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特許法37-40条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

特許法37条

 二以上の発明については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するときは、一の願書で特許出願をすることができる。

 ・発明の単一性の要件は、特許請求の範囲に記載された発明どうしの関係で判断する。また、一の請求項において発明特定事項が選択肢で表現されている場合には、各選択肢どうしの関係についても発明の単一性を判断する。
 ・特定発明は一つだけである。
 ・送信機と受信機、最終生成物と最終生成物の製造にのみ使用される中間体、物質とその特別な保存方法とその特別な保存器具、新規物質とその触媒、新規物質とそれを製造する微生物は単一性を満たす。
 ・新規物質イ、ハがある場合に、両者が産業上の利用分野、主要部が同一であっても、同一又は対応する特別な技術的特徴を有していない場合は、単一性を満たさない。
・出願動向の変化に応じ、単一性の要件を満たす範囲を弾力的に改正させるために省令委任とした。


特許法38条(共同出願)

 特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。

 ・共同発明であっても、特許を受ける権利を譲渡すれば共同出願しなくともよい。
 ・出願の分割も共同でなければできない。

特許法38条の2(特許出願の放棄又は取下げ)

 特許出願人は、その特許出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その承諾を得た場合に限り、その特許出願を放棄し、又は取り下げることができる。

 ・特許出願人は、仮専用実施権者又は登録した仮通常実施権者の承諾を得た場合に限り、その特許出願に基づく優先権主張出願、変更出願をすることができる。
 ・特許出願人は、仮専用実施権者の承諾を得た場合に限り、その特許出願に基づく優先権主張出願、変更出願をすることができる。
 ・PCTに基づく国際出願については、承諾を不要とする。受理官庁が日本以外の場合もあり、条約に付加的要件を課すことができないからである。
 ・仮専用実施権者も審査請求できるので、未審査請求によるみなし取下については、特段の措置が無い。
 ・特許出願人は、仮通常実施権者の承諾を得ることなく、その特許出願に基づく優先権主張出願、変更出願をすることができる。

特許法39条(先願)

第一項

 同一の発明について異なつた日に二以上の特許出願があつたときは、最先の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる。

 ・新規事項又は原文新規事項(外国語書面出願の場合)を含む請求項は、先願の地位を有しない。
 ・後願の請求項に係る発明と、先願の請求項に係る発明との発明特定事項の一致点及び相違点を認定し、相違点がない場合は、同一と判断される。また、相違点がある場合でも、@周知慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏しない発明、A下位概念である先願の発明特定事項を上位概念で表したに過ぎない発明、B単なるカテゴリー表現上の相違しかない発明、等の場合は、実質的に同一と判断される。なお、特許請求の範囲が全部一致する場合のみならず、発明特定事項に選択肢を有する発明の一部が重複する場合にも、同一発明と判断される。


第二項

 同一の発明について同日に二以上の特許出願があつたときは、特許出願人の協議により定めた一の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、いずれも、その発明について特許を受けることができない。

 ・時間の先後は問わない。手続きが極めて煩雑になるためである。
 ・出願人は、抽選で他人が特許権を取得する危険性のある制度よりも、むしろいずれにも特許されないほうが良いと考えることもあるので、くじ引きを採用しなかった。
 ・二以上の同日出願の全てが審査請求されている場合、各出願人に長官名で協議が指令される。そして、指定期間内に協議結果の届出がない場合には、協議不成立とみなし、各出願人に特39条2項又は4項の拒絶理由が通知される。
 ・二以上の同日出願のうち一部のみが審査請求されている場合、協議を指令できない。従って、審査請求されている出願の出願人に、他の出願の審査請求がないので審査を進められない旨が通知される。その後は、他の出願の審査請求がされ協議を指令できるようになるまで、又は他の出願について取下げ・放棄されるまで審査を進めない。
 ・協議できないときとは、相手が協議に応じない等の理由で協議できない場合、又は特許されている場合である。特許されている場合、協議は指令されず、それ以外の出願に本項の拒絶理由が通知される。
 ・二以上の同日出願のうち一部が既に登録されている場合は、協議不能のため訂正又は補正無く他方が登録されることはない。一方が他の拒絶理由によって拒絶された場合は、重複特許の問題が生じないので本条の対象とはならない。


第三項

 特許出願に係る発明と実用新案登録出願に係る考案とが同一である場合において、その特許出願及び実用新案登録出願が異なつた日にされたものであるときは、特許出願人は、実用新案登録出願人より先に出願をした場合にのみその発明について特許を受けることができる。

 ・意匠、商標とは先後願を考慮しない。権利対象が異なるためである。

第四項

 特許出願に係る発明と実用新案登録出願に係る考案とが同一である場合(第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願(第四十四条第二項(第四十六条第五項において準用する場合を含む。)の規定により当該特許出願の時にしたものとみなされるものを含む。)に係る発明とその実用新案登録に係る考案とが同一である場合を除く。)において、その特許出願及び実用新案登録出願が同日にされたものであるときは、出願人の協議により定めた一の出願人のみが特許又は実用新案登録を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、特許出願人は、その発明について特許を受けることができない。

 ・実用新案は協議の結果によらず無効理由を備えたまま登録可能である。
 ・本項かっこ書きは、実用新案登録に基づく特許出願及び該特許出願の分割、変更出願は、放棄された元の実用新案登録に係る考案との間では先後願を判断しない旨を規定している。

第五項

 特許出願若しくは実用新案登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、その特許出願又は実用新案登録出願は、第一項から前項までの規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その特許出願について第二項後段又は前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。

 ・協議不調不能による拒絶の場合は、先願の地位を有する。
 ・従来は、出願公開前に放棄又は拒絶された場合も先願の地位を保持しており、その後の第三者の権利化を妨げることができた。しかし、開示されない出願にはいかなる権利(先願の地位)も与えるべきではないので、H10年改正により拒絶・放棄も先願の地位を取得しないものとした。
 ・無効は含まれていない。
 ・移転請求制度の導入により、真の権利者は冒認出願に係る特許権を取得することができる。そのため、冒認出願に先願の地位を認めないとすれば、真の権利者が出願することにより、自らの出願についても特許権を取得できる。そこで、重複して特許権を取得する事態を防止するため、冒認出願についても先願の地位を認めることとした。


第六項

 特許庁長官は、第二項又は第四項の場合は、相当の期間を指定して、第二項又は第四項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を出願人に命じなければならない。

 ・審査官ではない。なお、審査官が行う行為は、文献公知発明に係る情報の記載についての通知、既にされた拒絶理由と同一である旨の通知、拒絶理由通知、査定、補正却下、前置報告である。
 ・協議の結果を届ける他に、一方の出願の取下又は放棄、若しくは特許請求の範囲の補正により対応することもできる。


第七項

 特許庁長官は、前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、第二項又は第四項の協議が成立しなかつたものとみなすことができる。

 ・届け出が無くとも、出願の取下、放棄、冒認であった場合等は拒絶とはならない。

特許法40条(削除)





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