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特許法106-110条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

特許法106条(信用回復の措置)

 故意又は過失により特許権又は専用実施権を侵害したことにより特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、特許権者又は専用実施権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、特許権者又は専用実施権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。

 ・過去の行為に対する民事上の救済規定であり、請求によりなされる。
 ・善意無過失であれば適用されない。
 ・書類提出命令、損害計算のための鑑定、秘密保持命令、秘密保持命令の取消、信回復措置命令は、申立又は請求によりなされる。職権によりなされるわけではない。


特許法107条(特許料)

第一項

 特許権の設定の登録を受ける者又は特許権者は、特許料として、特許権の設定の登録の日から第六十七条第一項に規定する存続期間(同条第二項の規定により延長されたときは、その延長の期間を加えたもの)の満了までの各年について、一件ごとに、次の表の上欄に掲げる区分に従い同表の下欄に掲げる金額を納付しなければならない。

 ・各年毎に支払えば良く、10年以降の特許料は25年まで同額である。特許権を長期に維持すると権利者にとって負担が大きいからである。

各年の区分/金額

 第一年から第三年まで/毎年二千三百円に一請求項につき二百円を加えた額
 第四年から第六年まで/毎年七千百円に一請求項につき五百円を加えた額
 第七年から第九年まで/毎年二万千四百円に一請求項につき千七百円を加えた額
 第十年から第二十五年まで/毎年六万千六百円に一請求項につき四千八百円を加えた額

第二項

 前項の規定は、国に属する特許権には、適用しない。

 ・国に限られるため、都道府県は含まれない。
 ・初め国に属していた特許が、その後国等以外の者に属するようになった場合は、特許料が発生する。


第三項

 第一項の特許料は、特許権が国又は第百九条の規定若しくは他の法令の規定による特許料の軽減若しくは免除(以下この項において「減免」という。)を受ける者を含む者の共有に係る場合であつて持分の定めがあるときは、第一項の規定にかかわらず、国以外の各共有者ごとに同項に規定する特許料の金額(減免を受ける者にあつては、その減免後の金額)にその持分の割合を乗じて得た額を合算して得た額とし、国以外の者がその額を納付しなければならない。

 ・持分の定めがある場合に限られる。持分に応じた特許料が納付されない場合は、特許権全体が消滅する。
 ・本項の適用を受ける場合、納付書に持分の記載をし、持分を証明する書面を提出しなければならない。
 ・地方公共団体の場合は、地方公共団体は持分に応じた額を納付しなければならない。
 ・他の法令とは、TLO法、産業技術力強化法、産業再生法等である。


第四項

 前項の規定により算定した特許料の金額に十円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。

第五項

 第一項の特許料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。

 ・H20年改正により特許料等又は手数料を現金で納付できる場合、口座振替により納付できる。
 ・現金納付は日本銀行を通じて行う。この場合、振込み手数料は不要である。
 ・経済産業省令で定める場合とは、事前に特許庁長官に対して届出手続がなされている場合を指す。


特許法108条(特許料の納付期限)

第一項

 前条第一項の規定による第一年から第三年までの各年分の特許料は、特許をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に一時に納付しなければならない。

 ・期間内に納付されない場合は、補正命令なく特許出願が却下され得る。
 ・特許査定又は審決の場合、謄本送達日が査定又は審決の確定日となる。


第二項

 前条第一項の規定による第四年以後の各年分の特許料は、前年以前に納付しなければならない。ただし、特許権の存続期間の延長登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日(以下この項において「謄本送達日」という。)がその延長登録がないとした場合における特許権の存続期間の満了の日の属する年の末日から起算して前三十日目に当たる日以後であるときは、その年の次の年から謄本送達日の属する年(謄本送達日から謄本送達日の属する年の末日までの日数が三十日に満たないときは、謄本送達日の属する年の次の年)までの各年分の特許料は、謄本送達日から三十日以内に一時に納付しなければならない。

