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特許法176-180条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

特許法176条

 無効にした特許に係る特許権若しくは無効にした存続期間の延長登録に係る特許権が再審により回復したとき、又は拒絶をすべき旨の審決があつた特許出願若しくは特許権の存続期間の延長登録の出願について再審により特許権の設定の登録若しくは特許権の存続期間を延長した旨の登録があつたときは、当該審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許権について通常実施権を有する。

 ・追納により回復した場合は後用権は発生しない。
 ・事業設備の維持という見地が加味されている。
 ・回復までの善意実施ではなく、請求の登録までである。


特許法177条(削除)

特許法178条(審決等に対する訴え)

第一項

 審決に対する訴え及び審判若しくは再審の請求書又は第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。

 ・審判手続が準司法的手続によって厳正に行われる以上、さらに三審級重ねることはいたずらに事件の解決を遅延させるからである。また、事件の内容が専門技術的であるため、特許関係の専門家によって行われた審判手続を尊重してもよいからである。
 ・補正却下、除斥忌避の決定、参加拒否の決定に関しては単独で提訴できない。但し、忌避・除斥の決定に対しては審決の当否と併せて当否を争うことができる。
 ・再審の審決に対しても東京高裁に提訴できる。
 ・誤って東京地裁に提訴した場合、訴訟却下・移送となり、判決があっても当然に控訴・上告理由となる。
 ・審決取消訴訟においては、審判手続きにおいて審理判断されていない証拠に記載された発明との対比における無効原因の存否を認定して、審決の適法不適法を判断することは許されない。しかし、審判手続きで審理判断されていない証拠に基づき、特許出願当時の技術常識を認定することは許される。なお、審判で審理判断されていない無効理由を審決取消訴訟において主張することは許されない(審理判断されていない証拠に基づき同一の無効理由を主張する場合を含む)。一審級省略されているのは、無効審判において当事者の関与のもと、十分な審理がなされたためと解されるからである。
 ・利害関係人に提訴の機会を与えるため、参加を拒否された者も提訴できる。なお、参加申請の機会を徒過してしまわないように、審判長が審判の請求があった旨を特許に関する権利を有する者に通知する。
 ・共有者の一人が単独で審決取消訴訟を提起した場合、拒絶審決取消訴訟では、合一確定の要請を重視し(固有必要的共同訴訟)不適法とされる。一方、無効審決取消訴訟では、権利の財産的価値を重視し、保存行為として適法とされる。なお、各共有者が個別に無効審決取消訴訟を提起した場合でも、これらの訴訟は類似必要的共同訴訟に当たるので、併合して審理判断されるため合一確定の要請は充たされる。


第二項

 前項の訴えは、当事者、参加人又は当該審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。

 ・共同して請求した無効審判において、一方が請求を取下げて他方に請求却下審決がされた場合、該一方の者は原告適格を有しない。
 ・参加の申請をした質権者、実施権者等は参加が許されれば参加人として、許されなくとも第三者として審決に対する訴えを提起できる。
 ・共同請求(特132条1項)に係る特許無効審判について、審決の取消しを求める訴えは、無効審判の請求をした者の全員が共同して提起することを要すると解すべき理由はないから、当該無効審判請求人の一部の者は単独で審決取消訴訟を提起することができる。


第三項

 第一項の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。

 ・審決及び決定は、それに対して不服のある者により法の規定する期間内に訴えが提起されず、又は提起されても終局的にその審決等が支持されて、通常の不服申立ての方法で取り消すことができない状態になったとき確定する。また、拒絶査定不服審判において特許(登録)すべきものとする審決、訂正審判で訂正が認められた場合の審決は、不服を申し立てる法律上の利益を有する者が存在しないことから、審決の謄本の送達があったときに確定する。なお、特許(登録)無効審判、訂正審判、登録異議の申立て(商標法)、商標登録の無効の審判の審決等は、その一部が確定することがある。
 ・末日が休日であっても順延しない。また、到達主義を採る。
 ・審判請求書の却下決定があると、決定謄本が送達される。


第四項

 前項の期間は、不変期間とする。

 ・不変期間とは、民訴法上、法定期間のうちで裁判所が職権で伸縮できない期間のことをいう。但し、附加期間を定めることが出来る。

第五項

 審判長は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができる。

 ・請求によっては附加期間は加えられない。
 ・附加期間は伸縮できる。
 ・不変期間を徒過した場合も、附加期間を徒過した場合も追完できる。


第六項

 審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。

 ・審判手続きを経ていない場合は、提訴できない旨を規定している。

特許法179条(被告適格)

 前条第一項の訴えにおいては、特許庁長官を被告としなければならない。ただし、特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する第百七十一条第一項の再審の審決に対するものにあつては、その審判又は再審の請求人又は被請求人を被告としなければならない。

 ・無効審判請求書が特131条違反を理由に、特133条3項により決定をもって却下された場合は、長官を被告人としなければならない。しかし、特許無効審判請求の審決却下は、相手方を被告とする。

特許法180条(出訴の通知等)

第一項

 裁判所は、前条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、遅滞なく、その旨を特許庁長官に通知しなければならない。

 ・特許無効審判、延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する再審の審決に対する訴の提起があつたときについて規定している。
 ・特許庁長官が被告となる訴訟に関しては通知されない。


第二項

 裁判所は、前項の場合において、訴えが請求項ごとに請求された特許無効審判又はその審判の確定審決に対する再審の審決に対するものであるときは、当該訴えに係る請求項を特定するために必要な書類を特許庁長官に送付しなければならない。

特許法180条の2(審決取消訴訟における特許庁長官の意見)

第一項

 裁判所は、第百七十九条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、特許庁長官に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を求めることができる。

 ・手続き上の便宜のため、意見を述べるのは審決をした審判官ではなく特許庁長官となっている。
 ・当事者系審判について審決取消訴訟が提起された場合において、特許庁による法令解釈や運用基準が争点となるとき、または、特許庁の専門的知識が審理充実のために必要となるときに、特許庁又は裁判所の発議により、特許庁長官が裁判所に意見を述べる制度を創設した。


第二項

 特許庁長官は、第百七十九条ただし書に規定する訴えの提起があつたときは、裁判所の許可を得て、裁判所に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を述べることができる。

 ・特許庁が裁判所の求めによらず意見を述べる場合には、訴訟が遅延するなどの問題が生じる可能性があるからである。

第三項

 特許庁長官は、特許庁の職員でその指定する者に前二項の意見を述べさせることができる。

 ・特許庁の職員が意見を述べることもできる。なお、特許庁の職員以外に意見を述べさせることはできない。
 ・実47条2項、意59条2項、商63条2項で準用している。





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