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商標法4条1項10-16号

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

商標法4条(商標登録を受けることができない商標)

第一項

 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

第十号

 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

 ・私益的規定であり、除斥期間の適用がある。但し、不正競争の目的で登録を受けた場合は、除斥期間がない。また、査定時に該当していても出願時に該当しなければ良い。
 ・未登録周知商標の保護を目的とする。なお、未登録であっても不正競争防止法に基づく差止が可能である。
 ・未登録周知商標に類似する場合も本号に該当する。
 ・主として外国で使用された結果、日本で周知となった場合も該当する。
 ・防護標章登録を受けている商標又は審決若しくは判決で需要者の間に広く認識された商標と認定された商標については、需要者の間に広く認識された商標と推認して取り扱われる。


第十一号

 当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

 ・私益的規定であり、除斥期間の適用がある。但し、後願出願時に該当しなければ適用はあり得ないので、本条3項の適用はない。
 ・商標の類否の判断の際には、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察する。また、商標が使用される商品又は役務の主たる需要者層、その他商品又は役務の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断する。
 ・商標登録出願に係る商標の登録について引用商標の商標権者が承諾している旨を示す証拠が提出された場合には、資料として参酌しない。
 ・他人の先願登録商標に類似する場合も本号に該当する。なお、本号違反の拒絶理由に対しては、先願商標登録の無効又は不使用取消、若しくは先願商標権の譲り受けの措置をとることができる。
 ・二以上の自然の称呼を有する文字商標は、その一方を振り仮名として付した場合であっても、他の一方の自然の称呼をも生ずるので、本号に該当する(例えば、紅梅について、「ベニウメ」と振り仮名した場合、なお「コウバイ」の自然の称呼をも生ずる。白梅における「ハクバイ」及び「シラウメ」も同様)。逆に、商標「竜田川」に「タツタガワ」のような自然の称呼を振り仮名として付したときは、「リュウデンセン」のような不自然な称呼は生じないので、「リュウデンセン」には類似しない。
 ・形容詞的文字(商品の品質、原材料等を表示する文字、又は役務の提供の場所、質等を表示する文字)を有する結合商標は、原則として、それが付加結合されていない商標と類似する(スーパーライオンとライオン、銀座小判と小判、レデイグリーンとレデイ等)。
 ・大小のある文字からなる商標は、原則として、大きさの相違するそれぞれの部分からなる商標と類似する。
 ・離れた文字の部分からなる商標は、原則として、離れたそれぞれの部分のみからなる商標と類似する(「鶴亀  万寿」と「鶴亀」又は「万寿」等)。
 ・長い称呼を有するため、簡略化される可能性がある商標は、原則として、簡略化される可能性がある部分のみからなる商標と類似する(「cherryblossomboy」と「チェリーブラッサム」、「chrysanthemumbluesky」と「クリサンシマム」又は「ブルースカイ」等)。
