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特許法191条-195条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

特許法191条

第一項

 送達を受けるべき者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れないとき、又は前条において準用する民事訴訟法第百七条第一項 (第二号及び第三号を除く。)の規定により送達をすることができないときは、公示送達をすることができる。

 ・知れないとは、相当手を尽くして調査したにも関わらずわからない場合でなければならないと解される。例えば、住所等が分からず就業場所へ送達したが、何らかの理由により還付された場合、公示送達される。

第二項

 公示送達は、送達する書類を送達を受けるべき者に何時でも交付すべき旨を官報及び特許公報に掲載するとともに特許庁の掲示場に掲示することにより行う。

第三項

 公示送達は、官報に掲載した日から二十日を経過することにより、その効力を生ずる。

 ・20日の経過によって効力が発生するので、公示送達の日より21日目が起算日となる。例えば、官報掲載日が10月6日の場合、起算日は10月7日であり、10月26日を経過した日(午後12時経過後)効力が発生するので、起算日は10月27日となる。

特許法192条

第一項

 在外者に特許管理人があるときは、その特許管理人に送達しなければならない。

第二項

 在外者に特許管理人がないときは、書類を航空扱いとした書留郵便等(書留郵便又は信書便の役務のうち書留郵便に準ずるものとして経済産業省令で定めるものをいう。次項において同じ。)に付して発送することができる。

 ・普通郵便では外国に到着するまでに相当の日時を要し、出願人に苛酷であるので、航空郵便によって行うこととした。

第三項

 前項の規定により書類を書留郵便等に付して発送したときは、発送の時に送達があつたものとみなす。

 ・在外者は常に特許管理人を置いておくべきとする特許法の要請により、特許管理人がいない場合に不利になっても止むを得ないという意味をもつ。
 ・拒絶査定謄本の送達が、発送日に効力発生する場合もある。


特許法193条(特許公報)

第一項

 特許庁は、特許公報を発行する。

 ・審決に対する訴えの提起は不掲載。但し、確定判決は掲載される。
 ・公序良俗に反する場合は掲載されない。
 ・実53条2項で準用している。


第二項

 特許公報には、この法律に規定するもののほか、次に掲げる事項を掲載しなければならない。

 ・本条以外に公報に記載される場合とは、@出願公開、A出願公開後の出願審査の請求、B特許権の設定の登録、C延長登録出願、D存続期間の満了前に処分を受けられない場合の書面提出、E延長の登録、F国内公表、G公示送達、である。

第一号

 出願公開後における拒絶をすべき旨の査定若しくは特許出願の放棄、取下げ若しくは却下又は特許権の存続期間の延長登録の出願の取下げ

 ・特許出願にかかる発明を自由に利用できる事実を公表するためである。

第二号

 出願公開後における特許を受ける権利の承継

 ・一般公衆が発明の実施契約を締結する場合に権利者の確定に便利のためである。
 ・特許権の承継は公報掲載事項ではない。特許原簿に登録される。


第三号

 出願公開後における第十七条の二第一項の規定による願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正(同項ただし書各号の規定によりしたものにあつては、誤訳訂正書の提出によるものに限る。)

第四号

 特許権の消滅(存続期間の満了によるもの及び第百十二条第四項又は第五項の規定によるものを除く。)又は回復(第百十二条の二第二項の規定によるものに限る。)

 ・特許権の消滅は特許原簿に登録される。特許権のような対世的効力を有する絶対権の消滅については、特に公示手段を徹底し、発明を自由利用できる旨を社会に知らせることが望ましいためである。
 ・複数の請求項の一部を放棄した場合も掲載される。
 ・存続期間の満了による消滅は公報に掲載されない。実、意、商においても同じ。
 ・特112条4項,特112条5項に関しては、件数が多くいちいち調査してただちに掲載するのが著しく煩雑であるため、不掲載である。


第五号

 審判若しくは再審の請求又はこれらの取下げ

第六号

 審判又は再審の確定審決(特許権の設定の登録又は出願公開がされたものに限る。)

 ・如何なる権利も与えないのであれば、発明の開示をすべきではないため、発明の開示がされていないものは特許公報への掲載を行わない。よって、確定審決であっても公報に掲載されない場合がある。
 ・登録公報への掲載がされたものではなく、特許権の設定の登録がされたものである。


第七号

 訂正した明細書及び特許請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容(訂正をすべき旨の確定した決定又は確定審決があつたものに限る。)

第八号

 裁定の請求若しくはその取下げ又は裁定

 ・裁定の請求が行われた特許権について取引等をしようとする者に警告するためである。

第九号

 第百七十八条第一項の訴えについての確定判決(特許権の設定の登録又は出願公開がされたものに限る。)

 ・確定判決であっても公報に掲載されない場合がある。

特許法194条(書類の提出等)

第一項

 特許庁長官又は審査官は、当事者に対し、審判又は再審に関する手続以外の手続を処理するため必要な書類その他の物件の提出を求めることができる。

 ・特許庁長官が行う例は、裁定の請求の処理であり、審査官が行う例は、審査の処理である。
 ・審判長は、審判又は再審において審尋できるため除かれている。


第二項

 特許庁長官又は審査官は、関係行政機関又は学校その他の団体に対して審査に必要な調査を依頼することができる。

 ・出願公開がされたものは、調査を依頼できる。
 ・審判官は規定されていない。


特許法195条(手数料)

