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特許法166-170条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

特許法166条

 第百三十四条第一項から第三項まで、第百三十四条の二、第百三十四条の三、第百四十八条及び第百四十九条の規定は、訂正審判には、適用しない。

 ・訂正の審判には参加できない。
 ・特154条を除外していないので、審判の併合は可能である。
 ・特134条4項は、訂正審判に適用される。


特許法167条(審決の効力)

 特許無効審判又は延長登録無効審判の審決が確定したときは、当事者及び参加人は、同一の事実及び同一の証拠に基づいてその審判を請求することができない。

 ・審判の当事者及び参加人は登録がなくとも審決の確定を知ることができるので、審決が確定したときに審決の効力が発生する。
 ・訂正審判では一事不再理効は認められない。
 ・審決確定前であれば、同一の事実及び同一の証拠に基づいて請求可能である。なお、このような複数の無効審判が請求されている場合に、一方の無効審判において請求不成立審決(特許有効審決)がなされたとしても、他方の無効審判の請求が不適法となるものではない。他の無効審判請求人のそれまでの手続きを無にして、その利益を失わせることなり不合理であるためである。
 ・同一の事実についての再請求であっても、異なる証拠であれば良い。
 ・事実とは、刊行物公知である等をいう。証拠とは、刊行物の引用部分等をいう。同一の証拠とは、同一性のある証拠のことをいうので、記載内容が実質的に同一のものを含む。また、同一文献であっても引用部分が異なれば同一の証拠には含まれない。
 ・無効審判の手続中に請求された訂正を認める審決が確定した場合、同一事実・同一証拠を根拠として訂正が不適法である旨を主張する無効審判の請求は審決却下される。訂正に関しては、不適法な訂正であることを理由とする無効審判が審理された場合と実質的に同等の審理が行われており、かつ、同じ当事者系の審判であるから、訂正を認める根拠として採用された事実・証拠に対しては、一事不再理の法理が適用されると考えるのが合理的だからである。
 ・審判に関与していない者にまで確定審決の効力が及ぶとすることは、民事訴訟の例と比較した結果、妥当でないとされたため、H23法改正により、第三者については同一事実及び同一証拠に基づいてその審判を請求することができるとされた。一方で、先の審判の当事者及び参加人については、蒸し返しをさせるべきではないことから、引き続き、同一事実及び同一証拠に基づいてその審判を請求することができないこととされた。
 ・訂正を認めないで特許有効の無効審判の審決が確定した場合に、後の訂正審判において、当該審決で採用された事実及び証拠と同じものに反駁する形で同じ内容の訂正を請求することに対しては、一事不再理の適用はない。一事不再理の適用により禁止されるのは、当事者系の審判請求だからである。
 ・訂正を認めないで特許有効の無効審判の審決が確定した場合に、後の他の無効審判手続中での訂正において、当該審決で採用された事実及び証拠と同じものに反駁する形で同じ内容の訂正を請求することに対しても、一事不再理の適用はない。一事不再理の適用により禁止されるのは、審判の請求だからであり、訂正の請求ではないからである。


特許法167条の2(審決の確定範囲)

第一項

 審決は、審判事件ごとに確定する。ただし、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定めるところにより確定する。
 ・審決は原則として審判事件毎に確定する。ただし書は、一群の請求項の中で請求項毎に審決の確定時期が分かれてしまうと、確定時期の異なる複数の特許請求の範囲を読み分けなければならなくなり、公示が分かり難くなるため規定された。
 ・請求項毎に無効審判が請求された場合、訴えが提起されなかった請求項についての審決は、出訴期間(審決謄本の送達日から30日)経過時に確定する。
 ・裁判によらないで訴訟手続きが完了した場合(訴えの取下げ、訴訟上の和解等)、それに伴って審決が確定する。
 ・訂正審判においては、審決謄本の送達があった時に訂正すべき旨の審決が確定する。

第一号

 請求項ごとに特許無効審判の請求がされた場合であつて、一群の請求項ごとに第百三十四条の二第一項の訂正の請求がされた場合 当該一群の請求項ごと

第二号

 一群の請求項ごとに訂正審判の請求がされた場合 当該一群の請求項ごと

第三号

 請求項ごとに審判の請求がされた場合であつて、第一号に掲げる場合以外の場合 当該請求項ごと

特許法168条(訴訟との関係)

第一項

 審判において必要があると認めるときは、他の審判の審決が確定し、又は訴訟手続が完結するまでその手続を中止することができる。

第二項

 訴えの提起又は仮差押命令若しくは仮処分命令の申立てがあつた場合において、必要があると認めるときは、裁判所は、審決が確定するまでその訴訟手続を中止することができる。

