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実用新案法11条-15条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

実用新案法11条(特許法 の準用)

第一項

 特許法第三十条 (発明の新規性の喪失の例外)、第三十八条(共同出願)、第四十三条から第四十四条まで(パリ条約による優先権主張の手続等及び特許出願の分割)の規定は、実用新案登録出願に準用する。

 ・実用新案登録出願から1月経過後であっても、補正命令が出された場合は分割可能である。
 ・欧州特許庁にした出願に基づく優先権を主張する場合は、優先権書類の提出は不要となる。なお、意15条、商13条では準用していないため優先権書類を必ず提出しなければならない。欧州特許庁は意匠登録出願及び商標登録出願を受け付けていないからである。
 ・実用新案登録出願に基づくパリ優先権を主張して意匠登録出願をした場合の優先期間は、意匠について定められた優先期間(6月)とする。また、意匠登録出願に基づくパリ優先権を主張して実用新案登録出願をした場合の優先期間も6月である。


第二項

 特許法第三十三条第一項から第三項まで 並びに第三十四条第一項 、第二項及び第四項から第七項まで(特許を受ける権利)の規定は、実用新案登録を受ける権利に準用する。

第三項

 特許法第三十五条(仮専用実施権に係る部分を除く。) (職務発明)の規定は、従業者、法人の役員又は国家公務員若しくは地方公務員がした考案に準用する。

実用新案法12条(実用新案技術評価の請求)

第一項

 実用新案登録出願又は実用新案登録については、何人も、特許庁長官に、その実用新案登録出願に係る考案又は登録実用新案に関する技術的な評価であつて、第三条第一項第三号及び第二項(同号に掲げる考案に係るものに限る。)、第三条の二並びに第七条第一項から第三項まで及び第七項の規定に係るもの(以下「実用新案技術評価」という。)を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係る実用新案登録出願又は実用新案登録については、請求項ごとに請求することができる。

 ・登録された権利が実体的要件を満たしているか否かを当事者が判断するのが困難な場合も想定される。そこで、当事者に権利の有効性に関する客観的な判断材料を提供することを目的とする。
 ・実3条2項の対象となるのは実3条1項3号の場合のみである(公知公用は判断対象ではない)。
 ・文献公知、公知文献から見た進歩性、拡大先願、先願のみしか判断されない。
 ・実用新案技術評価書は実用新案権者の権利行使に何ら影響を及ぼさず、行訴法3条2項の処分には該当しないので取り消すことはできない。なお、否定的な評価書が出されても無効審判時にその結果に拘束されることはない。
 ・実用新案技術評価書は請求項毎に請求することができる。
 ・国際実用新案登録出願の場合、国内処理基準時(国内書面提出期間経過時または国内処理の請求時)を経過した後に請求できる。


第二項

 前項の規定による請求は、実用新案権の消滅後においても、することができる。ただし、実用新案登録無効審判により無効にされた後は、この限りでない。

 ・無効確定後であっても再審により回復すれば請求できる。
 ・技術評価書の請求は、後発無効の場合であっても、無効確定後はできない(H13年問11)。


第三項

 前二項の規定にかかわらず、第一項の規定による請求は、その実用新案登録に基づいて特許法第四十六条の二第一項 の規定による特許出願がされた後は、することができない。

 ・出願人の意思として実用新案権の保護を断念し特許権を選択しため、また、過去の侵害に対しては実用新案権を維持することで対応すべきため、さらに、二重の審査を防止する必要があるためである。

第四項

 特許庁長官は、第一項の規定による請求があつたときは、審査官にその請求に係る実用新案技術評価の報告書(以下「実用新案技術評価書」という。)を作成させなければならない。

第五項

 特許法第四十七条第二項 の規定は、実用新案技術評価書の作成に準用する。

 ・審査官の除斥の規定が準用されていないので、評価書の請求人が審査官の配偶者であっても、当該審査官は職務の執行から除斥されない。

第六項

 第一項の規定による請求は、取り下げることができない。

第七項

 実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者から第一項の規定による請求があつた後に、その請求に係る実用新案登録(実用新案登録出願について同項の規定による請求があつた場合におけるその実用新案登録出願に係る実用新案登録を含む。)に基づいて特許法第四十六条の二第一項 の規定による特許出願がされたときは、その請求は、されなかつたものとみなす。この場合において、特許庁長官は、その旨を請求人に通知しなければならない。

