論文の書き方は人それぞれであり、問題によっても異なります。下記内容は、必要最小限にまとめてあり、これだけを書けば合格点が付くというものではありません。ですので、あくまで論文のまとめ方の参考としてお使い下さい。
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分割出願(特44条)
分割出願とは、一出願中に二以上の発明が含まれている場合に、その出願の一部を抜き出して新たな出願とすることをいう(特44条)。
法は、出願人及び審査の便宜等のために発明の単一性、すなわち一の願書で出願できる発明の範囲を設けている(特37条)。
しかし、かかる瑕疵は形式的瑕疵であるため、何ら救済を与えないのでは出願人に酷である。また、発明の単一性を満たす場合でであっても、出願人が別出願を望む場合がある。
そこで、手続き面から出願人を保護すべく、特許出願の分割を認めている(特44条)。
主体的要件
@原出願と分割出願の出願人が同一でなければならない(特44条1項)。
A原出願が共同出願の場合、出願人全員で出願しなければならない(特44条1項)。
客体的要件
@分割出願時に原出願が特許庁に継続しけていなければならない(特44条1項)。
A原出願が二以上の発明を包含するものでなければならない(特44条1項)。
B分割出願の明細書等の記載が原出願の最初の明細書等に記載されている事項の範囲内であることを要する。分割の遡及効により、第三者に不利益を与えるからである。
a.新規事項を追加することはできない。
b.分割しうるのは特許請求の範囲に記載された発明に限定されない。但し、要約書のみに記載した事項は含まれない。
c.外国語書面出願の場合、外国語書面が基準となる。
d.国際特許出願である場合、国際出願日における国際出願の明細書等を基準とする(特184条の3第1項)。
C分割直前の原出願の発明全部を分割出願に係る発明としたものでないことを要する。分割の意義を没却しないためである。
D特許査定謄本送達日又は最初の拒絶査定の謄本送達日から30日以内の分割の場合は、分割直前の明細書等(補正後であれば補正後の明細書等)の範囲で分割する必要がある(審査基準)。
時期的要件
次に掲げる場合に限り、分割出願をすることができる。
@明細書等に付いて補正ができる期間内(特17条の2)にするとき(特44条1項1号)。但し、外国語書面出願の場合、翻訳文提出後に限られる。翻訳文提出前は、明細書等が存在しない状態だからである。
A特許をすべき旨の査定の謄本の送達があつた日から30日以内にするとき(特44条1項2号)。実効的な権利取得を支援し、また手続の無駄を解消するためにH18年改正により時期的制限が緩和されたためである。但し、前置審査により特許査定がされた場合、拒絶査定不服審判で差し戻されて特許査定がされた場合は出願の分割ができない(同かっこ書)。また、特許すべき旨の審決後、特許料を納付して特許権の設定登録後も、出願を分割することができない。
B拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から30日以内にするとき(特44条1項3号)。実効的な権利取得を支援し、また手続の無駄を解消するためにH18年改正により時期的制限が緩和されたためである。但し、「最初の」とあるので、拒絶査定不服審判で差し戻されて拒絶査定がされた場合は、出願の分割ができない。また、拒絶すべき旨の審決後も、出願を分割することができない。
C国際特許出願の場合は所定の手続後、みなし国際出願の場合は決定後に分割が可能となる(特184条の12,特184条の20)。国内移行手続きの確定を要するためである。
手続的要件
@所定の様式に従った新たな出願をしなければならない(特44条1項)。具体的には、新たな出願である旨及び原出願の表示をする必要がある。
A原出願の明細書等の補正は、分割出願と同時にしなければならない(特施規30条)。
分割出願の効果
@分割による新たな出願は、原出願のときにしたものとみなされる(特44条2項)。但し、特29条の2の他の特許出願に該当する場合には、遡及しない。新たな事項が追加されているおそれがあるからである。また、特30条4項,特41条4項,特43条1項については遡及しない。各規定の適用を確保するためである。さらに、特43条2項の適用については、最先の日から1年4月又は新出願日から3月のいずれか遅い日までとされる。また、H18年改正により、外国語書面出願の場合は分割出願の日から2月以内であれば翻訳文を提出できる(特36条の2第2項)。
A国内優先権の基礎とすることはできない(特41条1項2号等)。分割の適法性を審査する煩雑さを回避するためである。
B原出願の日から3年経過後であっても、分割出願の日から30日以内であれば出願審査請求できる(特48条の3第2項)。
C分割出願の要件不備の場合は、出願の遡及が認められず、分割出願の日を基準に特許用件等が判断される。
D分割出願の審査においてもとの特許出願等の審査において通知済みの拒絶理由がそのまま適用される場合は、特50条の2の通知がなされ最後の拒絶理由通知を受け取った場合と同様の補正制限が課される(特17条の2第5項)。
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