 ・侵害訴訟が提起されている場合、無効審判を請求した旨を裁判所に陳述し、訴訟手続の中止を申し立てることができる。これにより、裁量で審決があるまで訴訟手続が中止される。

第三項

 裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に関する訴えの提起があつたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。その訴訟手続が完結したときも、また同様とする。

 ・侵害訴訟事件の早期解決のために、特許庁と裁判所との間で情報交換を行うものである。

第四項

 特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、その特許権についての審判の請求の有無を裁判所に通知するものとする。その審判の請求書の却下の決定、審決又は請求の取下げがあつたときも、また同様とする。

 ・侵害訴訟事件の早期解決のために、特許庁と裁判所との間で情報交換を行うものである。

第五項

 裁判所は、前項の規定によりその特許権についての審判の請求があつた旨の通知を受けた場合において、当該訴訟において第百四条の三第一項の規定による攻撃又は防御の方法を記載した書面がその通知前に既に提出され、又はその通知後に最初に提出されたときは、その旨を特許庁長官に通知するものとする。

 ・審判が係属しており且つ特許無効(権利濫用)が主張された場合に、その旨を特許庁長官に通知するものである。

第六項

 特許庁長官は、前項に規定する通知を受けたときは、裁判所に対し、当該訴訟の訴訟記録のうちその審判において審判官が必要と認める書面の写しの送付を求めることができる。

 ・訴訟において特許無効が主張された場合に、係属している特許無効審判に必要な書面の写しを求めることができる旨が規定されている。

特許法169条(審判における費用の負担)

第一項

 特許無効審判及び延長登録無効審判に関する費用の負担は、審判が審決により終了するときはその審決をもつて、審判が審決によらないで終了するときは審判による決定をもつて、職権で、定めなければならない。

 ・費用負担の審決又は決定は、申立によらず職権で行う。
 ・審判が審決によらずに終了する場合とは、審判請求の取下の場合などである。なお、放棄、認諾、和解では終了しない。
 ・審判費用は原則として敗訴者が負担する。対立構造となる無効審判においては、主張が容認されなかった者に審判の費用を負担させることが公平と考えられるからである。但し、不必要な費用については勝訴者も負担する。
 ・審判の費用として計算される項目(審判便覧):
 @審判請求書その他の書類の作成及び提出の費用
 A翻訳料
 B審判手数料
 C特13条により弁理士に代理を命じたときの報酬
 D期日に出頭した当事者及び代理人の日当、旅費、宿泊費
 E証人鑑定人通訳人及び鑑定書の説明者の日当旅費、宿泊費
 F鑑定料、通訳料
 G実地検証のための審判官及び審判書記官の旅費、宿泊費
 H証拠保全に要した費用
 Iその他


第二項

 民事訴訟法第六十一条 から第六十六条 まで、第六十九条第一項及び第二項、第七十条並びに第七十一条第二項(訴訟費用の負担)の規定は、前項に規定する審判に関する費用に準用する。この場合において、同法第七十一条第二項 中「最高裁判所規則」とあるのは、「経済産業省令」と読み替えるものとする。

第三項

 拒絶査定不服審判及び訂正審判に関する費用は、請求人の負担とする。

 ・拒絶査定不服審判又は訂正審判の費用は、請求人又は申立人のみが負担する。なお、証拠調べ等の費用も、審判請求人の負担になる。

第四項

 民事訴訟法第六十五条 (共同訴訟の場合の負担)の規定は、前項の規定により請求人が負担する費用に準用する。

第五項

 審判に関する費用の額は、請求により、審決又は決定が確定した後に特許庁長官が決定をする。

 ・費用の額について争いがあるときは、請求により、特許庁長官が決定する。
 ・費用の額については、行政不服審査法に基づく異議申立が可能であり、行政事件訴訟法に基づく提訴も出来る。


第六項

 審判に関する費用の範囲、額及び納付並びに審判における手続上の行為をするために必要な給付については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律 (昭和四十六年法律第四十号)中これらに関する規定(第二章第一節及び第三節に定める部分を除く。)の例による。

特許法170条(費用の額の決定の執行力)

 審判に関する費用の額についての確定した決定は、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。

 ・執行力とは、判決の主文に書かれた給付義務を強制執行により実現できる効力をいう。つまり、費用負担者(敗訴者)が(勝訴者に対して)費用不払いの場合は、(勝訴者は)その一般財産に対して強制執行できる。
 ・費用の額の決定に対しては、行服法の異議申立や行訴法の提訴ができる。
 ・決定が確定した時に、執行力のある債務名義と同一の効力を有する。





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