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特許法121-125条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

特許法121条(既納の特許料の返還)

第一項

 拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があつた日から三月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。

 ・従来の短い審判請求期間では、審判請求の当否を十分に検討できないという問題があった。そこで、H20年改正により審判請求期間を拡大した。  ・共同出願違反として拒絶された場合、拒絶査定不服審判は拒絶を受けた者のみで請求できる。なお、拒絶査定を受けていない共同発明者は審判請求できない。
 ・審判請求後に出願変更された場合、審判は終了する。
 ・審判においては、最後の拒絶理由としたことの当否を争うことが出来る。
 ・査定系審判には、拒絶査定不服審判、訂正審判がある。また、当事者系審判には、無効審判、延長登録無効審判がある。そして、その他の審判には、除斥の審判、忌避の審判、参加の審判がある。
 ・延長登録出願に対する拒絶査定不服審判についても、本条が適用される。
 ・補正却下に対する不服を併せて申立てることができる。
 ・審判請求後であっても、拒絶査定謄本送達後3月以内であれば、実用新案に変更できる。なお、実用新案変更後は拒絶査定謄本送達後3月以内であっても審判請求できない。
 ・審判中に出願取下となった場合は、審決却下とならず審判が消滅する。
 ・送達があった日とは、現実の送達日であり、発送日ではない。
 ・拒絶査定不服審判請求後に適法な出願変更があった場合、当該審判事件にかかる出願は取下げたとみなされる。


第二項

 拒絶査定不服審判を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。

 ・責めに帰することができない理由とは、重篤や天災などをいう。単なる手術では該当しない。なお、万全の注意力を払っても納付期間を徒過せざるを得なかった場合も含まれる。
 ・期間の経過後6月であり、送達日から6月ではない。なお、特4条により延長された場合は、延長された期間の経過後6月である。
 ・延長の請求をすることはできない。


特許法122条(削除)

特許法123条(特許無効審判)

第一項

 特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。

 ・特許権者に対する過重な攻撃を減少させ、紛争全体の迅速な解決を促進させるため、また、当事者の審理への満足度を高めるために、異議申立てを無効審判に吸収併合した。
 ・特17条の2第4項各号違反は無効理由ではない。
 ・無効審判は、「当事者に主張立証を委ねることにより、特許庁では得ることができない証拠が得られ審理の充実に資すること」、及び「当事者が自ら攻撃防御を尽くすことによって納得が得られること」から、当事者対立構造を採る。
 ・本審判の請求があったときは、予告登録される。なお、延長登録無効審判、訂正審判、裁定などについても予告登録される。拒絶査定不服審判、訂正請求は予告登録されない。予告登録とは、一度権利が確定した後に審判の請求があった場合に、特許庁長官がその旨を特許原簿に登録することをいう。
 ・無効理由、無効理由ではない理由とを請求の理由とする無効審判の請求は、要旨を変更せずに無効理由のみを請求の理由に補正できるので、審決をもって却下されることはない。
 ・無効審判の対象となる特許権又は請求項が消滅若しくは削除訂正となった場合、審理の対象がなくなるので審決却下される。


第一号

 その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願(外国語書面出願を除く。)に対してされたとき。

 ・外国語書面出願において、外国語書面の範囲内であれば無効理由とはならない。

第二号

 その特許が第二十五条、第二十九条、第二十九条の二、第三十二条、第三十八条又は第三十九条第一項から第四項までの規定に違反してされたとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。

第三号

 その特許が条約に違反してされたとき。

第四号

 その特許が第三十六条第四項第一号又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたとき。

 ・単一性違反は無効理由ではない。
 ・特36条5項違反は、無効又は拒絶理由ではない。
 ・特36条4項2号違反は、拒絶理由であるが、無効理由ではない。
 ・特36条6項4号違反は、拒絶理由であるが無効理由ではない。形式的不備だからである。


第五号項

 外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないとき。

第六号

 その特許がその発明について特許を受ける権利を有しない者の特許出願に対してされたとき(第七十四条第一項の規定による請求に基づき、その特許に係る特許権の移転の登録があつたときを除く。)。

