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商標法24条の2-25条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

商標法24条の2(商標権の移転)

第一項

 商標権の移転は、その指定商品又は指定役務が二以上あるときは、指定商品又は指定役務ごとに分割してすることができる。

 ・以下の理由により営業と分離した商標権の移転を認めた。
 @経済界においては、商標に化体された信用に財産的価値を認め、営業と離れての譲渡の要請が極めて強く、実体的には自由譲渡が行われていたこと
 A一般消費者は品質が保証されれば出所のいかんは問わず、商標権者が同一でも品質が保証されるわけではないこと
 B自由譲渡を認めたとしても、商標権の譲受人がそれまでに築かれた信用の維持につとめる結果、品質が劣ることがないこと
 ・以下の理由により類似、同一商標の分離移転を認めた。
 @公益的観点から誤認混同のおそれが生じないように、別途の方法により担保することが可能であれば、後は私益の問題であるから、当事者間の合意があれば基本的に自由譲渡を認めることが適当であること
 A誤認混同のおそれが生じるような使用をすれば、損害を蒙るのは自身である以上、そのような使用は考えにくく、使用地域を分けたり、混同防止表示を付すなどによる棲み分けがおこなわれ、平穏に使用されるのが通常であること
 B世界的な趨勢をみても、類似、同一商標の分離移転は一般的に認められており、将来国際的な登録 制度の枠組みに入った場合に諸外国との間で摩擦が生じるおそれがあること
 C従来の商標制度の下においても同一類似商標の並存を認めているが、特段の問題が生じているわけではないこと
 ・商標権を移転したときは、防護標章登録に基づく権利は、その商標権に従って移転する。
 ・類似関係にある商標等に係る商標権の分割移転も可能である。但し、公益的観点からの事後的な誤認混同防止のための担保措置)が設けられている。
 ・商標権も質権の対象とすることができる。
 ・特許権は請求項毎に移転できない。


第二項

 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関又は公益に関する団体であつて営利を目的としないものの商標登録出願であつて、第四条第二項に規定するものに係る商標権は、譲渡することができない。

 ・一般承継等の譲渡以外の移転は可能である。
 ・著名性が必要である。非著名であれば国等以外の者も出願可能であり、登録を受けても本項及び次項の制限はない。


第三項

 公益に関する事業であつて営利を目的としないものを行つている者の商標登録出願であつて、第四条第二項に規定するものに係る商標権は、その事業とともにする場合を除き、移転することができない。

 ・一般承継の場合であっても事業と分離して譲渡できない。
 ・著名性が必要である。非著名であれば公益に関する事業であつて営利を目的としないものを行つている者も出願可能であり、登録を受けても本項及び前項の制限はない。


第四項

 地域団体商標に係る商標権は、譲渡することができない。

 ・一般承継等の譲渡以外の移転は可能である。地域団体商標につき主体要件を認めた趣旨を没却するため、自由譲渡は認められない。

商標法24条の3(団体商標に係る商標権の移転)

第一項

 団体商標に係る商標権が移転されたときは、次項に規定する場合を除き、その商標権は、通常の商標権に変更されたものとみなす。

 ・通常の商標権を団体商標として移転することはできない。

第二項

 団体商標に係る商標権を団体商標に係る商標権として移転しようとするときは、その旨を記載した書面及び第七条第三項に規定する書面を移転の登録の申請と同時に特許庁長官に提出しなければならない。

 ・提出されない場合は、通常の商標権に変更したものとみなされる。

商標法24条の4(商標権の移転に係る混同防止表示請求)

第一項

 商標権が移転された結果、同一の商品若しくは役務について使用をする類似の登録商標又は類似の商品若しくは役務について使用をする同一若しくは類似の登録商標に係る商標権が異なつた商標権者に属することとなつた場合において、その一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の指定商品又は指定役務についての登録商標の使用により他の登録商標に係る商標権者又は専用使用権者の業務上の利益(当該他の登録商標の使用をしている指定商品又は指定役務に係るものに限る。)が害されるおそれのあるときは、当該他の登録商標に係る商標権者又は専用使用権者は、当該一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者に対し、当該使用について、その者の業務に係る商品又は役務と自己の業務に係る商品又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。

