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訂正の請求(特134条の2第1項)

 訂正の請求とは、無効審判の手続きの一環として、特許権者の請求により認められる明細書等の内容の訂正をいう(準特134条の2第1項)。
 無効審判継続中も、一律に訂正審判を請求しなければならないとすると、訂正審判の審決によって審理対象が変動し、審理の迅速性及び的確性が損なわれてしまう。
 そこで、無効審判の手続きの一環として、特許権者の請求により認められる明細書等の内容の訂正を認めている。


請求人適格

 被請求人たる特許権者が請求できる(特134条の2第1項)。また、権利が共有に係る場合は、共有者全員で行う必要がある(準特132条3項)。また、専用実施権者等の承諾を要する(準特127条)。


請求の対象

 特許権設定登録時の明細書等が対象となる。但し、既に訂正があったものについては訂正後の明細書等が対象となる。


請求の期間

 審判請求書の副本送達に伴う答弁書提出期間(準特134条1項)、要旨変更を伴う請求の利用の補正後、当該補正書の送達から起算される答弁書提出期間(準特134条2項)、無効審判棄却審決の取消判決確定後、1週間以内に被請求人から申立があった場合の指定期間(準特134条の3第1項)、審決取消の決定確定後、審理を再開する場合の指定期間(準特134条の3第2項)、無効理由通知に対する意見書提出期間(準153条2項)に請求できる。
 但し、審決取消の決定確定後、審理を再開する場合の指定期間であっても、訂正審判の審決が確定している場合は、除かれる(準134条の3第2項但書)。


訂正の範囲

 @訂正は、特許請求の範囲の減縮、誤記又は誤訳の訂正、明りょうでない記載の釈明の目的に限られる(準特134条の2第1項但書)。また、特許請求の範囲の減縮及び誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正の場合、無効審判が請求された請求項に係る訂正を除き、訂正後の発明が出願の際独立して特許をうけることができるものでなければならない(準特126条5項)。
 A訂正は実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものであってはならない(準特126条4項)。
 B訂正の範囲は、無効審判の請求の趣旨及び理由には制限されない。訂正の機会を制限することは特許権者に不利となるからである。


訂正の手続き

 @訂正請求書に訂正明細書等を添付して提出し(準131条)、所定の手数料を納付することを要する(特195条2項)。
 A審決取消の決定確定後、審理を再開する場合の指定期間に訂正の請求をする場合は、訂正審判の請求書に添付した書類を援用することができる(特134条の3第3項)。
 B審決取消訴訟の提起後90日以内に訂正審判が請求された場合であって、無効審判棄却審決の取消判決確定後、1週間以内に被請求人から申立があった場合の指定期間(特134条の3第1項)、又は、審決取消の決定確定後、審理を再開する場合の指定期間(特134条の3第2項)に、訂正の請求がされなかったときは、訂正審判の請求書に添付した書類をもって、訂正の請求がされたものとみなされる(特134条の3第5項)。但し、既に訂正審判の審決が確定している場合を除く(同但書)。


訂正の審理

 @訂正の審理は審判官の合議体が行う(特136条1項)。
 A訂正明細書等は審判請求人に送達される(特134条の2第2項)。
 B訂正請求が訂正要件に適合するか否かについて審理され、適合するときは訂正明細書等に基づいて無効理由の存否が審理される。適合しないときは、特許権者に対して訂正拒絶理由通知がなされる(特134条の2第3項)。なお、この通知に対しては意見書及び訂正明細書等に対する補正書の提出ができる(特17条の4第1項,2項)。
 C職権審理の結果、新たな無効理由が発見された場合、再度無効理由が通知される(特153条2項)。


訂正の効果

 @訂正請求が認められ、無効審判の棄却審決が確定したときは、訂正明細書等により特許出願、出願公開、特許査定又は審決、特許権の設定登録がなされたものと擬制される(準特128条)。
 A訂正明細書等は無効審判の確定審決と共に特許公報に掲載される(特193条2項7号)。
 B審決取消の決定確定後、審理を再開する場合の指定期間に訂正の請求をした場合は、訂正審判の審決が確定している場合を除き、訂正審判の請求は取下擬制される(特134条の3第4項)。


不服申し立て

 @無効審判手続きにおいて訂正要件違反が看過されて訂正請求が認められた場合、棄却審決に不服ある審判請求人は、これを理由に特許無効審判を請求できる(特123条1項8号)。なお、棄却審決に不服ある審判請求人は、審決取消訴訟を提起することができる(特178条)。
 A訂正請求が認められず、棄却審決がなされた場合、特許権者により訂正請求が認められない点を独立して争う利益はない。逆に、訂正請求が認められず、無効審決がなされた場合、特許権者は審決取消訴訟を提起し、この中で訂正請求が認められない点について争うことができる(特178条)。


訂正審判との関係

 訂正審判の請求後に無効審判の請求がなされた場合、無効審判の継続中に訂正の請求ができるため、原則として無効審判の審理が優先される。




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