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特許法156-160条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

特許法156条(審理の終結の通知)

第一項

 審判長は、特許無効審判以外の審判においては、事件が審決をするのに熟したときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。

 ・審理終結通知は必ず出される。当事者が口頭審理に出頭していない場合であっても審理を進行することができるので、当事者が審判の進行状況を意識していないことがあり、なんらの予告も無く審決をするのは当事者に酷だからである。
 ・通知の効力は、通知が当事者又は代理人に到達したときに発生する。
 ・参加を拒否された者には通知されない。
 ・@拒絶査定不服の審判であって、請求が成り立つ場合、A事件を原審に差し戻す場合、B補正の却下不服の審判であって、請求が成り立つ場合、C訂正審判であって、請求が全て成り立つ場合は、審理終結通知を省略できる。
 ・当事者系審判において、審決却下を行う場合(請求書の副本を被請求人に送達していないものも含めて)は、当事者双方へ審理終結通知を行う。


第二項

 審判長は、特許無効審判においては、事件が審決をするのに熟した場合であつて第百六十四条の二第一項の審決の予告をしないとき、又は同項の審決の予告をした場合であつて同条第二項の規定により指定した期間内に被請求人が第百三十四条の二第一項の訂正の請求若しくは第十七条の四第一項の補正をしないときは、審理の終結を当事者及び参加人に通知しなければならない。

第三項

 審判長は、必要があるときは、前二項の規定による通知をした後であつても、当事者若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審理の再開をすることができる。

 ・職権によるものの例としては、重要な証拠の取調べを忘れていた場合等がある。

第四項

 審決は、第一項又は第二項の規定による通知を発した日から二十日以内にしなければならない。ただし、事件が複雑であるとき、その他やむを得ない理由があるときは、この限りでない。

 ・訓示規定であるので、終結通知から20日以内に審決がなされない場合でも、違法性はなく審理を再開する必要も無い。
 ・「通知を発した日から」なので、到達後ではない。


特許法157条(審決)

第一項

 審決があつたときは、審判は、終了する。

 ・審判は和解、請求の放棄又は認諾によっては終了しない。職権による審理が行われ、当事者の自由な処分が認められないからである。例外的に、取下により終了する。

第二項

 審決は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。

第一号

 審判の番号

第二号

 当事者及び参加人並びに代理人の氏名又は名称及び住所又は居所

第三号

 審判事件の表示

第四号

 審決の結論及び理由

第五号

 審決の年月日

第三項

 特許庁長官は、審決があつたときは、審決の謄本を当事者、参加人及び審判に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。

 ・審決謄本は特許庁長官が送達する。
 ・参加を申請して許されなかった者にも送達するのは、この者が訴えを提起することが認められるからである。


特許法158条(拒絶査定不服審判における特則)

 審査においてした手続は、拒絶査定不服審判においても、その効力を有する。

 ・審査において通知された拒絶理由は、査定の理由と異なる拒絶理由であっても審判において効力を有するので、審判官は再度拒絶理由を通知することなく、査定の拒絶理由と異なる拒絶理由で拒絶査定を維持する旨の審決をすることができる。
 ・審査には前置審査も含まれるので、前置審査での拒絶理由と同じ理由で拒絶審決することができる。


特許法159条

第一項

 第五十三条の規定は、拒絶査定不服審判に準用する。この場合において、第五十三条第一項中「第十七条の二第一項第一号又は第三号」とあるのは「第十七条の二第一項第一号、第三号又は第四号」と、「補正が」とあるのは「補正(同項第一号又は第三号に掲げる場合にあつては、拒絶査定不服審判の請求前にしたものを除く。)が」と読み替えるものとする。

 ・審判において審判請求前の補正の瑕疵が発見されても、適法であると信じた請求人の利益を保護するために補正が却下されることはない。そのため、拒絶理由が通知される。
 ・不適法な補正の場合は、審判官が決定をもって却下する。なお、特許査定する場合は、不適法な補正を審査官が却下することもある。
 ・拒絶査定不服審判及び前置審査においても、特50条の2の通知を行うことができる。


第二項

 第五十条及び第五十条の二の規定は、拒絶査定不服審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。この場合において、第五十条ただし書中「第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)」とあるのは、「第十七条の二第一項第一号(拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限るものとし、拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)、第三号(拒絶査定不服審判の請求前に補正をしたときを除く。)又は第四号に掲げる場合」と読み替えるものとする。

 ・新規性なしとして拒絶査定されたものを進歩性なしとして拒絶する場合は、新たな意見書の提出機会を与えなければならない。しかし、拒絶査定と異なる理由であっても、審査時に意見書提出機会が与えられていれば、審判時に意見書提出機会を与えずに拒絶審決ができる。
 ・再審でも準用している。
 ・補正を却下して拒絶する場合は、再度の拒絶理由通知は不要である。


第三項

 第五十一条及び第六十七条の三第二項の規定は、拒絶査定不服審判の請求を理由があるとする場合に準用する。

 ・審判請求に理由があると判断した場合、特許審決又は延長登録審決がなされる。
 ・延長登録拒絶審判の審判請求に理由があり、他の拒絶理由が無い場合、審判官は延長登録をすべき審決をしなければならない。


特許法160条

第一項

 拒絶査定不服審判において査定を取り消すときは、さらに審査に付すべき旨の審決をすることができる。

 ・差戻審決に基づく審査においては、査定に関与した審査官が審査できる。
 ・拒絶査定取消審決となる場合は、@審判請求が正当である場合、A審査の手続きに重大な瑕疵がある場合、B査定の成立過程に法令違反があり、査定の存在が疑問である場合である。


第二項

 前項の審決があつた場合における判断は、その事件について審査官を拘束する。

 ・差戻し後の審査においては、別の理由によれば拒絶理由を通知できる。例えば、新規性欠如の拒絶査定を取り消す差戻審決があっても、審査官は同一引例で進歩性欠如の拒絶査定ができる。

第三項

 第一項の審決をするときは、前条第三項の規定は、適用しない。

 ・差戻審決においては、審判請求に理由があると判断した場合であっても特許査定をしない。




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