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商標法68条の26-68条の30

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

商標法68条の26(商標権の登録の効果の特例)

第一項

 国際登録に基づく商標権の移転、放棄による消滅又は処分の制限は、登録しなければ、その効力を生じない。

 ・一般承継の場合であっても登録が効力発生要件である。国際登録簿で管理されるため、また、議定書でその他の理由(譲渡)による移転と区別した取り扱いをしていないためである。

第二項

 国際登録に基づく商標権については、第三十五条において準用する特許法第九十七条第一項 の規定は、適用しない。

商標法68条の27(商標原簿への登録の特例)

第一項

 国際登録に基づく商標権についての第七十一条第一項第一号の規定の適用については、同号中「商標権の設定、存続期間の更新、分割、移転、変更、消滅、回復又は処分の制限」とあるのは、「商標権の設定、信託による変更又は処分の制限」とする。

 ・国際登録に基づく商標権は、日本の原簿に登録される項目が少ない。
 ・日本の商標原簿には、商標権の設定又は処分の制限、質権、使用権、無効審判などの確定登録などが登録される。なお、処分の制限は国際登録簿の記録事項にも含まれるが、処分の制限自体の重要性から、及び我が国の裁判所などの決定により日本国特許庁が最初に知得し国際事務局に通知する事項であること等から、日本の商標原簿にも登録すべき事項とした。
 ・国際登録簿には、商標権の存続期間の更新、移転、変更、又は消滅が登録される。
 ・分割についてはそれができないため、回復については国際登録では発生しないため、それぞれ規定していない。
 ・割増手数料の支払いにより、6ヶ月の猶予期間が国際登録の存続期間の更新について認められる。
 ・国際商標登録出願の商標権の変更は、WIPO国際事務局が管理する国際登録簿に登録することによってのみ効力が生じる。従って、国際登録に基づく商標権について信託を行った場合、国際登録簿に変更を登録しなければならないが、WIPOの実際の運用としては国際登録簿に登録できない。このため、信託に係る商標権の変更については国内の商標原簿に登録することとした。


第二項

 国際登録に基づく商標権の存続期間の更新、移転、変更(信託によるものを除く。)又は消滅は、国際登録簿に登録されたところによる。

 ・国際登録簿により公示されたところに従って、効力が生じる旨を明らかにした規定である。

商標法68条の28(手続の補正の特例)

第一項

 国際商標登録出願については、第十五条の二(第五十五条の二第一項(第六十条の二第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)又は第十五条の三(第五十五条の二第一項(第六十条の二第二項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定により指定された期間内に限り、願書に記載した指定商品又は指定役務について補正をすることができる。

 ・拒絶理由に対する意見書提出期間内又は先願未登録商標の通知に伴う意見書提出期間内のみ補正できる旨が規定されている。なお、通常出願の場合は、審査、審判等に継続している場合に補正可能であるい。
 ・補正の内容は願書の記載事項とみなされ、国際登録簿の記録内容を日本特許庁からの通報により変更する必要があるが、補正の都度通報するのは煩雑なため、その記録をするためには拒絶理由に対してなされた補正であることが手続き上必要となるからである。なお、国際事務局に対して国際登録の対象となる商品又は役務の減縮が可能であり、補正と同様の効果を得られるので、かかる制限を設けても不都合はない。
 ・商標の補正は一切できない。商標の変更の記録がない(議9条の2)ためである。よって、「JIS」「JAS」等を含む商標は拒絶査定となる。なお、拒絶理由通知があった場合、国際事務局に拒絶の通報が送付され、また、国際事務局より当該拒絶の通報の写しが出願人に送付される。

第二項

 国際商標登録出願については、第六十八条の四十の規定は、適用しない。

商標法68条の29(指定商品又は指定役務が二以上の商標権についての特則の特例)

