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実用新案法26条-30条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

実用新案法26条(特許法 の準用)

 特許法第六十九条第一項 及び第二項 、第七十条から第七十一条の二まで(特許権の効力が及ばない範囲及び特許発明の技術的範囲)、第七十三条(共有)、第七十六条(相続人がない場合の特許権の消滅)、第七十九条(先使用による通常実施権)、第七十九条の二(特許権の移転の登録前の実施による通常実施権)、第八十一条、第八十二条(意匠権の存続期間満了後の通常実施権)、第九十七条第一項(放棄)並びに第九十八条第一項第一号及び第二項(登録の効果)の規定は、実用新案権に準用する。

実用新案法27条(差止請求権)

第一項

 実用新案権者又は専用実施権者は、自己の実用新案権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者(以下「侵害者等」という。)に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

第二項

 実用新案権者又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(プログラム等(特許法第二条第四項 に規定するプログラム等をいう。次条において同じ。)を含む。以下同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

 ・実案の保護対象である物品は有体物であり、無体物であるプログラム等は含まれないが、間接侵害における「物品の製造に用いる物」には、製造用工作機のプログラム等が含まれ得る。また、「侵害の行為を組成した物」にもプログラム等が含まれ得る。

実用新案法28条(侵害とみなす行為)

第一項

 次に掲げる行為は、当該実用新案権又は専用実施権を侵害するものとみなす。

第一号

 業として、登録実用新案に係る物品の製造にのみ用いる物の生産、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為

 ・H14年改正において特許法の表現に合わせて「製造」に代えて、「生産」の語を用いることとされたが、これは、実質的な内容変更ではない。

第二号

 登録実用新案に係る物品の製造に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く。)であつてその考案による課題の解決に不可欠なものにつき、その考案が登録実用新案であること及びその物がその考案の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

 ・実案でも、製造に用いるものであつて、課題の解決に不可欠なものについては、間接侵害となる。

第三号

 登録実用新案に係る物品を業としての譲渡、貸渡し又は輸出のために所持する行為

実用新案法29条(損害の額の推定等)

第一項

 実用新案権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物品を譲渡したときは、その譲渡した物品の数量(以下この項において「譲渡数量」という。)に、実用新案権者又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物品の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を、実用新案権者又は専用実施権者の実施の能力に応じた額を超えない限度において、実用新案権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。ただし、譲渡数量の全部又は一部に相当する数量を実用新案権者又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量に応じた額を控除するものとする。

第二項

 実用新案権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、実用新案権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。

第三項

 実用新案権者又は専用実施権者は、故意又は過失により自己の実用新案権又は専用実施権を侵害した者に対し、その登録実用新案の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。

第四項

 前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、実用新案権又は専用実施権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

実用新案法29条の2(実用新案技術評価書の提示)

 実用新案権者又は専用実施権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、自己の実用新案権又は専用実施権の侵害者等に対し、その権利を行使することができない。

 ・実案は無審査登録主義を採用しているので、瑕疵ある権利に基づく権利の濫用を防止し、第三者に不測の不利益を与えることを回避するためである。なお、瑕疵ある蓋然性の高い権利の侵害について過失を推定するのは第三者に酷であるため、過失は推定されない。
・警告しない状態で侵害訴訟を提起しても、直ちに請求が却下されるわけではないが、損害賠償請求や差止請求等は認容されない。
・悪意であっても警告が必要である。なお、特許法の補償金請求の場合、悪意の際に警告は不要である。
・秘密意匠の差止請求にも警告が必要であるが、警告しなくとも損害賠償請求は可能である。


実用新案法29条の3(実用新案権者等の責任)

第一項

 実用新案権者又は専用実施権者が侵害者等に対しその権利を行使し、又はその警告をした場合において、実用新案登録を無効にすべき旨の審決(第三十七条第一項第六号に掲げる理由によるものを除く。)が確定したときは、その者は、その権利の行使又はその警告により相手方に与えた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、実用新案技術評価書の実用新案技術評価(当該実用新案登録出願に係る考案又は登録実用新案が第三条第一項第三号及び第二項(同号に掲げる考案に係るものに限る。)、第三条の二並びに第七条第一項から第三項まで及び第六項の規定により実用新案登録をすることができない旨の評価を受けたものを除く。)に基づきその権利を行使し、又はその警告をしたとき、その他相当の注意をもつてその権利を行使し、又はその警告をしたときは、この限りでない。

 ・瑕疵ある権利を濫用することがないよう、権利行使に当たってより高度な注意義務を課すためであり、実用新案登録が無効であった場合には、権利者が注意義務に違反したとして、立証責任の転換を図っている。そのため、権利者は、相当の注意をもって権利行使したこと(無過失)を立証しない限り、損害賠償責任を負う。
 ・相当の注意の立証を行うには、評価書の請求、自己調査、鑑定等により権利の有効性を確保する必要がある。肯定的な評価書に基づく権利行使の場合、権利行使後に評価書の調査範囲内の新たな証拠により無効となっても、証拠が示される前の行為には原則として過失が問われない。肯定的な評価書による警告後の権利行使であっても、権利者が無効理由を知っていた場合、損害賠償責任は免責されない。
 ・否定的な評価書による警告では免責されない。
 ・権利者が、無効理由を構成する証拠の存在を知っていた場合でも、相当の注意をもって権利行使したのならば免責され得る。また、評価書の調査対象外(公知公用等)の証拠により無効となった場合は免責されない。なお、評価書の調査対象外の理由により無効となった場合は、相当の注意の有無は調査や鑑定利用の有無などを含めて具体的に判断される。
 ・後発的無効事由による場合は、損害賠償の責を負わない。


第二項

 前項の規定は、実用新案登録出願の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面についてした第十四条の二第一項又は第七項の訂正により実用新案権の設定の登録の際における実用新案登録請求の範囲に記載された考案の範囲に含まれないこととなつた考案についてその権利を行使し、又はその警告をした場合に準用する。

 ・訂正により無効事由が消滅した場合であっても、損害賠償の責を負う場合がある。
 ・訂正により権利範囲から除外された場合も、相当の注意を払っていれば損害賠償責任を負わない。


実用新案法30条(特許法 の準用)

 特許法第百四条の二 から第百六条 まで(具体的態様の明示義務、特許権者等の権利行使の制限、主張の制限、書類の提出等、損害計算のための鑑定、相当な損害額の認定、秘密保持命令、秘密保持命令の取消し、訴訟記録の閲覧等の請求の通知等、当事者尋問等の公開停止及び信用回復の措置)の規定は、実用新案権又は専用実施権の侵害に準用する。この場合において、同法第百四条の四中「次に掲げる審決が確定した」とあるのは「第一号に掲げる審決が確定した又は第三号に掲げる訂正があつた」と、「当該審決が確定した」とあるのは「当該審決が確定した又は訂正があつた」と、同条第三号中「訂正をすべき旨の審決」とあるのは「実用新案法第十四条の二第一項又は第七項の訂正」と読み替えるものとする。

 ・特103条不準用のため過失が推定されない。よって、損害賠償請求する場合は、相手方の故意過失を立証する必要がある。




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