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特許法133条の2-135条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

特許法133条の2(不適法な手続の却下)

第一項

 審判長は、審判事件に係る手続(審判の請求を除く。)において、不適法な手続であつてその補正をすることができないものについては、決定をもつてその手続を却下することができる。

 ・不適法な審判請求に関しては、審決却下される。なお、本条の却下は審判長が行うが、特135条の却下は合議体が行う
 ・本項の却下決定に対しては行政不服審査法上の不服申立て(審査請求)ができる。


第二項

 前項の規定により却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明書を提出する機会を与えなければならない。

 ・補正できない不適法な審判請求手続きは手続却下ではなく、弁明書提出機会を与えずに審決却下できる。

第三項

 第一項の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。

特許法134条(答弁書の提出等)

第一項

 審判長は、審判の請求があつたときは、請求書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。

 ・被請求人による答弁書の提出は任意であり、審判長は答弁書の提出の有無に関わらず手続きを進行できる。
 ・審判請求があったときとは、方式審査後のことである。
 ・指定期間経過後であっても、審理終結通知がされるまでは答弁書を提出できる。
 ・本項の手続きを経ずに審決したときは、違法な手続き上の瑕疵があったとして審決取消理由となる。


第二項

 審判長は、第百三十一条の二第二項の規定により請求書の補正を許可するときは、その補正に係る手続補正書の副本を被請求人に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。ただし、被請求人に答弁書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるときは、この限りでない。

 ・特段の事情には、補正後においても答弁や訂正をさせるまでもなく無効審判請求に理由がないと認められる場合等が該当する。なお、答弁書の提出は任意である。
 ・要旨変更補正が認められた場合は、特許権者に対して答弁書提出機会と、訂正請求の機会が与えられる。


第三項

 審判長は、第一項又は前項本文の答弁書を受理したときは、その副本を請求人に送達しなければならない。

 ・当事者参加人には送達されるが、補助参加人には送達されない。当事者参加人は請求人として審判に参加する者であるからである。

第四項

 審判長は、審判に関し、当事者及び参加人を審尋することができる。

 ・審尋は、審判長がするものであり、請求の適法要件の具備について事実関係を明らかにさせる場合、事実関係は明らかであるが請求書などの表示を正確にさせる場合、又は本案審理に入った後に事実関係を明らかにさせる必要が生じた場合などに行われる。
 ・特許法に規定するいかなる審判、再審であっても、審判長は、審判に関し、当事者及び参加人を口頭又は文書で審尋することができる。


特許法134条の2(特許無効審判における訂正の請求)

第一項

 特許無効審判の被請求人は、前条第一項若しくは第二項、次条、第百五十三条第二項又は第百六十四条の二第二項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求することができる。ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。

 ・訂正の請求後に無効審判の請求が取下げられた時は訂正は確定しない。
 ・訂正の理由は無効審判の請求理由に限られない。
 ・訂正は訂正を認容する結論を含む審決が確定したときに効力を生じる。
 ・訂正審判が継続中であっても、無効審判が請求されれば訂正の請求ができる。
 ・訂正は直前明細書の範囲内でなければならないので、出願当初明細書の範囲内であっても訂正が認容されない場合がある。
 ・訂正請求書は審判長に提出する。なお、訂正審判の請求書は特許庁長官に提出する。
 ・複数の請求項に係る訂正請求の場合、特許無効審判が請求されている請求項についての特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正は、請求項ごとにその許否を判断する。一部の請求項に係る訂正事項が訂正の要件に適合しないことのみを理由として、他の請求項に係る訂正事項を含む訂正の全部を認めないとすることは許されない。


第一号

 特許請求の範囲の減縮

第二号

 誤記又は誤訳の訂正

第三号

 明瞭でない記載の釈明

第四号

 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。

 ・特126条1項4号に対応する。

第二項

 二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに前項の訂正の請求をすることができる。ただし、特許無効審判が請求項ごとに請求された場合にあつては、請求項ごとに同項の訂正の請求をしなければならない。

 ・特126条3項前段に対応する。
 ・ただし書は、無効審判が請求項毎にされた場合に、請求項単位で審決の確定を行えるようにするための規定である。


第三項

 前項の場合において、当該請求項の中に一群の請求項があるときは、当該一群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。

 ・特126条3項後段に対応する。

第四項

 審判長は、第一項の訂正の請求書及びこれに添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面を受理したときは、これらの副本を請求人に送達しなければならない。

 ・訂正の許否に関わらず副本を送付しなければならない。

第五項

 審判官は、第一項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第九項において読み替えて準用する第百二十六条第五項から第七項までの規定に適合しないことについて、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。この場合において、当該理由により訂正の請求を認めないときは、審判長は、審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。

第六項

 第一項の訂正の請求がされた場合において、その審判事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす。

 ・訂正の請求が複数ある場合、原則として最後の訂正の請求に基づき可否が判断される。特許権者の意思をもっとも良く反映しているのは、後の訂正請求と考えられるからである。