 ・発明者であっても特許を受ける権利を譲渡した場合には無効理由となる。

第七号

 特許がされた後において、その特許権者が第二十五条の規定により特許権を享有することができない者になつたとき、又はその特許が条約に違反することとなつたとき。

第八号

 その特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正が第百二十六条第一項ただし書若しくは第五項から第七項まで(第百三十四条の二第九項において準用する場合を含む。)又は第百三十四条の二第一項ただし書の規定に違反してされたとき。

 ・訂正後の請求項が独立特許要件を満たさない場合は、無効理由となる。

第二項

 特許無効審判は、何人も請求することができる。ただし、特許が前項第二号に該当すること(その特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に該当することを理由とするものは、当該特許に係る発明について特許を受ける権利を有する者に限り請求することができる。

 ・異議申立て制度の持つ公衆審査機能を無効審判制度に包摂させるために請求人適格を拡大した規定である。
 ・共同出願違反、冒認出願は特許を受ける権利を有することを必要とする。
 ・特許を受ける権利の有無は審決時に判断され、特許を受ける権利がないときは審決却下される。


第三項

 特許無効審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる。

 ・特許性のない発明に付与された権利が行使されると、産業政策上不当な結果が生じるため、無効審判はいつでも請求できる。
 ・特許権消滅後に請求する場合の被請求人は、消滅時の特許権者である。
 ・特許が無効となった後は、特許権は初めから存在しなかったものとみなされるため、無効審判を請求することはできない。しかし、後発的無効事由に該当する場合には、該当するに至った時以前の特許については請求をすることができる。


第四項

 審判長は、特許無効審判の請求があつたときは、その旨を当該特許権についての専用実施権者その他その特許に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。

 ・専用実施権者、登録された質権者に通知される。
 ・再審では準用されていない。


特許法124条(削除)

特許法125条

 特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。ただし、特許が第百二十三条第一項第七号に該当する場合において、その特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、特許権は、その特許が同号に該当するに至つた時から存在しなかつたものとみなす。

 ・特許権が遡及消滅するのであって、特許出願ではない。
 ・無効審決が確定すれば、民事及び刑事訴訟における再審事由となる。なお、訂正審判においても同じである。


特許法125条の2(延長登録無効審判)

第一項

 特許権の存続期間の延長登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その延長登録を無効にすることについて延長登録無効審判を請求することができる。

 ・延長登録無効審判は請求項毎に請求できない。
 ・無効審判は延長登録毎(行政処分毎)にしなければならない。よって、複数の延長登録がある場合は、審判請求された延長登録のみが無効となる。
 ・審判費用は敗訴者が負担する。


第一号

 その延長登録がその特許発明の実施に第六十七条第二項の政令で定める処分を受けることが必要であつたとは認められない場合の出願に対してされたとき。

第二号

 その延長登録が、その特許権者又はその特許権についての専用実施権若しくは通常実施権を有する者が第六十七条第二項の政令で定める処分を受けていない場合の出願に対してされたとき。

第三号

 その延長登録により延長された期間がその特許発明の実施をすることができなかつた期間を超えているとき。

第四号

 その延長登録が当該特許権者でない者の出願に対してされたとき。

第五号

 その延長登録が第六十七条の二第四項に規定する要件を満たしていない出願に対してされたとき。

第二項

 第百二十三条第三項及び第四項の規定は、延長登録無効審判の請求について準用する。

 ・特123条2項不準用のため、延長登録無効審判を請求できるのは利害関係人に限られる。

第三項

 延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、その延長登録による存続期間の延長は、初めからされなかつたものとみなす。ただし、延長登録が第一項第三号に該当する場合において、その特許発明の実施をすることができなかつた期間を超える期間の延長登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、当該超える期間について、その延長がされなかつたものとみなす。

 ・延長登録が実施不可能期間を超えていることを理由とする無効の場合は、超えている期間の延長がなかったとみなされる。つまり、延長登録が無効とされてもなお存続期間が延長される場合がある。




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