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商標法3条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

商標法3条(商標登録の要件)

第一項

 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。

 ・現在又は将来の使用意思と、特別顕著性(自他商品等識別力)について規定している。なお、商3条が一般的登録要件を規定しており、商4条が具体的登録要件を規定している。
 ・登録主義では、現実に存在する信用のみならず未必的に可能性として存在する信用も保護の対象として考える。しかし、当初から使用意思のないものに排他的独占権を設定するのは妥当ではないので、本条で使用意思を要件としている。なお、自ら使用するものではないので、他人に使用をさせるものは含まれない。
 ・商3条1項の規定に該当するか否かの判断時期は、査定又は審決時である。
 ・本条1項各号に該当する文字に単に厚みをもたせた立体的形状のみからなる立体商標は、原則として同1項の当該号の規定に該当する。
 ・行政庁の許可が必要な業務を指定役務とする場合であっても、行政庁の許可は登録要件ではない。
 ・以下のように自己の業務に係る商標等について使用しないことが明らかであるときは、原則として、商3条1項柱書違反として登録を受けることができない。
 @出願人の業務の範囲が法令上制限されているため、出願人が指定商品等に係る業務を行わないことが明らかな場合(例えば、銀行のように業務制限されているもの)
 A指定商品等に係る業務を行うことができる者が法令上制限されているため、出願人が指定商品等に係る業務を行わないことが明らかな場合(例えば、警察)
 B衣料品、飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供(総合小売等役務)に該当する役務を個人が指定してきた場合
 C類似の関係にない複数の小売等役務を指定してきた場合
 D一区分内での商品又は役務の指定が(使用意思に疑義がある程に)広範な範囲に及んでいる場合
 ・立体商標である旨の記載があっても、願書中の商標登録を受けようとする商標を記載する欄の記載が、立体商標としての商標の構成及び態様を特定できないときは、本項の規定に反し登録を受けられない。
 ・「業務」は、反復的及び継続的でなければならない。一回限りの使用であることが明らかな場合には、登録は認められない。例えば、特定の運動会用に日付を入れた商標等は登録されない。
・音響商標、匂い商標、色彩のみからなる商標は、本項柱書きに反し登録を受けられない。


第一号

 その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

 ・一般消費者が一般的名称であると意識しても普通名称ではない。取引界において特定の業務にかかる商品又は役務であることが意識されないようになり、自他商品識別機能がなくなった場合に普通名称となる。例えば、時計の商品について「時計」、航空機による輸送の役務について「空輸」等は、普通名称である。また、宅急便は普通名称ではないが宅配便は普通名称である。
 ・極めて特殊な態様で表示した場合や、商標の一部として含むのみである場合は本号の適用を免れる。尚、全体として議別カがない場合は、商3条1項6号に該当する。
 ・商品又は役務の普通名称には、原則として、その商品又は役務の略称、俗称等も含まれるものとする(例えば、アルミ、パソコン、損保、空輸、「塩」に波の花、「箸」におてもと、「質屋による資金の貸付け」に一六銀行、「演芸の興行の企画又は運営」に呼屋等)。
 ・商品又は役務の普通名称をローマ字又は仮名文字で表示するものは、普通に用いられる方法で表示するものに該当するものとする。
 ・商品又は役務の普通名称でも、その名称に相当する商品等以外のものに使用される場合は本号に該当しない(例えば、理容業に商標「パン」等)。
 ・認識地域が全国的ではなく、一地方のみで普通名称と認識されていても本号が適用される。


第二号

 その商品又は役務について慣用されている商標

 ・慣用商標とは、同種類の商品又は役務について同業者間において普通に使用されるに至った結果、自己の商品又は役務と他人の商品又は役務とを識別することができなくなった商標をいう。例えば、「清酒」に正宗、「餅菓子」に羽二重餅、「カステラ」にオランダ船の図形、「あられ」にかきやま、「宿泊施設の提供」に観光ホテル、「興行場の座席の手配」にプレイガイド等である。
 ・需要者の間で広く知られた周知商標が特定業界内で一般的に用いられるようになると自他商品識別力を喪失して慣用商標となる。なお、慣用商標に類似する商標であっても識別力がある場合がある。慣用商標に類似する商標は本号に該当せず、商3条1項6号で判断する。
 ・「普通に用いられる方法」との記載はない。慣用商標は、常に当該商標等について普通に用いられるからである。