 ・二重の審査を防止するためである。

実用新案法13条

第一項

 特許庁長官は、実用新案掲載公報の発行前に実用新案技術評価の請求があつたときは当該実用新案掲載公報の発行の際又はその後遅滞なく、実用新案掲載公報の発行後に実用新案技術評価の請求があつたときはその後遅滞なく、その旨を実用新案公報に掲載しなければならない。

 ・評価書の内容は公開されない。
 ・特許庁長官が、実用新案技術評価書の請求があった旨を掲載するのは、請求があったときであり、評価書が作成された時ではない。


第二項

 特許庁長官は、実用新案登録出願人又は実用新案権者でない者から実用新案技術評価の請求があつたときは、その旨を実用新案登録出願人又は実用新案権者に通知しなければならない。

 ・他人による実用新案技術評価書の請求によって、評価書の内容が変わる可能性があり、出願人にとって重要な情報となるためである。また、特46条の2の特許出願を可能とするためである。

第三項

 特許庁長官は、実用新案技術評価書の作成がされたときは、その謄本を、請求人が実用新案登録出願人又は実用新案権者であるときは請求人に、請求人が実用新案登録出願人又は実用新案権者でないときは請求人及び実用新案登録出願人又は実用新案権者に送達しなければならない。

 ・評価書取得後の訂正の可能期間を規定するためである。また、他人による実用新案技術評価書の請求によって、評価書の内容が変わる可能性があり権利者にとって重要な価値をもつからである。

実用新案法14条(実用新案権の設定の登録)

第一項

 実用新案権は、設定の登録により発生する。

第二項

 実用新案登録出願があつたときは、その実用新案登録出願が放棄され、取り下げられ、又は却下された場合を除き、実用新案権の設定の登録をする。

 ・出願の瑕疵が補正命令によっても治癒せず、出願が却下される場合は登録されない。

第三項

 前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を実用新案公報に掲載しなければならない。

 ・考案の詳細な説明も掲載される。

第一号

 実用新案権者の氏名又は名称及び住所又は居所

第二号

 実用新案登録出願の番号及び年月日

第三号

 考案者の氏名及び住所又は居所

第四号

 願書に添付した明細書及び実用新案登録請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容

 ・H16年法改正によって全文掲載となった。明細書の考案の詳細な説明に対する訂正が可能となったことから、訂正の箇所を判別することができるようにするためである。

第五号

 願書に添付した要約書に記載した事項

第六号

 登録番号及び設定の登録の年月日

第七号

 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

第四項

 特許法第六十四条第三項 の規定は、前項の規定により同項第五号の要約書に記載した事項を実用新案公報に掲載する場合に準用する。

実用新案法14条の2(明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正)

第一項

 実用新案権者は、次に掲げる場合を除き、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正を一回に限りすることができる。

 ・実用新案では補正の機会が少ないことから、また、請求項の削除のみでは第三者の攻撃に対する防御の余地がないことから、訂正の許容範囲を拡大するために、平成16年に改正された。但し、第三者の監視負担を軽減するために、一回に限定されている。なお、1号及び2号の期間制限に同時に該当する場合は、いずれか早く経過する期間が適用される。
 ・実案の訂正は無効審判とは独立しているので、無効審判の請求が取り下げられても効力を生じる。
 ・実案の訂正は無審査であるので、訂正時期に関わらず適式な訂正書が長官に受理された時点で効果が生じる。また、独立特許要件に対応する規定はない。
 ・無効審判の請求人に副本が送付される。
 ・適式な訂正書が提出されると訂正が認められるので、審理は行われない。よって、中断も認められない。
 ・基礎的要件を除き独立して登録し得るとの要件は不要である。実用新案権は無審査なので要件不備であっても付与されるからである。なお、訂正後の請求項が独立して登録し得る要件を満たさない場合でも、それ自体は無効理由とならない。


