商標法4条
初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
以下、
太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。
商標法4条(商標登録を受けることができない商標)
第一項
次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
第十四号
種苗法 (平成十年法律第八十三号)第十八条第一項 の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
・私益的規定であり、除斥期間の適用がある。しかし、判断時は査定時である。なお、後発無効事由とはならない。
・種苗法では、登録品種を業として譲渡する場合の名称の使用義務と登録品種以外を譲渡する場合の名称の不使用が課せられている。
・自己が出願する場合でも該当する。
・品種登録を受けた品種の名称については、その登録期間が経過した後は、商3条1項1号又は同項3号の規定に該当する。つまり、普通名称化する。
第十五号
他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)
・私益的規定であり、除斥期間の適用がある。但し、不正の目的で登録を受けた場合を除く。また、査定時に該当しても出願時に該当しなければ良い。
・一部に登録防護標章と同一若しくは類似の商標を有する商標又は登録防護標章に類似する商標は、本号に該当する。
・非類似であっても、該当する。
・判断にあたっては、周知度、創造標章か否か、ハウスマークか否か、多角経営の可能性、商品と役務間の関連性等が考慮される。
・被服についての「arenoma / アレノマ」とカバン及びバッグについての「renoma」又は「レノマ」、おもちゃについての「パー・ソニー」、「パーソニー」又は「パーソニー」と電気機械器具についての「ソニー」等は、混同が生じる。
・カメラについての「POLAROID」と化粧品についての「POLA」等は、混同を生ない。
・本号は周知著名表示へのただ乗り(フリーライド)又は希釈化(ダイリューション)を防止し商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とする。よって、出所の混同のみならず、その他人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認する(広義の混同を生ずる)おそれがある商標をも商標登録を受けることができない。
第十六号
商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標
・公益的規定であり、除斥期間はない。
・誤認させるような商標は需要者の利益を害し、公益性に反するからである。例えば、指定商品「シャンプー」に対する「たまごシャンプー」の商標は、たまご入りのシャンプーであるとの誤認を生じるおそれがある。なお、現実に誤認が生じるている必要はなく、おそれであれば良い。また、商品又は役務の質の劣悪の誤認には関係がない。
・指定商品「イギリス製の洋服」において「イギリス」の文字を含む商標、指定役務「フランス料理の提供」において「フランス」の文字を含む商標等は、本号に該当しない。
・商標中に単に付記的に用いられている商品の産地・販売地又は役務の質を表す国家名、地名等の文字は、補正により削除できる。ただし、国際商標登録出願に係る商標については、これらの文字等を削除する補正はできない。
・時計についての「SWISSTEX」は本号に該当する(「SWISS」の文字は「スイス国」を認識させる。)。
・浴槽についての「どどいつ」は本号に該当しない( 「どどいつ」の文字は「都々逸」を認識させる。)。
・商標中に「○○博覧会金牌受領」、「○○大臣賞受領」等商品の品質又は役務の質を保証するような文字、図形等の標章があるときは、その事実の立証を求め、立証されないときは、商4条1項9号を理由として拒絶するものを除き、本号の規定を適用する。
・商標の付記的部分に「JIS」、「JAS」、「特許」、「実用新案」、「意匠」等の文字又は記号があるときは、これらの文字等が補正により削除されない限り本号の規定を適用する。但し、国際商標登録出願に係る商標については、これらの文字等を削除する補正はできない。
・地域団体商標が、商標中の地域の名称と密接な関連性を有する商品又は役務以外に使用されるときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるとして、本号の規定を適用する。
・地域団体商標が本号に該当しないのは、地域の名称が当該商品の産地であり「○○(地域の名称)産の△△(商品)」とする場合、地域の名称が当該役務の提供の場所であり「○○(地域の名称)における△△(役務)」とする場合、地域の名称が当該商品の主要な原材料の産地であり「○○(地域の名称)産の□□(原材料)を主要な原材料とする△△(商品)」とする場合、地域の名称が当該商品の製法の由来地であり「○○(地域の名称)に由来する製法により生産された△△(商品)」とする場合等である。
第十七号
日本国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定するものを表示する標章又は世界貿易機関の加盟国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留酒について使用をすることが禁止されているものを有する商標であつて、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用をするもの
・私益的規定であり、除斥期間の適用がある。
・TRIPS24条9においては、加盟国が原産国において保護されていない地理的表示を保護する義務を負わない旨が規定されている。
・日本国内の産地をも規定しているのは、日本の産地が外国の産地よりも不利に扱われることとなり、日本で原産地が保護されないと外国でも保護されなくなってしまうからである。
・産地指定を受けるための申請手続きなどは、商施規1条〜1条の4に規定されている。
・外国の産地については、特許庁長官が指定するものではない。
・査定時に該当しても出願時に該当しなければ良い。TRIPS協定の「善意」の要件を満たすと考えられるからである。
・本号は、産地を当該産地における文字で表示した標章のみならず、片仮名文字、その他その翻訳と認められる文字で表示した標章を有する場合も適用する。
・「ぶどう酒」には、アルコール強化ぶどう酒が含まれるものとする。また、「蒸留酒」には、例えば、泡盛、しょうちゅう、ウイスキー、ウォッカ、ブランデー、ラム、ジン、カオリャンチュー、パイカル等が含まれるが、リキュールは含まれないものとする。
・以下の二つが産地として規定されている。
@日本国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定するもの
A世界貿易機関の加盟国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留酒について使用をすることが禁止されているもの
第十八号
商品又は商品の包装の形状であつて、その商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標
・公益的規定であり、除斥期間はない。なお、後発無効事由とはならない。
・商品の形状や包装の形状そのものの範囲を出ない立体商標は、自他商品識別力を有しないとして拒絶される。しかし、使用の結果識別力を備えた場合は登録されうるため、本号で拒絶することで、商品又は包装の半永久的な独占を防いでいる。
・一部に不可欠な形状のみからなる商標の登録は認められうる。不可欠な形状のみからなる商標には商標権の効力が及ばないので、形状を独占させることにはならないからである。
第十九号
他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)
・私益的規定であるが、除斥期間の適用がない。また、査定時に該当しても出願時に該当しなければ良い。
・主として外国での所有者に無断で不正の目的をもってなされる出願/商標登録を排除することを目的とする。また、出所の混同のおそれがない商標であっても、全国的な著名商標の出所表示機能を希釈化することがあり、その保護を目的とする。
・不正の目的とは、不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的その他の不正の目的をいい、図利加害目的、取引上の信義則に反するような目的のことをいう。取引上の競争関係を有しない場合であっても適用される。具体的には、外国で周知な他人の商標と同一又は類似の商標が我が国で登録されていないことを奇貨として、高額で買い取らせるために先取り的に出願したもの、又は外国の権利者の国内参入を阻止し若しくは代理店契約締結を強制する目的で出願したもの、日本国内で全国的に知られている商標と同一又は類似の商標について、出所の混同のおそれまではなくても出所表示機能を稀釈化させたり、その名声等を毀損させる目的をもって出願したもの、その他信義則に反するものは、本号の規定に該当する。
・不当登録された著名商標を使用する行為は、無効な商標権の使用であり、著名商標の存在を知っていれば公正の理念にも反するので権利濫用となる。
・本号の適用に当たっては、@一以上の外国において周知な商標又は日本国内で全国的に知られている商標と同一又は極めて類似するものであり、且つ、Aその周知な商標が造語よりなるものであるか、若しくは、構成上顕著な特徴を有するものである場合は、不正の目的をもって使用すると推認する。
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