特許法49-50条の2
初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
以下、
太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。
特許法49条(拒絶の査定)
第一項
審査官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
・図面の簡単な説明が無い場合は拒絶理由とはならない。但し、17条3項の補正命令の対象となる。
・外国語書面出願で誤訳以外の補正を誤訳訂正書でしても拒絶理由とはならない。
・後発無効及び訂正の要件違反は当然ながら拒絶理由にはない。
・・複数の請求項の一部についてのみ拒絶理由があるときでも、拒絶査定がなされる。
第一号
その特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項又は第四項に規定する要件を満たしていないとき。
第二号
その特許出願に係る発明が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条、第三十八条又は第三十九条第一項から第四項までの規定により特許をすることができないものであるとき。
第三号
その特許出願に係る発明が条約の規定により特許をすることができないものであるとき。
第四号
その特許出願が第三十六条第四項第一号若しくは第六項又は第三十七条に規定する要件を満たしていないとき
・請求項が連続番号になっていない場合は、特36条6項に反するとして(経済産業省令違反)により拒絶される。
・特37条違反は無効理由ではない。
第五号
前条の規定による通知をした場合であつて、その特許出願が明細書についての補正又は意見書の提出によつてもなお第三十六条第四項第二号に規定する要件を満たすこととならないとき。
・特36条4項2号違反は無効理由ではない。
・特48条の7の通知をし、且つ、意見書提出の機会を与えなければ拒絶理由を通知できない。
第六号
その特許出願が外国語書面出願である場合において、当該特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。
第七号
その特許出願人がその発明について特許を受ける権利を有していないとき。
・発明者であれば、特許を受ける権利を譲渡した後にも特許を受けることができるとなると、特許を受ける権利を安心して買うことができなくなる等、取引の安定性を損なうことになるからである。
特許法50条(拒絶理由の通知)
審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第五十三条第一項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。
・最初の拒絶理由後の補正が新規事項追加であっても、最初の拒絶理由が残っている場合には新たな拒絶理由を通知することなく拒絶査定できる。
・拒絶査定不服審判、再審において異なる拒絶理由が発見された場合に準用されている。
・最後の拒絶理由通知後に最初の拒絶理由が残っていた場合は最初の拒絶理由で拒絶査定できる。
・最後の拒絶理由通知に対する補正が不適法な場合、拒絶理由通知よりも補正却下が優先される。
・補正却下時は再度の拒絶理由は通知されない。
特許法50条の2(既に通知された拒絶理由と同一である旨の通知)
審査官は、前条の規定により特許出願について拒絶の理由を通知しようとする場合において、当該拒絶の理由が、他の特許出願(当該特許出願と当該他の特許出願の少なくともいずれか一方に第四十四条第二項の規定が適用されたことにより当該特許出願と同時にされたこととなつているものに限る。)についての前条(第百五十九条第二項(第百七十四条第一項において準用する場合を含む。)及び第百六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知(当該特許出願についての出願審査の請求前に当該特許出願の出願人がその内容を知り得る状態になかつたものを除く。)に係る拒絶の理由と同一であるときは、その旨を併せて通知しなければならない。
・分割出願制度の濫用を防止するために、H18年改正により本制限を設けた。
・分割出願に係る出願においては、審査官は、他の特許出願について既に通知された拒絶の理由と同じ拒絶の理由を通知しようとする場合に、その旨を併せて通知しなければならない。なお、該通知を受けた場合は、最初の拒絶理由通知であっても補正の制限を受ける。
・他の特許出願には、@分割した子の出願、A分割の親出願、B分割の子出願同士、の3種がある。
・他の特許出願についての通知としては、審査において通知されたものだけでなく、前置審査や拒絶理由不服審判において通知されたものが含まれる。
・知り得る状態になかったとは、出願審査の請求後に拒絶理由通知を受けた場合や、出願後の権利承継により当該特許出願と他の特許出願の出願人が異なっており、且つ、当該特許出願についての出願審査請求のときに他の特許出願が出願公開前であったために、拒絶理由通知書の閲覧等ができなかった場合等が該当する。
・拒絶査定不服審判及び前置審査においても、特50条の2の通知を行うことができる。
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