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特許法184条の6-184条の10

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

特許法184条の6(国際出願に係る願書、明細書等の効力等)

第一項

 国際特許出願に係る国際出願日における願書は、第三十六条第一項の規定により提出した願書とみなす。

第二項

 日本語でされた国際特許出願(以下「日本語特許出願」という。)に係る国際出願日における明細書及び外国語特許出願に係る国際出願日における明細書の翻訳文は第三十六条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書と、日本語特許出願に係る国際出願日における請求の範囲及び外国語特許出願に係る国際出願日における請求の範囲の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲と、日本語特許出願に係る国際出願日における図面並びに外国語特許出願に係る国際出願日における図面(図面の中の説明を除く。)及び図面の中の説明の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した図面と、日本語特許出願に係る要約及び外国語特許出願に係る要約の翻訳文は同項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。

第三項

 第百八十四条の四第二項又は第六項の規定により条約第十九条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合は、前項の規定にかかわらず、当該補正後の請求の範囲の翻訳文を第三十六条第二項の規定により願書に添付して提出した特許請求の範囲とみなす。

 ・外国語特許出願においてPCT19条補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合は、補正があったとみなされるわけではない。一方、日本語特許出願のPCT19条補正の補正書が提出された場合は補正があったとみなされる。なお、PCT34条の場合は両者とも補正とみなされる。つまり、外国語特許出願のPCT19条補正は、日本国において特17条の2の補正とは扱われない。

特許法184条の7(日本語特許出願に係る条約第十九条に基づく補正)

第一項

 日本語特許出願の出願人は、条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、同条(1)の規定に基づき提出された補正書の写しを特許庁長官に提出しなければならない。

 ・PCT19条では、国際調査報告受領後、国際出願の請求の範囲について1回に限り国際事務局に対して国際出願がされた言語で補正できる。

第二項

 前項の規定により補正書の写しが提出されたときは、その補正書の写しにより、願書に添付した特許請求の範囲について第十七条の二第一項の規定による補正がされたものとみなす。ただし、条約第二十条の規定に基づき前項に規定する期間内に補正書が特許庁に送達されたときは、その補正書により、補正がされたものとみなす。

 ・PCT19条に基づく補正書の写しはPCT22条に規定する国際出願の写しに含まれており、その提出が所定期間内にないときは、PCT24条の規定により国際出願の取下と同一の効果をもって消滅することとなっている。
 ・PCT20条によりPCT19条補正の補正書の写しは、国際事務局から送達されることから、国内処理基準時までに送達があった時は、出願人からの提出の有無に関らず、補正がされたものとみなされる。
 ・外国語特許出願の場合のPCT19条補正においては、補正とみなされる場合がない。
 ・提出された補正書の写しの効果はPCT上なんら規定されていない。なお、補正書の写しを国内処理基準時の属する日までに提出しないことは、国際出願の日本における効果には影響しない。


第三項

 第一項に規定する期間内に日本語特許出願の出願人により同項に規定する手続がされなかつたときは、条約第十九条(1)の規定に基づく補正は、されなかつたものとみなす。ただし、前項ただし書に規定するときは、この限りでない。

 ・国際出願提出後に明細書や請求の範囲の一部の欠落を補充できる。国際出願日認定後に欠落部分の補充をした場合には、国際出願日はその欠落部分を提出した日に修正される。但し、出願人は国際出願日の通知日から1月以内に欠落部分を無視するように請求できる。
 ・優先権主張を伴う国際出願は、所定条件下、先の出願に記載されている事項を引用して欠落部分を補充できる。引用されたものは、国際出願を意図する書面に最初から含まれていたものとみなされて、国際出願日が認定される。但し、日本国では引用補充が認められていないので、後の提出により補充したものとして扱われる。


特許法184条の8(条約第三十四条に基づく補正)

第一項

 国際特許出願の出願人は、条約第三十四条(2)(b)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、日本語特許出願に係る補正にあつては同条(2)(b)の規定に基づき提出された補正書の写しを、外国語特許出願に係る補正にあつては当該補正書の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。

 ・国際予備審査機関は、出願人の請求により、出願人に対し、補正書又は抗弁を提出する一又は二以上の追加の機会をあたえることができる。

第二項

 前項の規定により補正書の写し又は補正書の翻訳文が提出されたときは、その補正書の写し又は補正書の翻訳文により、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の二第一項の規定による補正がされたものとみなす。ただし、日本語特許出願に係る補正につき条約第三十六条(3)(a)の規定に基づき前項に規定する期間内に補正書が特許庁に送達されたときは、その補正書により、補正がされたものとみなす。

 ・PCT19条補正が請求の範囲のみなのに対し、PCT34条補正は請求の範囲、明細書及び図面の補正ができる。
 ・PCT19条補正の写しが出願時の国際出願と一緒に国際事務局から送達されるのに対し、PCT34条補正は国際予備審査機関の付属書類として国際事務局から送達される。
 ・PCT19条補正の翻訳文はPCT22条の所定の翻訳文に含まれ、PCT22条の一定の期間内に提出しなければならないのに対し、PCT34条補正の翻訳文は、PCT22条の所定の翻訳文とは別個に補正がされてから一定の期間内に提出しなければならない。但し、一の用紙全体を削除する場合を除く。
 ・国際事務局から特許庁へ補正書が送達される場合がある。
 ・国際予備審査機関が補正書を選択官庁に送達した場合は、出願人が補正書を提出しない場合でも補正されたとみなされる。
 ・PCT34条補正が図面に関する場合、補正書の翻訳文は図面の中の説明だけでなく、補正された図面全体の翻訳文である。