第三号

 その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

 ・これらは流通過程又は取引過程において必要な表示であるから、何人も使用する必要があり、かつ何人もその使用を欲し、一個人に独占を認めるのは妥当でないからである。また、多くの場合既に一般的に使用され、あるいは将来一般的に使用されるため、識別力を認めることはできないからである。
 ・国家名、著名な地理的名称(旧国名及び外国の地理的名称を含む)、繁華な商店街(外国の著名な繁華街を含む)、地図等は、原則として、産地若しくは販売地又は役務の提供の場所を表示するものとされる。例えば、大阪で作られたものに東京と表示する場合も含まれる。但し、産地等にはある程度の著名性が必要となるので、知名度の低い産地等は該当しない。
 ・識別力を有しない立体的形状と識別力を有する文字等との結合からなる商標について、商標全体として識別力を有する場合は、登録されうる。但し、立体的形状部分には識別力がないので、立体的形状部分に基づく権利行使はできない。なお、立体的形状と文字・図形等が一体不可分に結合され、全体として識別力を有しているもので、これを立体的部分と平面的部分に分離できないものも存在する。例えば、ありふれた形状である球の表面全体に、識別力のある人の顔を施したものである。
 ・一番、一級、スーパー、よくきく、BEST、「飲食物の提供」に実演、コクナール、スグレータ、とーくべつ、うまーい、早ーい等である。
 ・商品の包装の形状には、洋酒についてのビンの形状等が該当する。
 ・役務の提供の用に供するものには、その外観を立体的形状として表したものも含まれる。
 ・特定の料理の提供を指定役務とする場合のその料理の素材は、本号に該当する。
 ・立体商標について全体観察した場合に、需要者によって商品の形状、商品の包装の形状又は役務の提供の用に供する物の形状の範囲を出ないと認識される物は本号に該当する。なお、立体商標とは、立体的形状、及びそれと文字、図形、記号、色彩との結合からなる商標をいう。
 ・特殊な態様で表示した場合や、商標の一部として含む場合は本号の適用を免れる。
 ・本号は例示であり、等級、色彩等も該当する。
 ・産地又は提供の場所等を表示する二以上の標章よりなる商標も本号に該当する(「リンゴ」に青森ゴールド等)。
 ・放送番組名、映像が記録されたフィルムの題名、書籍の題号は、題号が直ちに特定の内容を表示するとき(工業所有権法、英和辞典等)は、品質表示に該当する。一方、「坊ちゃん」等の題号は、直ちに特定の内容を表示するものではないので、品質表示に該当しない。
 ・新聞、雑誌等の定期刊行物の題号は原則として識別力がある。日刊スポーツのような定期刊行物の題号は、特定出版杜が毎目・毎月継続的に編集するものなので、各杜それぞれ個性を有するからである。
 ・本号に該当するか否かは商品等との関係で具体的に判断される。例えば、「つばめ」は金属洋食器については産地表示になるが、菓子等については産地表示にならない。
 ・指定役務(映写フィルムの貸与、録画済み磁気テープの貸与、録音済み磁気テープの貸与、録音済みコンパクトディスクの貸与、レコードの貸与等)について、役務の提供を受ける者の利用に供する物(映写フィルム、録画済みの磁気テープ、録音済みの磁気テープ、録音済みのコンパクトディスク、レコード等)の題名がただちに特定の内容を表示するときは、役務の質を表示するものとする。
 ・「飲食物の提供」に係る役務との関係において、外国の国家名、地理的名称等が特定の料理(フランス料理、イタリア料理、北京料理等)を表示するときは、役務の質を表示するものとする。
 ・建築、不動産業等の建築物を取り扱う役務を指定役務とする立体商標であって、当該建築物の形状を普通に用いられる方法で表示するときは、役務の提供の用に供する物を普通に用いられる方法で表示するものとする。
 ・小売等役務において、商標がその取扱商品を表示するときは、提供の用に供する物に当たる。


第四号

 ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

 ・ありふれた氏の例としては、伊藤、斉藤、田中、山田、鈴木などがある。なお、氏と名がそれぞれありふれていても、それが結合すればありふれたとはいえないので、氏名に本号は適用されない。
 ・名称には、商号が含まれる。
 ・特殊な態様で表示した場合や、商標の一部として含むのみである場合は本号の適用を免れる。
 ・ありふれた氏又は名称とは、原則として、同種のものが多数存在するものをいう。例えば、「50音別電話帳(日本電信電話株式会社発行)」等においてかなりの数を発見することができるものである。
 ・「ありふれた氏又は名称」を仮名文字又はローマ字で表示したときは、原則として、本号の規定に該当する。
 ・ありふれた氏、業種名、著名な地理的名称(行政区画名、旧国名及び外国の地理的名称を含む。)等に、商店、商会、屋、家、社、堂、舎、洋行、協会、研究所、製作所、会、研究会、合名会社、合資会社、有限会社、株式会社、「K.K.」「Co.」「Co., Ltd.」「Ltd.」等を結合してなる商標は、原則として、本号に該当する。
 ・行政区画名と業種名とを結合してなる会社名(日本タイプライター株式会社、日本生命保険相互会社等)については、普通に採択されうる名称である場合でも、他に同一のものが現存しないと認められるときは、本号の適用を免れ得る。
 ・特定の役務について多数使用されている店名(「スナック、喫茶店」に愛、蘭等)は、本号には該当せず、商3条1項6号の識別力がない場合に該当するものとする。