 ・指定商品又は指定役務について慣用される文字と他の文字とを結合した商標は、慣用される文字を除いた部分からなる商標と類似する(「清酒」について男山富士と富士又は菊正宗と菊、「折たたみナイフ」について桜肥後守と桜、「興行場の座席の手配」についてプレイガイドシャトルとシャトル、「宿泊施設の提供について黒潮観光ホテル」と「黒潮」等)。
 ・テープレコーダについて「SONYLINE」、「SONY LINE」又は「SONY/LINE」と「SONY」、化粧品について「ラブロレアル」と「L?0REAL」「ロレアル」、かばん類について「PAOLOGUCCI」と「GUCCI」、航空機による輸送について「JALFLOWER」と「JAL」、映画の制作について「東宝白梅」と「東宝」等、は類似する。
 ・金属加工機械器具について「TOSHIHIKO」と「IHI」、時計について「アルバイト」と「ALBA/アルバ」、遊戯用機械器具について「せがれ」と「セガ」は類似しない。
 ・独占させるべきでない部分(眼鏡に対するeyeの文字)を共通にするに過ぎない場合(SEIKO eyeとeye MIYUKI)には、類似性が否定される。
 ・商標の構成部分中識別力のある部分が識別力のない部分に比較して著しく小さく表示された場合であっても、識別力のある部分から称呼又は観念を生ずる。
 ・商標が色彩を有するときは、その部分から称呼又は観念を生ずることがある。
 ・引用商標の商標権の存続期間が満了している場合も、更新された場合には本号が適用される。ただし、引用商標の商標権者が更新申請をしない旨を意思表示し、更新がないことが明らかになった場合は本号は適用されない。
 ・立体商標は、原則として、それを特定の方向から観た場合に視覚に映る姿を表示する平面商標又は立体商標(近似する場合を含む。)と外観において類似する。
 ・ 地域団体商標として登録された商標については、使用をされた結果商標全体の構成が不可分一体のものとして需要者の間に広く認識されている事情を考慮し、商標の類否判断においても、商標全体の構成を不可分一体のものとして判断する。
 ・地域団体商標として登録された商標と同一又は類似の文字部分を含む後願の他人の商標は、原則として、地域団体商標として登録された商標と類似する。
 ・商品の類否を判断するに際しては、以下の基準を総合的に考慮する。
 @生産部門の一致、A販売部門の一致、B原材料及び品質の一致、C用途の一致、D需要者の範囲の一致、E完成品と部品との関係にあるかどうか
 ・役務の類否を判断するに際しては、以下の基準を総合的に考慮する。
 @提供の手段、目的又は場所の一致、A提供に関連する物品の一致、B需要者の範囲の一致、C業種の一致、D当該役務に関する業務や事業者を規制する法律の一致、E同一の事業者が提供するものであるかどうか
 ・商品と役務の類否を判断するに際しては、以下の基準を総合的に考慮した上で、個別具体的に判断する。
 @ 商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか、A 商品と役務の用途の一致、B商品の販売場所と役務の提供場所の一致、C需要者の範囲の一致
 ・外観類似とは、対比される商標の外観が視覚的に相紛らわしいことをいう。例えば、ライオンとテイオンや、ピアノの図形とオルガンの図形である。但し、一定の場合に、いわゆる色違い類似商標は同一の商標とみなされる。
 ・称呼類似とは、対比される商標の称呼が聴覚的に相紛らわしいことをいう。例えば、スチッパーとSkipperである。
 ・観念類似とは、対比される商標の有する意義が相紛らわしいことをいう。例えば、王とキングである。