第一項

 次に掲げる者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

 ・手数料に前納はない。

第一号

 第四条、第五条第一項若しくは第百八条第三項の規定による期間の延長又は第五条第二項の規定による期日の変更を請求する者

 ・期間延長の請求は手数料が必要となる。

第二号

 特許証の再交付を請求する者

第三号

 第三十四条第四項の規定により承継の届出をする者

 ・承継の届出をする者は手数料の納付が必要である。

第四号

 第百八十六条第一項の規定により証明を請求する者

第五号

 第百八十六条第一項の規定により書類の謄本又は抄本の交付を請求する者

第六号

 第百八十六条第一項の規定により書類の閲覧又は謄写を請求する者

第七号

 第百八十六条第一項の規定により特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求する者

第二項

 別表の中欄に掲げる者は、それぞれ同表の下欄に掲げる金額の範囲内において政令で定める額の手数料を納付しなければならない。

 ・通常の補正は手数料が不要であるが、誤訳訂正書による補正の場合は手数料が必要となる。

第三項

 特許出願人でない者が出願審査の請求をした後において、当該特許出願の願書に添付した特許請求の範囲についてした補正により請求項の数が増加したときは、その増加した請求項について前項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料は、同項の規定にかかわらず、特許出願人が納付しなければならない。

第四項

 前三項の規定は、これらの規定により手数料を納付すべき者が国であるときは、適用しない。

 ・請求項が増加しても、追加手数料が不要な場合がある。

第五項

 特許権又は特許を受ける権利が国と国以外の者との共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、国と国以外の者が自己の特許権又は特許を受ける権利について第一項又は第二項の規定により納付すべき手数料(出願審査の請求の手数料以外の政令で定める手数料に限る。)は、これらの規定にかかわらず、これらに規定する手数料の金額に国以外の者の持分の割合を乗じて得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。

 ・本項は、「出願から特許権取得までに必要な手続」及び「特許権の確定に必要な手続」であって、発明又は権利の内容に由来する手続に係る手数料のみを対象とすることとしたものである。
 ・審査請求手数料については本条6項に規定されている。
 ・自己(共有)の出願に対する閲覧、証明の請求等については本項の適用を受けられない。


第六項

 特許を受ける権利が国又は次条の規定若しくは他の法令の規定による出願審査の請求の手数料の軽減若しくは免除(以下この項において「減免」という。)を受ける者を含む者の共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、これらの者が自己の特許を受ける権利について第二項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料は、同項の規定にかかわらず、国以外の各共有者ごとに同項に規定する出願審査の請求の手数料の金額(減免を受ける者にあつては、その減免後の金額)にその持分の割合を乗じて得た額を合算して得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。

第七項

 前二項の規定により算定した手数料の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

第八項

 第一項から第三項までの手数料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。

 ・H20年改正により特許料等又は手数料を現金で納付できる場合、口座振替により納付できる。

第九項

 出願審査の請求をした後において、次に掲げる命令、通知又は査定の謄本の送達のいずれかがあるまでの間にその特許出願が放棄され、又は取り下げられたときは、第二項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料を納付した者の請求により政令で定める額を返還する。

 ・返還請求可能な者は、出願審査の請求の手数料を完納した者に限る。

第一号

 第三十九条第七項の規定による命令

第二号

 第四十八条の七の規定による通知

第三号

 第五十条の規定による通知

第四号

 第五十二条第二項の規定による査定の謄本の送達

第十項

 前項の規定による手数料の返還は、特許出願が放棄され、又は取り下げられた日から六月を経過した後は、請求することができない。

第十一項

 過誤納の手数料は、納付した者の請求により返還する。

第十二項

 前項の規定による手数料の返還は、納付した日から一年を経過した後は、請求することができない。

特許法195条の2(出願審査の請求の手数料の減免)

 特許庁長官は、次に掲げる者であつて資力に乏しい者として政令で定める要件に該当する者が、出願審査の請求の手数料を納付することが困難であると認めるときは、政令で定めるところにより、自己の特許出願について前条第二項の規定により納付すべき出願審査の請求の手数料を軽減し、又は免除することができる。

 ・適用要件:@自己の特許出願について出願審査の請求をする者であること、A発明者、相続人又は職務発明の承継人であること、B貧困により請求料を納付する資力がないこと。
・特109条とは異なり、猶予は認められていない。


第一号

 その発明の発明者又はその相続人

第二号

 その発明が第三十五条第一項の従業者等がした職務発明であつて、契約、勤務規則その他の定めによりあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を承継させることが定められている場合において、その従業者等から特許を受ける権利を承継した使用者等

特許法195条の3(行政手続法 の適用除外)

 この法律又はこの法律に基づく命令の規定による処分については、行政手続法 (平成五年法律第八十八号)第二章 及び第三章 の規定は、適用しない。

特許法195条の4(行政不服審査法 による不服申立ての制限)

 査定又は審決及び審判又は再審の請求書の却下の決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分については、行政不服審査法 による不服申立てをすることができない。

 ・裁定の処分において対価の額以外の不服があるときは、行服法に基づく異議申し立てが可能である。
 ・審判官による不適法な手続きの却下決定は、長官に対して行服法に基づく審査請求が可能である。
 ・受継申立の却下処分、受理官庁が認定を拒否したのは正当である旨の決定、裁定の取消決定、審判に対する費用の額の決定、期間延長請求不許可の決定、及び、判定請求書の却下決定は、不服申立が可能である。
 ・審判請求書の却下の決定に対しては、特許庁長官を被告として提訴する。
 ・補正却下の決定、不適法な判定請求の審決による却下、特許無効審判請求書の請求の理由の補正の許可、除斥又は忌避の申立についての決定、参加申請についての決定、判定、特許を維持すべき決定、裁定の対価の額、証拠保全すべき旨の決定は、行政不服審査法による不服申立が不可能である。





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