第五号

 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標

 ・「極めて簡単」又は「ありふれた」のいずれかに該当すれば本号が適用される。
 ・仮名文字(変体仮名を含む。)1字、1本の直線、円、波線、△、□、○、◇、月桂樹、盾の図形、球、立方体、直方体、円柱、三角柱の立体的形状等、ローマ字の1字若しくは2字からなるとき、ローマ字の1字にその音を仮名文字で併記したとき、ローマ字の1字の音を仮名文字で表示したとき、 ローマ字の2字を「−」で連結したとき、ローマ字の1字若しくは2字に「Co.」、「Ltd.」若しくは「K.K.」を付した場合、数字、1桁又は2桁の数字から生ずる音を表示したとき(例えば、ワンツウ、トウエルブ、じゅうに、ワンハンドレツドアンドトウエンテイスリー、ヒヤクニジユウサン等(数字を併記したときも同様))は、原則として、本号の規定に該当するものとする。
 ・ローマ字の2字を「&」で連結したとき、ローマ字の2字をモノグラムで表示したとき、ローマ字の2字の音を仮名文字で表示したとき、「ワンツウスリー」等は、本号の規定に該当しない。
 ・ローマ字の2字の音を仮名文字で表示したときは、本号の規定に該当しない。ただし、ローマ字が商品又は役務の記号・符号として普通に使用される商品又は役務を除く。


第六号

 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標

 ・本条1号〜5号の総括条項であり、特別顕著(議別力)の一般的な意味を明らかにしている。
 ・商標等が特定の者の業務に係るものであることまで認識できる必要はなく、自他商品等識別機能を有し、一定の出所から流出したものであることを一般的に認識させることができれば足りる。
 ・地模様のみからなるもの、標語(キャッチフレーズ)、商慣習上その商品又は役務の数量等を表示する場合に用いられる文字等(Net、Gross等)、現元号をあらわす「平成」の文字、特定の役務について多数使用されている店名(「スナック、喫茶店」に、愛、純、ゆき、蘭、オリーブ、フレンド等)、これに該当する店名に「スナック」、「喫茶」等の業種をあらわす文字を付加結合したものは、本号の規定に該当する。


第二項

 前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。

 ・一般名称、慣用商標は使用によっても出所表示機能を備えない。なお、本条1号,2号,6号については、識別力が生じれば当然にこれらの規定に該当しなくなる。例えば、床屋の三色灯は本条6号に該当すると考えられるが、使用により識別力を備えればもはや本条6号に該当するとはいえない。
 ・本項の適用を受けるには、特定の者の出所表示として、その商品又は役務の需要者の間で全国的に認識されることを要する。
 ・使用により識別力を備えるためには、出願人の使用でなくとも良い(例えば団体商標)。
 ・複数の指定商品のうち、一部の商品について需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できる(識別力を有する)ようになった場合、その商品のみが本項の適用をうける(登録を受け得る)。つまり、本項の適用を受けるには、全指定商品について証拠を提出しなければならない。
 ・本項の判断時点は査定時である。
 ・使用により識別力の認められる商標は、現実に使用されていた商標・商品(役務)のみである。類似のものについては認められない(審査基準、網野)。例えば、草書体の漢字に対し楷書体又は行書体の漢字、平仮名に対し片仮名、漢字又はローマ字、アラビア数字に対し漢数字、出願された態様に類似するが異なる模様、立体商標に対し平面商標又はその逆等である。
 ・明朝体とゴシック体、縦書きと横書きにすぎない等外観において同視できる程度に商標としての同一性を損なわないものと認められるときには、本項の判断において考慮される。
 ・団体商標の使用による識別力具備の判断については、その構成員の使用が事実を勘案される。
 ・小売等役務についての商標の識別力具備の判断については、小売等役務に係る業務を行っていることの証明を要する。また、商標が商品の出所を表示しているのか、小売等役務の出所を表示しているのかを考察し、小売等役務についての使用か否かを判断する。
 ・識別力の有無については、商標使用期間、使用場所、宣伝広告の有無などが総合的に勘案される。



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