第十二号

 他人の登録防護標章(防護標章登録を受けている標章をいう。以下同じ。)と同一の商標であつて、その防護標章登録に係る指定商品又は指定役務について使用をするもの

 ・私益的規定であり、除斥期間の適用がある。また、判断時は査定時である。
 ・出願時には他人の防護標章登録出願が存在せず、自己の出願が先願であり他人の防護標章登録出願が後願であっても、自己の出願の査定時に他人の防護標章が登録されていれば拒絶される。
 ・同一のものに限られるので、類似の範囲は本号には該当せず、商4条1項15号に該当する。これは、防護標章登録に基づく権利の効カ範囲に対応している。なお、相似形を含む、また、いわゆる色違い類似商標も含む。


第十三号

 削除

 ・早期権利取得というユーザーニーズに応えるため、廃止された。これにより、取消決定又は無効審決が確定した場合は同決定又は審決の確定後、放棄の場合は放棄の設定登録後、直ちに登録査定が可能となった。
 ・商標権の存続期間満了後であっても、商標権が満了時にさかのぼって更新されることがあるので、直ちに登録査定が可能となるわけではない。
 ・権利消滅後に出所の混同を招く恐れがある場合には、商4条1項15号により登録が認められない。


第十四号

 種苗法 (平成十年法律第八十三号)第十八条第一項 の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

 ・私益的規定であり、除斥期間の適用がある。しかし、判断時は査定時である。なお、後発無効事由とはならない。
 ・種苗法では、登録品種を業として譲渡する場合の名称の使用義務と登録品種以外を譲渡する場合の名称の不使用が課せられている。
 ・登録を受けた本人が出願する場合でも該当する。
 ・品種登録を受けた品種の名称については、その登録期間が経過した後は、商3条1項1号又は同項3号の規定に該当する。つまり、普通名称化する。


第十五号

 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)

 ・私益的規定であり、除斥期間の適用がある。但し、不正の目的で登録を受けた場合を除く。また、査定時に該当しても出願時に該当しなければ良い。
 ・一部に登録防護標章と同一若しくは類似の商標を有する商標又は登録防護標章に類似する商標は、本号に該当する。
 ・非類似であっても、該当する。
 ・判断にあたっては、周知度、創造標章か否か、ハウスマークか否か、多角経営の可能性、商品と役務間の関連性等が考慮される。
 ・被服についての「arenoma / アレノマ」とカバン及びバッグについての「renoma」又は「レノマ」、おもちゃについての「パー・ソニー」、「パーソニー」又は「パーソニー」と電気機械器具についての「ソニー」等は、混同が生じる。
 ・カメラについての「POLAROID」と化粧品についての「POLA」等は、混同を生ない。
 ・本号は周知著名表示へのただ乗り(フリーライド)又は希釈化(ダイリューション)を防止し商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とする。よって、出所の混同のみならず、その他人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認する(広義の混同を生ずる)おそれがある商標をも商標登録を受けることができない。


第十六号

 商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標

 ・公益的規定であり、除斥期間はない。
 ・誤認させるような商標は需要者の利益を害し、公益性に反するからである。例えば、指定商品「シャンプー」に対する「たまごシャンプー」の商標は、たまご入りのシャンプーであるとの誤認を生じるおそれがある。なお、現実に誤認が生じるている必要はなく、おそれであれば良い。また、商品又は役務の質の劣悪の誤認には関係がない。  ・指定商品「イギリス製の洋服」において「イギリス」の文字を含む商標、指定役務「フランス料理の提供」において「フランス」の文字を含む商標等は、本号に該当しない。
 ・商標中に単に付記的に用いられている商品の産地・販売地又は役務の質を表す国家名、地名等の文字は、補正により削除できる。ただし、国際商標登録出願に係る商標については、これらの文字等を削除する補正はできない。
 ・時計についての「SWISSTEX」は本号に該当する(「SWISS」の文字は「スイス国」を認識させる。)。
 ・浴槽についての「どどいつ」は本号に該当しない( 「どどいつ」の文字は「都々逸」を認識させる。)。
 ・商標中に「○○博覧会金牌受領」、「○○大臣賞受領」等商品の品質又は役務の質を保証するような文字、図形等の標章があるときは、その事実の立証を求め、立証されないときは、商4条1項9号を理由として拒絶するものを除き、本号の規定を適用する。
 ・商標の付記的部分に「JIS」、「JAS」、「特許」、「実用新案」、「意匠」等の文字又は記号があるときは、これらの文字等が補正により削除されない限り本号の規定を適用する。但し、国際商標登録出願に係る商標については、これらの文字等を削除する補正はできない。
 ・地域団体商標が、商標中の地域の名称と密接な関連性を有する商品又は役務以外に使用されるときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるとして、本号の規定を適用する。
 ・地域団体商標が本号に該当しないのは、地域の名称が当該商品の産地であり「○○(地域の名称)産の△△(商品)」とする場合、地域の名称が当該役務の提供の場所であり「○○(地域の名称)における△△(役務)」とする場合、地域の名称が当該商品の主要な原材料の産地であり「○○(地域の名称)産の□□(原材料)を主要な原材料とする△△(商品)」とする場合、地域の名称が当該商品の製法の由来地であり「○○(地域の名称)に由来する製法により生産された△△(商品)」とする場合等である。



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