第七項

 第一項の訂正の請求は、同項の訂正の請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲又は図面について第十七条の四第一項の補正をすることができる期間内に限り、取り下げることができる。この場合において、第一項の訂正の請求を第二項又は第三項の規定により請求項ごとに又は一群の請求項ごとにしたときは、その全ての請求を取り下げなければならない。

 ・訂正の請求の一部取下げを認めれば、明細書等の一覧性を確保する趣旨に反するため、一部取下げは認められない。なお、訂正明細書等の補正により訂正事項の一部削除はできる。

第八項

 第百五十五条第三項の規定により特許無効審判の請求が請求項ごとに取り下げられたときは、第一項の訂正の請求は、当該請求項ごとに取り下げられたものとみなし、特許無効審判の審判事件に係る全ての請求が取り下げられたときは、当該審判事件に係る同項の訂正の請求は、全て取り下げられたものとみなす。

 ・審判請求が取下げられても訂正の請求は残すことにすると、その後に訂正の機会が与えられなければ訂正前の状態に戻すことができないからである。なお、特許権者は、無効審判の請求の取下げを承諾するか否かにより、訂正の請求の取下げについて実質的に選択できる。

第九項

 第百二十六条第四項から第八項まで、第百二十七条、第百二十八条、第百三十一条第一項、第三項及び第四項、第百三十一条の二第一項、第百三十二条第三項及び第四項並びに第百三十三条第一項、第三項及び第四項の規定は、第一項の場合に準用する。この場合において、第百二十六条第七項中「第一項ただし書第一号又は第二号」とあるのは、「特許無効審判の請求がされていない請求項に係る第一項ただし書第一号又は第二号」と読み替えるものとする。

 ・無効審判が請求されていない請求項に係る訂正においては独立特許要件が要求される。無効審判が請求されている請求項についての独立特許要件は無効審判中で審理される。
 ・訂正請求にも請求書の提出が必要である。


特許法134条の3(取消しの判決があつた場合における訂正の請求)

第一項

 審判長は、特許無効審判の審決(審判の請求に理由がないとするものに限る。)に対する第百八十一条第一項の規定による取消しの判決が確定し、同条第二項の規定により審理を開始するときは、その判決の確定の日から一週間以内に被請求人から申立てがあつた場合に限り、被請求人に対し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正を請求するための相当の期間を指定することができる。

 ・有効審決を取り消す判決が確定して無効審判の審理を再開するときのみ、訂正機会を付与できる。審判官が無効審決をするように拘束されるからである。
 ・手続の流れ:
 特許維持審決 → 特許維持審決取消判決 → 判決確定から1週間以内に特許権者が訂正の請求 → 訂正請求期間の指定
 ・裁量であるのは、差戻決定の場合と異なり特許権者に訂正の意思がない場合にまで訂正機会を付与する必要がないからである。また、特許権者は審決後に出訴することで訂正機会を確保できるからである。
 ・特許権者から申立てがあったにもかかわらず訂正機会が付与されない例としては、原審決の取消しの理由が手続上の瑕疵等にあり、再度有効審決をすることができる場合などが考えられる。


特許法135条(不適法な審判請求の審決による却下)

第一項

 不適法な審判の請求であつて、その補正をすることができないものについては、被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで、審決をもつてこれを却下することができる。

 ・一旦係属した審判事件において当事者に関しての審判請求の要件を具備していない事件は、当事者の変更など補正の見込みがない場合、審尋又は補正命令を行うことなく、不適法な審判の請求として審決をもって却下される。
 ・審判請求できる期間が経過した後に拒絶査定不服審判が請求されたときは、審決却下される。
 ・特許を受ける権利の共有者全員が共同して審判請求をしていないときは、審決却下される。
 ・無効審決取消訴訟の上告が棄却されると、訂正審判請求は審決却下される(最高裁で棄却判決がなされると無効審決が確定する)。
 ・無効審判の審理終結通知後、審決前の訂正審判の請求は審決却下される。
 ・審判請求期間経過後の請求、共同出願人の一部の者がした請求、共有者の一部の者を被請求人とした請求、特許権者でない者を被請求人とした請求、対象物のない請求、在外者が特許管理人によらないでした請求、除斥期間を経過した後の請求、商標権の不使用による取消しの審判において、商標権の設定の登録の日から3年以上経過していないものに対しての請求、一つの特許出願に対して重複してした拒絶査定不服審判請求(取下げ等により審判に継続しなくなった請求を除く)のうち最初のもの以外の審判請求は、審決却下される。
 ・審決却下は被請求人を被告とする。
 ・審判請求以外の不適法な手続きにおいて補正ができないものは決定却下となる。
 ・特18条の2の出願却下の場合は、「却下するものとする」と規定されている。
 ・一事不再理効は審決があっただけでは生じず、審判の確定審決が登録された場合に生じる。





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