第一項

 国際登録に基づく商標権についての第六十九条の規定の適用については、同条中「第二十条第四項、第三十三条第一項、第三十五条において準用する特許法第九十七条第一項 若しくは第九十八条第一項第一号 」とあるのは「第三十三条第一項 、第六十八条の二十五第一項若しくは第六十八条の二十六第一項」と、「第七十一条第一項第一号」とあるのは「第六十八条の二十七第一項において読み替えて適用する第七十一条第一項第一号、第六十八条の二十七第二項」とする。

 ・商20条4項は適用されないので、更新登録がない場合の指定商品役務毎の遡及消滅はない。但し、国際登録簿において指定商品役務毎に放棄できる。
 ・準特97条1項は適用されないので、商68条の25第1項により使用権者等の承諾を得なくとも放棄できる。
 ・準特98条1項1号は適用されないので、商68条の26第1項により、一般承継であっても移転は登録が効力発生要件である。
 ・国際登録に基づく商標権の移転、変更、消滅又は処分の制限は指定商品毎にできる。

商標法68条の30(国際登録に基づく商標権の個別手数料)

第一項

 国際登録に基づく商標権の設定の登録を受けようとする者は、議定書第八条(7)(a)に規定する個別の手数料(以下「個別手数料」という。)として、一件ごとに、次に掲げる額を国際事務局に納付しなければならない。

 ・国際登録前に個別手数料を国際事務局に納付する必要がある。為替変動を考慮しスイスフランで支払いするためである。
 ・審査業務負担に相当する費用を、国際事務局の責任において徴収し、日本国内に払い込むものである。
・個別手数料は、商標登録出願の出願料と、設定登録のための登録料と、を合わせた性質を有するものである。なお、商標権の取得に至らなかった場合であっても、個別手数料の返還は行わない。
 ・事後指定の場合は、国際登録簿への記録前に個別手数料を国際事務局に納付する必要がある。

第一号

 二千七百円に一の区分につき八千六百円を加えた額に相当する額

 ・出願料に対応する。
 ・「相当する額」とあるのは、為替変動を考慮しスイスフラン払いとしたためである。


第二号

 三万七千六百円に区分の数を乗じて得た額に相当する額

 ・登録料に対応する。
 ・「相当する額」とあるのは、為替変動を考慮しスイスフラン払いとしたためである。
 ・本号の個別手数料が適切な期間内に納付されれば、国際登録簿にその旨を記録し、納付されなければ国際登録を取消す。


第二項

 前項第一号に掲げる額の個別手数料は国際登録前に、第二号に掲げる額の個別手数料は経済産業省令で定める期間内に、納付しなければならない。

 ・国際登録前には出願料相当額を、登録査定後には登録料相当額を納付させる料金体系に改めたものである。
 ・経済産業省令で定める期間は、商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達日から3月である。


第三項

 特許庁長官は、国際商標登録出願について商標登録をすべき旨の査定又は審決があつたときは、国際事務局に対し、当該出願に係る第一項第二号に掲げる額の個別手数料の納付期限を通知するものとする。

 ・二段階納付の後半部分(登録査定後)の納付時期は、各指定国が国際事務局に通報することとなっている。

第四項

 国際商標登録出願は、第一項第二号に掲げる額の個別手数料の納付がないため、その基礎とした国際登録が取り消されたときは、取り下げられたものとみなす。

 ・二段階納付の後半部分(登録査定後に納付する登録料に相当)未納により国際登録が取消された場合は、国際商標登録出願が取下擬制される旨を規定している。個別手数料の納付は国際事務局に対して行う手続きであるため、手続き却下しても特許庁長官を相手として争うことはできないからである。

第五項

 国際登録に基づく商標権の存続期間の更新をする者は、個別手数料として、一件ごとに、四万八千五百円に区分の数を乗じて得た額に相当する額を国際事務局に納付しなければならない。

 ・存続期間の更新の際に、個別手数料を国際事務局に納付する必要がある旨を規定している。

第六項

 国際商標登録出願及び国際登録に基づく商標権については、第四十条から第四十三条まで及び第七十六条第二項(別表第一号に掲げる部分に限る。)の規定は、適用しない。

 ・国による登録料の免除、国と民間との共有減免、分割納付、利害関係人による納付の適用はない。



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