第一号

 第十三条第三項の規定による最初の実用新案技術評価書の謄本の送達があつた日から二月を経過したとき。

 ・本条6項により不責事由に基づく延長及び遠隔地の延長(本条5項で準用する特4条)が可能である。

第二号

 実用新案登録無効審判について、第三十九条第一項の規定により最初に指定された期間を経過したとき。

 ・審判請求に伴う答弁書提出期間内について規定している。

第二項

 前項の訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。

第一号

 実用新案登録請求の範囲の減縮

第二号

 誤記の訂正

第三号

 明りようでない記載の釈明

第三項

 第一項の訂正は、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面(前項第二号に掲げる事項を目的とする訂正の場合にあつては、願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面)に記載した事項の範囲内においてしなければならない。

第四項

 第一項の訂正は、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものであつてはならない。

第五項

 特許法第四条 の規定は、第一項第一号に規定する期間に準用する。

 ・遠隔地の延長がある。

第六項

 第一項の訂正をする者がその責めに帰することができない理由により同項第一号に規定する期間を経過するまでにその訂正をすることができないときは、同号の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその訂正をすることができる。

第七項

 実用新案権者は、第一項の訂正をする場合のほか、請求項の削除を目的とするものに限り、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正をすることができる。ただし、実用新案登録無効審判が特許庁に係属している場合において第四十一条において準用する特許法第百五十六条第一項 の規定による通知があつた後(同条第二項 の規定による審理の再開がされた場合にあつては、その後更に同条第一項 の規定による通知があつた後)は、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正をすることができない。

 ・審理終結通知後は再開されない限り訂正できない。時期的制限は、無効審判の迅速な処理を図るために設けられたからである。なお、相手方が答弁書を提出した後であっても、訂正できる。
 ・審決取消訴訟において訂正可能である。
 ・無効審判が特許庁に係属している場合において訂正があったときは、その副本を請求人に送達しなければならない。


第八項

 第一項及び前項の訂正は、実用新案権の消滅後においても、することができる。ただし、実用新案登録無効審判により無効にされた後は、この限りでない。

第九項

 第一項又は第七項の訂正をするには、訂正書を提出しなければならない。

 ・請求項の削除のみであっても訂正書の提出が必要である。

第十項

 第一項の訂正をするときは、訂正書に訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面を添付しなければならない。

 ・請求項の削除のみの訂正の場合は不要である。

第十一項

 第一項又は第七項の訂正があつたときは、その訂正後における明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面により実用新案登録出願及び実用新案権の設定の登録がされたものとみなす。

第十二項

 第一項又は第七項の訂正があつたときは、第一項の訂正にあつては訂正した明細書及び実用新案登録請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容を、第七項の訂正にあつてはその旨を、実用新案公報に掲載しなければならない。

 ・本条7項の訂正の場合は、その旨のみが掲載される。

第十三項

 特許法第百二十七条 及び第百三十二条第三項 の規定は、第一項及び第七項の場合に準用する。

実用新案法14条の3(訂正に係る補正命令)

第一項

 特許庁長官は、訂正書(前条第一項の訂正に係るものに限る。)の提出があつた場合において、その訂正書に添付した訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の記載が次の各号のいずれかに該当するときは、相当の期間を指定して、その訂正書に添付した訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をすべきことを命ずることができる。

 ・独立して登録し得るとの要件は不要であるが、基礎的要件(実6条の2と同様)は必要とされる。

第一号

 その訂正書に添付した訂正した実用新案登録請求の範囲に記載されている事項により特定される考案が物品の形状、構造又は組合せに係るものでないとき。

第二号

 その訂正書に添付した訂正した実用新案登録請求の範囲に記載されている事項により特定される考案が第四条の規定により実用新案登録をすることができないものであるとき。

第三号

 その訂正書に添付した訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の記載が第五条第六項第四号又は第六条に規定する要件を満たしていないとき。

第四号

 その訂正書に添付した訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは図面に必要な事項が記載されておらず、又はその記載が著しく不明確であるとき。

実用新案法15条(訂正に係る補正命令)

 実用新案権の存続期間は、実用新案登録出願の日から十年をもつて終了する。
 ・実用新案法には延長登録がない。
 ・H16年法改正によって存続期間が10年になった。短い存続期間では訴訟継続中に権利が消滅してしまい、差止請求権の行使が困難となるためである。また、実際の製品のライフサイクルよりも存続期間が短かったためである。





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