商標法43条の9-43条の13
初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
以下、
太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。
商標法43条の9(職権による審理)
第一項
登録異議の申立てについての審理においては、商標権者、登録異議申立人又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
・特許庁による特許処分の見直しという制度趣旨を全うするためには、商標権者や異議申立人の主張に拘束されずに、取消理由の有無を職権で審理できるものとすべきだからである。
第二項
登録異議の申立てについての審理においては、登録異議の申立てがされていない指定商品又は指定役務については、審理することができない。
・申立ての対象でない指定商品等まで職権審理できることとすると、徒に商標権者の地位を不安定にするおそれがあるからである。
商標法43条の10(申立ての併合又は分離)
第一項
同一の商標権に係る二以上の登録異議の申立てについては、その審理は、特別の事情がある場合を除き、併合するものとする。
・複数の異議申立に対して商標権者が答弁書作成等について多大な負担を負う問題を解消し且つ効率的な審理を行うためである。
・審判官の裁量により併合するものではない。特別な事情とは、併合によって審理続行が困難になる場合、審理が著しく遅延するおそれがある場合をいう。例えば、二つの異議申立のうち一つについて申立書の却下の決定がなされ当該決定に対して訴えが提起されている場合等である。
第二項
前項の規定により審理を併合したときは、更にその審理の分離をすることができる。
・明記されてないが、本条1項と同様の特別の事情が生じた場合に限られる。
商標法43条の11(申立ての取下げ)
第一項
登録異議の申立ては、次条の規定による通知があつた後は、取り下げることができない。
・取消理由通知後は、商標権者の承諾があっても取下できない。取下理由通知後は瑕疵のある蓋然性が高く、そのような場合にまで自由意思による取下を認めることは公益的観点から特許処分の見直しを図ろうという制度趣旨に合致しないからである。なお、取下後は職権で審理続行できない。
第二項
第五十六条第二項において準用する特許法第百五十五条第三項 の規定は、登録異議の申立ての取下げに準用する。
・指定商標又は指定役務毎に取下げ可能である。
商標法43条の12(取消理由の通知)
第一項
審判長は、取消決定をしようとするときは、商標権者及び参加人に対し、商標登録の取消しの理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
・商標権者に何らの弁明の機会も与えずに直ちに取消決定をすることは酷であり、審判官に過誤なきことも保証し得ないためである。また、提出された意見書をもとにしてさらに審理をする機会にするためである。
・訂正の請求は認められない。職権により一部取消とすることで特段の不利益とならないためである。
商標法43条の13(決定の方式)
第一項
登録異議の申立てについての決定は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。
第一号
登録異議申立事件の番号
第二号
商標権者、登録異議申立人及び参加人並びに代理人の氏名又は名称及び住所又は居所
第三号
決定に係る商標登録の表示
第四号
決定の結論及び理由
第五号
決定の年月日
第二項
特許庁長官は、決定があつたときは、決定の謄本を商標権者、登録異議申立人、参加人及び登録異議の申立てについての審理に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。
商標法43条の14(決定の確定範囲)
第一項
登録異議の申立てについての決定は、登録異議申立事件ごとに確定する。ただし、指定商品又は指定役務ごとに申し立てられた登録異議の申立てについての決定は、指定商品又は指定役務ごとに確定する。
商標法43条の15(審判の規定の準用)
第一項
第五十六条第一項において準用する特許法第百三十三条 、第百三十三条の二、第百三十四条第四項、第百三十五条、第百五十二条、第百六十八条、第百六十九条第三項から第六項まで及び第百七十条の規定は、登録異議の申立てについての審理及び決定に準用する。
・異議申立人の一人に生じた中断中止の理由により、審理が中断中止されることはない。
・合議体がその判断を適切に行うための資料として、商標権者、異議申立人、参加人の意見を求める必要がある場合には、審尋を行う。
第二項
第四十三条の三第五項の規定は、前項において準用する特許法第百三十五条 の規定による決定に準用する。
・不適法な異議申立の却下の審決は、維持決定と同様に合議体による審理を経てなされるから不服申立ては認められない。これに対して、申立書の却下の決定については、審判長の権限によりなされるから不服申立て可能である。
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