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商標法4条1項1-9号

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

商標法4条(商標登録を受けることができない商標)

第一項

 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

 ・公益的規定は除斥期間なし。私益的規定は原則として除斥期間有り。但し、いわゆる不正又は不正競争の目的がある場含及び本条19号は除斥期間なし。
 ・私益的規定は商4条3項に該当しない。但し、本条11号〜14号は該当しない。


第一号

 国旗、菊花紋章、勲章、褒章又は外国の国旗と同一又は類似の商標

 ・公益的規定であり、除斥期間はない。
 ・商標の一部に国旗や菊花紋章等が用いられていても、全体として類似していなければ商標登録を受けうる(例えば、菊花の紋章でその花弁の数が12以上24以下のもの等)。
 ・「勲章、褒章又は外国の国旗」は、現に存在するもの(例えば、文化勲章、紫綬褒章等)に限られる。また「外国」とは、我が国が承認している国に限らず、承認していない国をも含む。
 ・商標の一部に国旗又は外国の国旗の図形を顕著に有するときは、国旗又は外国の国旗に類似する。国旗又は外国の国旗の尊厳を害するような方法で表示した図形を有する商標は、たとえ、それらと類似しない場合であっても、商4条1項7号の規定に該当する。


第二号

 パリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国の紋章その他の記章(パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国旗を除く。)であつて、経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標

 ・公益的規定であり、除斥期間はない。
 ・大臣が指定する。
 ・同盟国といった場合、日本国は含まれない。


第三号

 国際連合その他の国際機関を表示する標章であつて経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標

 ・公益的規定であり、除斥期間はない。
 ・国際連合の旗、UNESCO、EURATOM等である。
 ・大臣が指定する。


第四号

 (赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律 (昭和二十二年法律第百五十九号)第一条 の標章若しくは名称又は武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律 (平成十六年法律第百十二号)第百五十八条第一項 の特殊標章と同一又は類似の商標

 ・公益的規定であり、除斥期間はない。なお、後発無効事由とはならない。
 ・以下の@〜Bの標章又は名称を商標の一部に顕著に有する場合は、本号の規定に該当する。
 @赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律第1条の標章は、白地に赤十字、白地に赤新月、白地に赤のライオン及び太陽
 A赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律第1条の名称は、赤十字、ジュネーブ十字、赤新月、赤のライオン及び太陽
 B武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第158条1項の特殊標章は、オレンジ色地に青色の正三角形の標章


第五号

 日本国又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の政府又は地方公共団体の監督用又は証明用の印章又は記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の標章を有する商標であつて、その印章又は記号が用いられている商品又は役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をするもの

 ・公益的規定であり、除斥期間はない。
 ・大臣が指定する。
 ・本条2号と異なり、日本国を含む。
 ・一部にのみ含む場合であっても不登録となる。特に品質保証的機能が強いためである。
 ・都道府県、市町村、都営地下鉄、市営地下鉄、市電、都バス、市バス、水道事業、大学、宗教団体、オリンピック、IOC、JOC、ボーイスカウト、JETRO等を表示する著名な標章等は、本号の規定に該当する。


第六号

 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標

 ・公益的規定であり、除斥期間はない。なお、後発無効事由とはならない。
 ・承諾を得た場合であっても不登録となる。
 ・NHK、YMCA、JETRO、結核予防学会のダブルクロス、大学の表示、都市の紋章等である。
 ・国とは日本国を意味する。また、地方公共団体とは、地方自治法1条の2にいう都道府県市長村並びに特別区、地方公共団体の組合及び財産区をいう。よって、外国の機関等は含まれない。
 ・これらの機関とは、立法、司法、行政についての国又は地方公共団体の機関をいう。
 ・公益に関する団体とは、民法34条の公益法人等をいう。
 ・公益に関する事業とは、地方公共団体の営む水道事業等をいう。
 ・当該団体自体が出願した場合は除かれる。当該団体が当該商標権を取得しても権威は損なわれず、団体が業務を行う上では他人の使用を排除する必要があるからである。
 ・地方公共団体であっても、国を表示する標章について登録は受けられない。また、公益に関する事業を行う者自身が公益的な団体でなくとも良い。


