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商標法8条-10条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

商標法8条(先願)

第一項

 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なつた日に二以上の商標登録出願があつたときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。

 ・類似関係にある商標が同一の出願人である場合には本項の適用はない。但し、同一人の同一商標・同一商品(役務)出願については、「商標法の趣旨に反する」との理由により拒絶される。なお、同一人の類似商標・商品(役務)出願については、通常の出願でも登録を受けうる。
 ・商4条1項15号で対処できるため、防護標章登録出願との先後願に関しての規定は無い。
 ・本項は拒絶理由ではない。商4条1項11号により対応できるためである。但し、過誤による後願先登録を事後的に無効にするために異議、無効理由とはなる。
 ・防護標章登録出願同士の間では先後願は判断しない。使用を前提としていないためである。/font>

第二項

 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について同日に二以上の商標登録出願があつたときは、商標登録出願人の協議により定めた一の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。

 ・同一人による類似商標の同日出願の場合は適用がない。
 ・拒絶、異議、無効理由となる。
 ・商標登録出願が同日に相互に同一又は類似の関係にある他人の出願と競合したときは、該当するすべての商標登録出願に対し、協議命令と拒絶理由の通知とを同時に行う。


第三項

 商標登録出願が放棄され取り下げられ若しくは却下されたとき、又は商標登録出願について査定若しくは審決が確定したときは、その商標登録出願は、前二項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。

 ・協議成立後、定められた一方の出願人の出願が却下された場合は、他方の出願人が登録を受け得る。
 ・「査定若しくは審決」とは、拒絶査定又は拒絶審決をいい、登録査定又は登録審決が確定した先願は先願の地位を有すると解する。


第四項

 特許庁長官は、第二項の場合は、相当の期間を指定して、同項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を商標登録出願人に命じなければならない。

第五項

 第二項の協議が成立せず、又は前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、特許庁長官が行う公正な方法によるくじにより定めた一の商標登録出願人のみが商標登録を受けることができる。

 ・協議不成立の場合は、取下擬制ではなく一方の登録後、本項違反として拒絶される。商標法では先願の地位が残らないので、後日出願することで登録されると不合理だからである。
 ・拒絶、異議、無効理由となる。


商標法9条(出願時の特例)

第一項

 政府等が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するものに、パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会に、又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国のいずれにも該当しない国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するものに出品した商品又は出展した役務について使用をした商標について、その商標の使用をした商品を出品した者又は役務を出展した者がその出品又は出展の日から六月以内にその商品又は役務を指定商品又は指定役務として商標登録出願をしたときは、その商標登録出願は、その出品又は出展の時にしたものとみなす。

 ・同一の商標に限られる。
 ・搬入した日の翌日ではなく、出品又は出展の日から6月である。
 ・特30条や意4条の規定の内容と異なり、出願時が遡及する。
 ・以下の4つの博覧会が規定されている。
 @政府等が開設する博覧会
 A政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するもの
 Bパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会
 Cパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国のいずれにも該当しない国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会であつて且つ特許庁長官の定める基準に適合するもの
 ・博覧会の指定がなされていなければ、出品者等は商標登録を受けられないおそれがあり、利便性が低かった。そのため、特許庁長官の定める基準に適合する博覧会については、出願時の特例の主張ができるように改正した。
 ・基準に適合するものは、@産業の発展に寄与することを目的とし、「博覧会」「見本市」等の名称の如何にかかわらず、産業に関する物品等の公開及び展示を行うものであること。A開設地、開設期間、出品者及び入場者の資格、出品者数並びに出品物の種類及び数量等が、本項の趣旨に照らして適当であると判断されるものであること。B日本国において開催される博覧会については、原則として、政府等が協賛し、又は後援する博覧会その他これに準ずるものであること。に適合するか否かにより判断される。


第二項

 商標登録出願に係る商標について前項の規定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した書面を商標登録出願と同時に特許庁長官に提出し、かつ、その商標登録出願に係る商標及び商品又は役務が同項に規定する商標及び商品又は役務であることを証明する書面を商標登録出願の日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければならない。

商標法9条の2(パリ条約の例による優先権主張)

第一項

 パリ条約の同盟国でされた商標(第二条第一項第二号に規定する商標に相当するものに限る。)の登録の出願に基づく優先権は、同項第一号に規定する商標に相当する商標の登録の出願に基づく優先権についてパリ条約第四条に定める例により、これを主張することができる。