 ・類似の商標権を持つ異なった商標権者同士において、一方の者がその登録商標を使用して他方の者の業務上の利益を害したとしても、当該他方の者が差止請求等をすることはできない。そのため、混同防止表示請求により、業務上の信用の保護及び需要者の利益を保護している。
 ・混同防止表示として適当な表示とは、一般需要者が取引上の通常の注意力をもって自他区別し得る程度のもの(例えば、自己が業務を行っている地域の名称等を付して需要者の注意を促し得るもの等)であればよいと考えられる。
 ・「おそれのあるとき」とあるので、現実に業務上の利益が害されたことまでは必要とされず、具体的危険性があれば足りる。例えば、売上減少、得意先の喪失、業務上の信用名声の毀損、登録商標の出所表示機能や品質保証機能の毀損などについての具体的な危険性である。
 ・譲渡者、譲受者の双方が互いに請求しうる。
 ・請求者が、登録商標を使用している実際の商品等に限って請求できる。


商標法25条(商標権の効力)

第一項

 商標権者は、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を専有する。ただし、その商標権について専用使用権を設定したときは、専用使用権者がその登録商標の使用をする権利を専有する範囲については、この限りでない。

 ・禁止権の範囲は事実上使用できるに過ぎず、使用権が認められているわけではない。そのため、他人の著作権、特許権、意匠権等と抵触する使用をした場合は、権利侵害となる。使用権に類似範囲を含む意匠法と同様にすると、出所の混同を生ずる場合が多く、権利相互間の調整規定が複雑になるためである。
 ・無効、取消等がない限り、過誤登録等によって重複する商標権が並存してもいずれも有効となる。
 ・形状と屋号の組合せから成る商標において、形状のみを模倣した者及び屋号のみを模倣した者の両者を侵害とすることはできない。類似の範囲を考慮したとしても、形状に特徴がある場合は屋号のみの者は侵害とならず、屋号に特徴がある場合は形状のみの者は侵害とならず、形状及び屋号の組合せに特徴がある場合は両者とも侵害とならないからである。
 ・機器の内部であっても、流通過程において内部を視認される可能性がある場合は、部品の登録商標の侵害となる。しかし、視認されない場合(識別力を有しない場合)は、侵害とはならない。つまり、内部が視認される可能性があれば、自他識別機能を保持しているといえ、侵害となる。
 ・著名なマンガのキャラクターを無断で商標登録をした場合、著名性を無償で使用していると認められ、権利濫用として権利行使できない。客観的に公正な競業秩序を乱すからである。
 ・外国で適法に販売された商標が付された商品を輸入する行為は、商標の機能を侵害しないので権利侵害とはならないと解される。つまり、形式的に商標権の侵害となる場合であっても、以下の三要件を満たす場合は真正商品の並行輸入に該当し、商標権侵害とはならない。
 @当該商標が、外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであり、
 A当該外国における商標権者とわが国の商標権者とが同一人であるか又は法律的もしくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより、当該商標がわが国の登録商標と同一の出所を表示するものであって、
 Bわが国の商標権者が直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行う得る立場にあることから、当該商品とわが国の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保障する品質において実質的に差異がない場合。
 ・意匠的に使用されている標章が、自他識別機能を有する標章としても使用されている場合には、商標の使用として商標権侵害が成立しうる。意匠となり得る模様などであっても、それが自他識別機能を有する標章として使用されている限り、商標としての使用がなされているものといえる。
 ・商品の販売促進用の物品(ノベルティ)は、それ自体が取引の目的とされていているものではない。よって、それ自体は商品ではなく、商品の広告媒体に過ぎない(楽器の販促用Tシャツに、Tシャツを指定商品とする他人の登録商標を付しても侵害とはならない)。
 ・本条には「業として」の文言がない。
 ・真正商品を小分けして商標を付す行為は、品質保証機能を害するため商標権を侵害する。また、商標が付された商品を改造して販売する行為は、商品の出所表示機能、品質保証機能を害するため商標権を侵害する。
 ・自己の登録商標に係る指定商品についてその登録商標を使用することが、他人の登録商標に係る指定商品について当該他人の登録商標を使用することに該当する(いわゆる専用権同士の重複)場合であっても、他人の当該商標権の効力は自己のその登録商標の使用に及ばない。
 ・商標とは業として商品の生産などに又は役務を提供に使用するものと規定されているので、個人的に使用するものは商標に当らず、侵害とはならない。
 ・CDのアルバム名、例えば、「アンダー・ザ・サン」をCDに付している場合であっても、CDに関する商標権を侵害するものではない。商標的使用態様に当らないからである。



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