よろしければ、ご意見、ご質問等をこちらへお寄せ下さい
独学の弁理士講座掲示板

メールはこちら



当サイトは
 リンクフリーです。

All Rights Reserved.




特許法1-5条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

特許法1条(目的)

 この法律は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。

 ・特許制度とは、新しい技術を公開した者に対しその代償として一定の期間、一定の条件の下に特許権という独占的な権利を付与し、他方、第三者に対してはこの公開された発明を利用する機会を与えるものである。

特許法2条(定義)

第一項

 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。

 ・発明であるためには一定の確実性が求められるが、一定の確実性をもって同一結果を反復できれば良く、発明を再現することが当業者において可能であれば足り、その可能性が高いことを要しない。
 ・定義が定められているのは、解釈上の疑義をなくし争いを少なくするためである。
 ・ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されている場合、当該ソフトウェアは自然法則を利用した技術的思想の創作である。
 ・・欧文文字、数字、記号を組み合わせた電報用の暗号作成方法は、自然法則を利用していないので、発明ではないと解する。
 ・「高度のもの」とあるが、技術水準の低い裾の部分は包含しないという趣旨である。


第二項

 この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。

第三項

 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。

第一号

 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為

 ・申出には展示だけでなくカタログによる勧誘、パンフレットの配布も含まれる。
 ・H18年改正により、「輸出」が追加された。経済のグローバル化の進展により、日本の産業財産権侵害品が国境を越えて取引される事例が増大する等、模倣品問題の国際化及び深刻化に鑑み、国内の製造や譲渡の段階で差止できない場合でも、輸出者が判明した場合に、権利者が差止等をすることを可能にするためである。なお、輸出行為自体は国内で行われる行為であり、日本の工業所有権の効力を直接的に海外での譲渡等に対して及ぼすものではないため、属地主義には反しない。
 ・観念しにくいので輸出の申し出は実施行為としては規定されていない。
 ・間接侵害については、属地主義の観点から、侵害品を海外で製造する行為は、我が国産業財産権法上の侵害行為ではないため、「製造にのみ用いる物」の輸出を侵害とみなすことは、侵害行為でない海外での製造行為の予備的行為を侵害行為としてとらえることとなり、適切でない。このため、「製造にのみ用いる物」の輸出行為は、「侵害とみなす行為」として規定していない。
 ・輸出国から日本において積み替えられ、第三国へ輸出される「通過」については、a.単に日本の領域を通過する場合、b.日本を仕向地としない貨物が日本で陸揚げされた後に当初の仕向地に向けて運送される場合、は輸出に該当しない。
 ・日本を仕向地として保税地域に置かれた貨物が必要に応じ、改装又は仕分け等が行われた後、通関されることなく日本を積み出し国として外国に向けて送り出される場合は、侵害品が日本の領域内にあるものとして、日本の産業財産権法の効力が及ぶと考えられる。従って、この場合は輸出に該当する。
 ・電気通信回線は有線か無線かを問わず、光ファイバ通信網も含まれる。但し、「回線」については両方向からの通信を伝送する有線又は無線と解され、一方向にしか情報を送信できない放送網は「電気通信回線」に含まれない。しかし、放送網を通じたプログラム等の提供が、発明の実施に含まれないわけではなく、「譲渡、貸渡し」に含まれる。


第二号

 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為

第三号

 物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為

第四項

 この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう。

 ・電子計算機による処理の用に供する情報とは、電子化等の手法により直ちにコンピュータによる処理に用いることが可能な状態にされた情報をいう。本に書かれた情報や人間の知識としての情報等、そのままではコンピュータにより処理できない情報は含まれない。
 ・プログラムに準ずるものとは、コンピュータに対する直接の指令ではないためプログラムとは呼べないが、コンピュータの処理を規定する点で、プログラムに類似する性質を有するものをいう。


特許法3条(期間の計算)

第一項

 この法律又はこの法律に基く命令の規定による期間の計算は、次の規定による。

 ・法定期間の初日に規定されていない日は、第3者による出願審査請求があった旨の通知を受けた日、拒絶査定不服審判請求取下による拒絶査定確定日、審判請求書の却下決定日(謄本送達日は法定期間の初日となる)。
 ・実2条の5で準用している。


第一号

 期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

 ・例えば、4月18日から3月の場合、7月19日が応当日である。
 ・但書に該当するのは、延長又は付加期間が適用される場合である。


第二号

 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。月又は年の始から期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

 ・例えば、2月29日から6月の場合、起算日は3月1日であり、応当する日は9月1日であるので、その前日の8月31日が末日である。

第二項

 特許出願、請求その他特許に関する手続(以下単に「手続」という。)についての期間の末日が行政機関の休日に関する法律 (昭和六十三年法律第九十一号)第一条第一項 各号に掲げる日に当たるときは、その日の翌日をもつてその期間の末日とする。

 ・12月29日から1月3日まで(年末年始の3日間)は休日扱いである。
 ・手続についての期間のみが休日の翌日に満了するので、特許権の存続期間等は、末日が休日であってもその日に満了する。
 ・末日が休日であれば、取引をなす慣習の有無とは関係なく休日の翌日に満了する。なお、休日の翌日が休日の場合は、さらにその翌日を末日とする。
 ・延長期間は、もとの期間と一体をなし、合計された一つの期間とされる。従って、もとの期間の末日が休日に当たっても、そこに特3条2項の規定は適用されない。なお、もとの期間の末日が休日に当たるときは、特3条2項の規定に基づき、その日の翌日まで期間延長請求できるが、延長期間はもとの期間の起算日から計算される。


特許法4条(期間の延長等)

 特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、第四十六条の二第一項第三号、第百八条第一項、第百二十一条第一項又は第百七十三条第一項に規定する期間を延長することができる。

 ・法定期間の延長ができるのは特許庁長官のみである。
 ・訴えを提起する期間については、特178条5項に同旨の規定がある。
 ・審判請求時の補正可能期間は、審判請求期間を延長できるため、延長できない。
 ・要約書補正可能期間は、出願の公開との関係から延長できない。
 ・出願審査請求期間は、長期間なので延長できない。
 ・分割変更時の審査請求期間は、出願と同時の申請が通常であるので延長できない。
 ・特許料の納付期限の場合、請求により遠隔地でない者であっても延長され得る。
 ・外国はすべて遠隔の地に含まれる。
 ・法定期間の経過前に延長の処分があることが必要であり、期間の経過後は本条が適用されない。
 ・実14条の2第5項で準用している。


特許法5条

第一項

 特許庁長官、審判長又は審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。

 ・審査官、審判長は指定期間の延長のみが可能。
 ・実2条の5で準用している。
 ・期間の指定の例:長官による補正命令、受継命令、協議命令、拒絶理由通知に対する意見書提出、不実施裁定の請求に対する答弁書提出、審判請求書補正命令、参加に対する意見、職権証拠調べに対する意見、訂正審判時の意見書提出等。


第二項

 審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。

 ・指定期日の変更をできるのは審判長のみ。
 ・期日の指定の例:特145条3項及び特151条において準用する民訴93条1項





オリジナルレジュメ

 参考書・基本書  試験対策・勉強法  改正・判例解説  短答試験  過去問  論文試験  選択科目  選択科目の免除  口述試験  転職  リンク  メールはこちら





 「独学の弁理士講座」TOPへ戻る inserted by FC2 system