第三項

 第一項に規定する期間内に国際特許出願の出願人により同項に規定する手続がされなかつたときは、条約第三十四条(2)(b)の規定に基づく補正は、されなかつたものとみなす。ただし、前項ただし書に規定するときは、この限りでない。

第四項

 第二項の規定により外国語特許出願に係る願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の二第一項の規定による補正がされたものとみなされたときは、その補正は同条第二項の誤訳訂正書を提出してされたものとみなす。

 ・PCT34条補正は国内処理基準時の属する日までに補正後の翻訳文を提出すれば特17条の2の補正とみなされる。
 ・誤訳の訂正を目的とする場合であっても、誤訳訂正書は不要である。


特許法184条の9(国内公表等)

第一項

 特許庁長官は、第百八十四条の四第一項又は第四項の規定により翻訳文が提出された外国語特許出願について、特許掲載公報の発行をしたものを除き、国内書面提出期間(同条第一項ただし書の外国語特許出願にあつては、翻訳文提出特例期間。以下この項において同じ。)の経過後(国内書面提出期間内に出願人から出願審査の請求があつた国際特許出願であつて条約第二十一条に規定する国際公開(以下「国際公開」という。)がされているものについては出願審査の請求の後、第百八十四条の四第四項の規定により明細書等翻訳文が提出された外国語特許出願については当該明細書等翻訳文の提出の後)、遅滞なく、国内公表をしなければならない。

 ・国内公表にも請求による早期公開がある。なお、国内公表されるのは、@国内書面提出期間経過後、A翻訳文提出特例期間経過後、B国際公開され且つ審査請求された後、の3つである。
 ・指定国の全てがPCT64条の留保の宣言をしている場合には、国際公開はされない。但し、出願人が請求した場合を除く。
 ・国際公開においても、早期公開請求できる。
 ・指定官庁は、出願人の明示の請求がある場合を除き、国内書面提出期間内に国際出願の処理又は審査を行ってはならない。
 ・国内官庁等は、出願人の請求による場合又は承諾を得た場合を除き、所定の時期まで国際出願について秘密を保持する義務がある。


第二項

 国内公表は、次に掲げる事項を特許公報に掲載することにより行う。

 ・出願公開の場合は、補正後の内容が掲載されるのに対し、国内公表の場合は原則として最初に提出された国際出願の内容が対象となる。但し、PCT19条補正後の翻訳文が提出されている場合は該翻訳文が公表される。
 ・国際実用新案登録出願については国内公表制度がなく、国際公開されたとしても保証金請求権は発生しない。


第一号

 出願人の氏名又は名称及び住所又は居所

第二号

 特許出願の番号

第三号

 国際出願日

第四号

 発明者の氏名及び住所又は居所

第五号

 第百八十四条の四第一項に規定する明細書及び図面の中の説明の翻訳文に記載した事項、同項に規定する請求の範囲の翻訳文(同条第二項に規定する翻訳文が提出された場合にあつては、当該翻訳文)及び同条第六項に規定する翻訳文に記載した事項、図面(図面の中の説明を除く。)の内容並びに要約の翻訳文に記載した事項(特許公報に掲載することが公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると特許庁長官が認めるものを除く。)

 ・国際出願の翻訳文と併せてPCT19条補正後の翻訳文が提出された場合は、両者が掲載される。
 ・国際出願の翻訳文に代えてPCT19条補正後の翻訳文が提出された場合は、翻訳文のみが掲載される。


第六号

 国内公表の番号及び年月日

第七号

 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

 ・必要な事項とは、特許分類、優先権の主張時の第一国出願年月日などである。

第三項

 第六十四条第三項の規定は、前項の規定により同項第五号の要約の翻訳文に記載した事項を特許公報に掲載する場合に準用する。

第四項

 第六十四条の規定は、国際特許出願には、適用しない。

 ・日本語特許出願は日本語で国際公開されるので、出願公開又は国内公表されない。

第五項

 国際特許出願については、第四十八条の五第一項、第四十八条の六、第六十六条第三項ただし書、第百二十八条、第百八十六条第一項第一号及び第二号並びに第百九十三条第二項第一号、第二号、第六号及び第九号中「出願公開」とあるのは、日本語特許出願にあつては「第百八十四条の九第一項の国際公開」と、外国語特許出願にあつては「第百八十四条の九第一項の国内公表」とする。

第六項

 外国語特許出願に係る証明等の請求については、第百八十六条第一項第一号中「又は第六十七条の二第二項の資料」とあるのは「又は千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約第三条(2)に規定する国際出願の願書、明細書、請求の範囲、図面若しくは要約(特許権の設定の登録がされた国際特許出願に係るもの又は国際公開がされたものを除く。)」とする。

 ・外国語特許出願の国際出願日における明細書等は、国際公開されるまでは証明書等の請求ができない。

第七項

 国際特許出願に関し特許公報に掲載すべき事項については、第百九十三条第二項第三号中「出願公開後における」とあるのは、「国際公開がされた国際特許出願に係る」とする。

特許法184条の10(国際公開及び国内公表の効果等)

第一項

 国際特許出願の出願人は、日本語特許出願については国際公開があつた後に、外国語特許出願については国内公表があつた後に、国際特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、日本語特許出願については国際公開がされた国際特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に、外国語特許出願については国内公表がされた国際特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に、業としてその発明を実施した者に対しては、同様とする。

 ・補償金請求権は、日本語特許出願においては国際公開により、外国語特許出願においては国内公表により発生する。

第二項

 第六十五条第二項から第六項までの規定は、前項の規定により請求権を行使する場合に準用する。




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