商標法41条-43条
初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
以下、
太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。
商標法41条(登録料の納付期限)
第一項
前条第一項の規定による登録料は、商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない。
・商標においては、減免猶予の制度はない。商標法には特許法における発明の奨励というような見地はないからである。
第二項
特許庁長官は、登録料を納付すべき者の請求により、三十日以内を限り、前項に規定する期間を延長することができる。
・登録査定から30日以内に納付する登録料については、30日の延長ができる。
第三項
前条第二項の規定による登録料は、更新登録の申請と同時に納付しなければならない。
・更新登録の申請と同時に納付すべき登録料の納付があつたときに更新登録が認められ、 更新申請のみでは更新登録は認められない。
・更新登録料は申請と同時に納付し、分割納付の後半分を除き、延長又は追納できない。また、分割納付の後半分を除き、請求による30日の延長もなく更新申請後に納付できる場合はない。
商標法41条の2(登録料の分割納付)
第一項
商標権の設定の登録を受ける者は、第四十条第一項の規定にかかわらず、登録料を分割して納付することができる。この場合においては、商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に、一件ごとに、二万千九百円に区分の数を乗じて得た額を納付するとともに、商標権の存続期間の満了前五年までに、一件ごとに、二万千九百円に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。
・短ライフサイクル製品、不採択商標等の維持の見直し機会を商標権者に与えることができるからである。
・一括納付よりも料金が割高であるが、5年間の金利や2回に分けて登録料が納付されることによる登録原簿を管理する事務コスト等の事情を勘案したものである。
・後半分の納付に始期が定められていない理由は、納付時期を早い段階から弾力的に認めることで商標権者の便宜に供するためである。
・多区分にわたる商標権であっても、区分ごとに一括または分割の選択をすることはできない。望む場合は事前に出願又は登録の分割をする必要がある。
・防護標章については不採用である。防護標章は、フリーライドから保護することを目的とするものであり10年の存続期間の途中で権利の維持を見直す必要性はないと考えられるからである。
第二項
商標権の存続期間の更新登録の申請をする者は、第四十条第二項の規定にかかわらず、登録料を分割して納付することができる。この場合においては、更新登録の申請と同時に、一件ごとに、二万八千三百円に区分の数を乗じて得た額を納付するとともに、商標権の存続期間の満了前五年までに、一件ごとに、二万八千三百円に区分の数を乗じて得た額を納付しなければならない。
第三項
商標権者は、第一項又は前項の規定により商標権の存続期間の満了前五年までに納付すべき登録料を納付することができないときは、その期間が経過した後であつても、その期間の経過後六月以内にその登録料を追納することができる。
・更新登録料の場合も含めて、追納できるのは分割納付の後半分のみ。なお、前半分の更新登録料については、更新申請の期間経過後の申請が認められている。
・分割納付の後半分についても、不責事由に基づく登録料の追納は認められていない。分割納付制度を利用する者は5年間の登録維持で十分との見通しを持つ者であり、前半分の5年の間にいつでも納付できるものであり且つ6月以内の追納も設けているため必要ないと判断されるからである。
第四項
前項の規定により登録料を追納することができる期間内に、第一項又は第二項の規定により商標権の存続期間の満了前五年までに納付すべきであつた登録料及び第四十三条第三項の割増登録料を納付しないときは、その商標権は、存続期間の満了前五年の日にさかのぼつて消滅したものとみなす。
・後半分の登録料又は割増登録料未納の場合は、納付期限の経過時に遡って消滅擬制される。
第五項
第四十条第三項から第五項までの規定は、第一項及び第二項の場合に準用する。
第六項
前条第二項の規定は、第一項の規定により商標登録をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達があつた日から三十日以内に納付しなければならない登録料を納付する場合に準用する。
・登録料の前半分の納付について、延長を準用している。
商標法41条の3(利害関係人による登録料の納付)
第一項
利害関係人は、納付すべき者の意に反しても、登録料(更新登録の申請と同時に納付すべき登録料を除く。)を納付することができる。
・更新登録料においては、更新登録の申請が商標権者の意図のみをもって行われ登録料の納付を同時に行わなければならないため、利害関係人による納付を考慮する余地はないからである。
・更新登録の登録料の後半分は納付できる。
第二項
前項の規定により登録料を納付した利害関係人は、納付すべき者が現に利益を受ける限度においてその費用の償還を請求することができる。
商標法42条(既納の登録料の返還)
第一項
既納の登録料は、次に掲げるものに限り、納付した者の請求により返還する。
第一号
過誤納の登録料
第二号
第四十一条の二第一項又は第二項の規定により商標権の存続期間の満了前五年までに納付すべき登録料(商標権の存続期間の満了前五年までに第四十三条の三第二項の取消決定又は商標登録を無効にすべき旨の審決が確定した場合に限る。)
・放棄、取消審判により商標権が消滅した場合は、自らの意思又は行為に基づいて権利を消滅させるものであるので、全てについて返還しない。
・満了前5年以前に消滅した場合に、既納の後半分の登録料が返還される旨が規定されており、消滅後の各年分の登録料が返還されるわけではない。商標法では10年一括納付で納付し年金制度を採用していないためである。
第二項
前項の規定による登録料の返還は、同項第一号の登録料については納付した日から一年、同項第二号の登録料については第四十三条の三第二項の取消決定又は審決が確定した日から六月を経過した後は、請求することができない。
・返還の請求は手数料が不要である。
商標法43条(割増登録料)
第一項
第二十条第三項又は第二十一条第一項の規定により更新登録の申請をする者は、第四十条第二項の規定により納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。
・更新申請可能期間経過後の更新申請時に納付する割増登録料と、不責事由に基づく更新申請時に納付する割増登録料について規定している。
第二項
第四十一条の二第二項の場合においては、前項に規定する者は、同条第二項の規定により更新登録の申請と同時に納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。
・更新登録料の分割納付の前半分納付の場合に、更新申請可能期間経過後の更新申請時に納付する割増登録料と、不責事由に基づく更新申請時に納付する割増登録料について規定している。
第三項
第四十一条の二第三項の場合においては、商標権者は、同条第一項又は第二項の規定により商標権の存続期間の満了前五年までに納付すべき登録料のほか、その登録料と同額の割増登録料を納付しなければならない。
・分割納付の後半分の追納時に納付する割増登録料について規定している。
第四項
前三項の割増登録料の納付は、経済産業省令で定めるところにより、特許印紙をもつてしなければならない。ただし、経済産業省令で定める場合には、経済産業省令で定めるところにより、現金をもつて納めることができる。
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