産方法の特許発明により生産された物の譲渡等は、発明の実施に該当するので、本号により効力制限される。
第二号
特許が物の発明についてされている場合において、善意に、その物の生産に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
第三号
特許が物の発明についてされている場合において、善意に、その物を譲渡等又は輸出のために所持した行為
第四号
特許が方法の発明についてされている場合において、善意に、その方法の使用に用いる物の生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をした行為
第五号
特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、善意に、その方法により生産した物を譲渡等又は輸出のために所持した行為
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