第七号

 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標

 ・公益的規定であり、除斥期間はない。
 ・商標の構成自体が本号に該当しない場合であっても、特定の商品などに使用することにより本号に該当する場合があるので、商標が公序良俗を害しない場合でも本号により拒絶される場合がある。
 ・国旗又は外国の国旗の尊厳を害するような方法で表示した図形を有する商標は、たとえ、それらと類似しない場合であっても、本号の規定に該当する。
 ・他の法律によって、その使用等が禁止されている商標、特定の国若しくはその国民を侮辱する商標又は一般に国際信義に反する商標は、本号の規定に該当する。
 ・遺族などの承諾なく著名な故人の略称を商標登録することは、著名な故人の名声に便乗し、指定商品についての使用の独占をもたらすことになり、故人の名声又は名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、公正な取引秩序を乱し、国際信義に反する。
 ・歴史上の人物名等、周知・著名な故人の人物名からなる商標は、商標自体が本号に該当しなくとも、商標の使用や登録が社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反する場合も本号に該当し得る(審査便覧)。なお、以下の事情を総合的に勘案して判断される。
 @当該歴史上の人物の周知・著名性
 A当該歴史上の人物名に対する国民又は地域住民の認識
 B当該歴史上の人物名の利用状況
 C当該歴史上の人物名の利用状況と指定商品・役務との関係
 D出願の経緯・目的・理由
 E当該歴史上の人物と出願人との関係
 ・歴史上の人物名等を使用した公益的な施策等に便乗し、その遂行を阻害し、公共的利益を損なう結果に至ることを知りながら、利益の独占を図る意図をもってした商標登録出願は、本号に該当する。
 ・歴史上の人物名等は、実在した故人をいい、外国人も含まれる。また、特定の人物を表すものとして周知・著名であれば、略称・異名・芸名等も含まれ得る。


第八号

 他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)

 ・私益的規定であり、除斥期間の適用がある。また、査定時に該当していても出願時に該当しなければ良い。
 ・氏名はフルネームを意味する。
 ・自己の氏名等と他人の氏名等が一致するときでも本号が適用され、当該他人の承諾を要する。
 ・「他人」とは、現存する者とし、外国人の名称や法人格なき社団も含まれる。なお、著名な故人の名称(ダリ等)については本条7号に該当する。
 ・株式会社の商号は他人の名称に当たる。また、株式会社の文字を除いた部分はその略称に当たる。ここで、略称の場合は著名であることを要する。
 ・本号でいう「著名」の程度の判断については、商品又は役務との関係を考慮する。
 ・雅号等は「著名」なものに限られる。恣意的なものであるので、すべてを保護するのは行き過ぎであるからである。なお、著名な他人の氏名等に類似する名称を含む商標であっても、本号には該当しない。


第九号

 政府若しくは地方公共団体(以下「政府等」という。)が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するもの又は外国でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会の賞と同一又は類似の標章を有する商標(その賞を受けた者が商標の一部としてその標章の使用をするものを除く。)

 ・公益的規定であり、除斥期間はない。なお、後発無効事由とはならない。
 ・賞の対象となる商品又は役務と同一の商品又は役務には限られない。
 ・一部にのみ含む場合であっても原則として不登録となる。特に品質保証的機能が強いためである。
 ・かっこ書きにおいて、一部にのみ使用する場合に限っているのは、他の者も使用できるようにするためである。
 ・品評会を含む。
 ・本号でいう「その賞を受けた者」には、その者の営業の承継人を含む。
 ・以下の3つの博覧会について規定されている。  @政府等が開設する博覧会
 A政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するもの
 B外国でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会
 ・博覧会の指定は実績がなく、博覧会の賞を保護するという目的を達成できないおそれがあった。そのため、特許庁長官の定める基準に適合する博覧会の賞と同一又は類似の商標の登録を排除できるようにした。
 ・基準に適合するものは、@産業の発展に寄与することを目的とし、「博覧会」「見本市」等の名称の如何にかかわらず、産業に関する物品等の公開及び展示を行うものであること。A開設地、開設期間、出品者及び入場者の資格、出品者数並びに出品物の種類及び数量等が、本号の趣旨に照らして適当であると判断されるものであること。B政府等が協賛し、又は後援する博覧会その他これに準ずるものであること。に適合するか否かにより判断される。



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