 ・パリ条約ではサービスマークの保護を義務づけていないため、サービスマークを保護する規定を新設した。
 ・パリ条約上、同盟国は、サービス・マーク(役務商標)の出願について、パリ条約に定める優先権を認めることを義務づけられていない。しかし、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定により、世界貿易機関加盟国は、サービス・マークについてもパリ条約に定める優先権を認めることが義務づけられている。


商標法9条の3

第一項

 次の表の上欄に掲げる者が同表の下欄に掲げる国においてした出願に基づく優先権は、パリ条約第四条の規定の例により、商標登録出願について、これを主張することができる。

上欄右側

 日本国民又はパリ条約の同盟国の国民(パリ条約第三条の規定により同盟国の国民とみなされる者を含む。)

下欄右側

 世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国

上欄左側

 世界貿易機関の加盟国の国民(世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書一C第一条3に規定する加盟国の国民をいう。)又は商標法条約の締約国の国民

下欄左側

 パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国

商標法9条の4(指定商品等又は商標登録を受けようとする商標の補正と要旨変更)

第一項

 願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標についてした補正がこれらの要旨を変更するものと商標権の設定の登録があつた後に認められたときは、その商標登録出願は、その補正について手続補正書を提出した時にしたものとみなす。

 ・登録後に不適法な補正が判明した場合に権利者の救済措置を設けるためである。
 ・本条の規定により要旨変更であるべき旨の認定をするのは、審判官又は裁判官である。
 ・一つの事件(侵害訴訟A)における要旨変更であるとの認定は、他の事件(侵害事件B)の裁判官の認定をなんら拘束するものではない。


商標法10条(商標登録出願の分割)

第一項

 商標登録出願人は、商標登録出願が審査、審判若しくは再審に係属している場合又は商標登録出願についての拒絶をすべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に限り、二以上の商品又は役務を指定商品又は指定役務とする商標登録出願の一部を一又は二以上の新たな商標登録出願とすることができる。

 ・指定商品等が複数である場合について規定したものである。また、二以上の区分にわたるものである場合と、一区分内のものである場合とを問わない。
 ・二以上の商標を誤って提出した場合は分割できない。
 ・拒絶査定から審判請求までの間、拒絶審決から高裁出訴までの間、高裁判決から最高裁上告までの間は、分割できない。
 ・分割に際しては元の出願の補正が必要である所、裁判所に係属している期間の分割は補正できない期間の分割である。しかし、この場合の補正は分割の体裁を整えるために必要な訂正であるので、商標法施行規則に基づき補正することができる。
 ・拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している期間も分割できるが、もとの出願に対する補正は遡及しない。商68条の40の趣旨に反することになるからである。また、出願人は新たな分割出願をすれば全体が拒絶されるという不利益を免れることができるので、もとの出願について削除補正の効果の遡及効を認めなくとも、出願人の利益が害されることはないからである。
 ・商標法では拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している期間も分割できるが、意匠法では拒絶審決に対する訴えが裁判所に係属している期間に分割は認められない。訴訟係属中に、分割出願が認められるのは、商標法条約を遵守するためである。なお、商標権の分割は、権利存続中はいつでもできる。権利消滅後は、無効審判請求があった場合で、事件が審判、再審、訴訟に係属しているときにできる。
 ・指定商品又は指定役務が包括表示で記載されている場合でも、その包括表示に含まれる個々の指定商品又は指定役務ごとに出願を分割することができる。例えば、「第3類、化粧品」とある場合に、 「第3類、クリーム」を分割できる。この場合、元の出願の指定商品を「クリームを除く化粧品」と補正することを要する。
 ・国際商標登録出願については、本条の規定は適用しない。


第二項

 前項の場合は、新たな商標登録出願は、もとの商標登録出願の時にしたものとみなす。ただし、第九条第二項並びに第十三条第一項において準用する特許法 (昭和三十四年法律第百二十一号)第四十三条第一項 及び第二項 (第十三条第一項において準用する同法第四十三条の二第三項 において準用する場合を含む。)の規定の適用については、この限りでない。

第三項

 第一項に規定する新たな商標登録出願をする場合には、もとの商標登録出願について提出された書面又は書類であつて、新たな商標登録出願について第九条第二項又は第十三条第一項において準用する特許法第四十三条第一項 及び第二項 (第十三条第一項において準用する同法第四十三条の二第三項 において準用する場合を含む。)の規定により提出しなければならないものは、当該新たな商標登録出願と同時に特許庁長官に提出されたものとみなす。


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