 ・具体的には、第4年の特許料を設定の登録の日から3年を経過する前に納付しなければならない。
 ・延長登録査定の謄本送達日は特許料納付期間の起算日となる。
 ・満了日の属する年の末日とは、満了日の属する年の設定登録日に対応する日のことである。
 ・満了日の属する年の末日前30日以降に送達された場合は、送達日以降30日以内に納付できる。つまり、@延長登録査定又は審決謄本送達日が満了日の属する年の設定登録日に対応する日から三十日前以後であるときは、A満了年の次の年から謄本が送達された年までの各年分の特許料は、謄本送達日から三十日以内に一時に納付しなければならない。B但し、謄本送達日から謄本が送達された年の設定登録日に対応する日にまでの日数が三十日に満たないときは、謄本が送達された年の次の年までの特許料をも含む。例えば、1980/5/1出願の場合、2000/5/1が満了日となる。
 ・延長登録がされる旨の査定又は審決がなされるまでは、延長部分の特許料は支払わなくて良い。


第三項

 特許庁長官は、特許料を納付すべき者の請求により、三十日以内を限り、第一項に規定する期間を延長することができる。

 ・本条2項に規定する特許料の延長が含まれていないのは、4年目以降の特許料は追納できるからである。

特許法109条(特許料の減免又は猶予)

第一項

 特許庁長官は、特許権の設定の登録を受ける者又は特許権者であつて資力を考慮して政令で定める要件に該当する者が、特許料を納付することが困難であると認めるときは、政令で定めるところにより、第百七条第一項の規定による第一年から第十年までの各年分の特許料を軽減し若しくは免除し、又はその納付を猶予することができる。

 ・減免猶予できる猶予期間は最長10年である。
 ・出願審査の請求の手数料の減免は、特195条の2に規定されている。但し、第三者による審査請求の場合における審査請求手数料は減免の対象とならない。また、補正により増加した請求項の審査請求手数料は減免の対象となる。
 ・所定の研究開発型中小企業は、産業技術力強化法18条又は中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律9条により軽減の対象となる。
 ・所定の大学等又は大学等の研究者は、産業技術力強化法17条により軽減の対象となる。
 ・所定の大学等承認TLO(技術移転機関)は、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法56条(産活法)により軽減の対象となる。
 ・所定の試験研究独立行政法人又は試験研究地方独立行政法人等は、産業技術力強化法17条により軽減の対象となる。
 ・所定の試験研究型独立行政法人認定TLOは、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律13条(TLO法)により軽減の対象となる。
 ・地方公共団体が設置する試験所・研究所などである所定の公設試験研究機関は、産業技術力強化法17条により軽減の対象となる。
 ・意匠法では1年ごとに登録料を納付すればよいので、減免猶予の規定を準用していない。
 ・軽減と猶予が同時に認められることはない。
 ・H23改正により、他者から発明を承継した者も減免対象に含まれた。


第一号

 その特許発明の発明者又はその相続人

 ・発明者であり、出願人ではない。つまり、相続人以外の承継人は除外されている。相続人以外の承継人は、特許料納付を前提として権利を譲り受けると見ることができるからである。

第二号

 その特許発明が第三十五条第一項の従業者等がした職務発明であつて、契約、勤務規則その他の定めによりあらかじめ使用者等に特許を受ける権利を承継させることが定められている場合において、その従業者等から特許を受ける権利を承継した使用者等

 ・職務発明の場合は減免可能である。なお、職務発明を予約承継する場合以外は、法人が減免を受けることはできない。
 ・実用新案の場合、登録料が安いため対象となるのは考案者又はその相続人だけである。つまり特許法とは異なり、職務発明を承継した使用者に関しては規定が無い。また、法人にも認められない。


特許法110条(利害関係人による特許料の納付)

第一項

 利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、特許料を納付することができる。

 ・特許権者の承諾がある場合も納付でき、その場合は費用の全額の償還を請求できる。
 ・追納も出来る。


第二項

 前項の規定により特許料を納付した利害関係人は、納付すべき者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができる。

 ・納付すべき者が特許料以上の利益を得ていれば全額を請求できる。
 ・常に全額の返還を請求できるわけではない。





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