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特許法81-85条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

特許法81条(意匠権の存続期間満了後の通常実施権)

 特許出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権がその特許出願に係る特許権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、その原意匠権者は、原意匠権の範囲内において、当該特許権又はその意匠権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。

 ・対価は不要である。
 ・意匠権者が実施をしていることは要求されない。
 ・事業の範囲ではなく、意匠権の範囲である。
 ・登録料不納により意匠権が消滅した場合や、意匠権を放棄した場合には通常実施権は発生しない。
 ・後願特許権者が先願意匠権を利用する場合は、規定するまでもなく実施を継続できる。
 ・国内優先を主張した特許出願に係る特許権の場合、先の出願日を基準に出願の前後が判断される。
 ・許諾通常実施権及び法定通常実施権は、実施の事業と供にする場合、承諾を得た場合、一般承継の場合に移転できる。


特許法82条

第一項

 特許出願の日前又はこれと同日の意匠登録出願に係る意匠権がその特許出願に係る特許権と抵触する場合において、その意匠権の存続期間が満了したときは、その満了の際現にその意匠権についての専用実施権又はその意匠権若しくは専用実施権についての通常実施権を有する者は、原権利の範囲内において、当該特許権又はその意匠権の存続期間の満了の際現に存する専用実施権について通常実施権を有する。

 ・許諾通常実施権及び法定通常実施権は、実施の事業と供にする場合、承諾を得た場合、一般承継の場合に移転できる。
 ・設定または許諾された原権利の範囲内に限られる。
 ・登録の有無に関わらず存続期間満了となった意匠権について法定通常実施権が認められる。


第二項

 当該特許権者又は専用実施権者は、前項の規定により通常実施権を有する者から相当の対価を受ける権利を有する。

 ・対価は必要である。そもそも対価を支払って実施していた者だからである。

特許法83条(不実施の場合の通常実施権の設定の裁定)

第一項

 特許発明の実施が継続して三年以上日本国内において適当にされていないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許権者又は専用実施権者に対し通常実施権の許諾について協議を求めることができる。ただし、その特許発明に係る特許出願の日から四年を経過していないときは、この限りでない。

 ・3年以上の不実施があったとしても、現在実施していれば適用されない。
 ・適当に実施されていないとは、単なる名目的な実施をするだけで国内需要に見合うだけの実施をしない場合(量的不適当)ばかりでなく、特許発明に係る物の輸入のみを行って国内生産をしない場合(質的不適当)も含む。


第二項

 前項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、その特許発明の実施をしようとする者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。

 ・協議前置であり、いきなり裁定請求はできない。
 ・裁定請求後に特許権者が適当な実施を開始したときは、裁定の請求は認められない。裁定前に裁定の目的とするところを達成しているからである。
 ・専用実施権者のみを被請求人とすることはできない。専用実施権者は特許権者の承諾を得なければ通常実施権を設定できないからである。


特許法84条(答弁書の提出)

 特許庁長官は、前条第二項の裁定の請求があつたときは、請求書の副本をその請求に係る特許権者又は専用実施権者その他その特許に関し登録した権利を有する者に送達し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。

 ・専用実施権者などにも答弁書提出機会が与えられる。
 ・無効審判の場合は、請求書の副本を被請求人(特許権者)に送達し、答弁書の提出を求めるが、専用実施権者、登録した権利を有する者には審判請求があった旨を通知するのみである。


特許法84条の2(通常実施権者の意見の陳述)

 第八十三条第二項の裁定の請求があつたときは、その特許に関し通常実施権を有する者は、前条に規定する期間内に限り、その裁定の請求について意見を述べることができる。

 ・特許権者等が答弁書を提出できる期間内に限り、不実施を理由とする裁定請求に対して意見を陳述できる。なお、自己の特許発明を実施するための通常実施権の裁定の請求、及び公共の利益のための通常実施権の裁定の請求にも、準用されている。

特許法85条(審議会の意見の聴取等)

第一項

 特許庁長官は、第八十三条第二項の裁定をしようとするときは、審議会等(国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第八条 に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。

 ・審議会の意見は、請求の認容、棄却、いずれの場合も意見を聞かなければならない。但し、意見に拘束はされない。
 ・通常実施権を設定すべき範囲、対価の額及びその支払方法及び時期についても意見を聞かなければならない。
 ・自己の通常実施権などを実施するための裁定通常実施権、クロスライセンスのための裁定通常実施権、公共の利益のための裁定通常実施権でも準用されている。さらに、裁定を取り消す場合に準用される。


第二項

 特許庁長官は、その特許発明の実施が適当にされていないことについて正当な理由があるときは、通常実施権を設定すべき旨の裁定をすることができない。

 ・工場が火災となり、その再建中である場合は正当な理由に該当する。




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