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 論文の書き方は人それぞれであり、問題によっても異なります。下記内容は、必要最小限にまとめてあり、これだけを書けば合格点が付くというものではありません。ですので、あくまで論文のまとめ方の参考としてお使い下さい。
 なお、書き方の具体的内容についてご質問などがある方は、独学の弁理士講座掲示板でお問い合わせ下さい。

侵害

 意匠権の侵害とは、権原又は正当な理由なき第三者が業として登録意匠又はこれに類似する意匠を実施すること、若しくは一定の予備的行為をすることをいう(意23条,意38条)。
 意匠は物品の美的外観であるため、模倣されやすく、流行性があるため侵害されるとその救済が困難である。
 そこで法は、意匠の特殊性を考慮しつつ、意匠権保護の実効を図っている(意39条等)。


差止請求

 意匠権が侵害され又はその恐れがある場合、侵害の停止又は予防を請求できる(意37条1項)。将来効を有し、故意過失の立証が不要であるため、有効な措置である。
 @差止請求に際し、侵害の行為を組成した物の廃棄又は侵害の行為に供した設備の除却、その他予防に必要な行為を請求できる(意37条2項)。
 A迅速な救済を受けるために、仮処分の請求ができる。判決前に、暫定的に同等の効果を受けることができるので有効である。
 B秘密意匠に係る意匠権に基づく場合、所定の書面を提示した警告が必要である(意37条3項)。登録意匠が未公表の状態で権利行使を認めると、善意の実施者に酷だからである。


損害賠償

 故意過失によって意匠権が侵害された場合、侵害により被った侵害の賠償を請求できる(民709条)。但し、消滅時効が損害及び加害者を知ったときから3年と短い。
 @損害額の立証困難性にかんがみ損害額の推定(意39条)規定が設けられている。なお、実施料相当額を損害額として賠償を請求できるが、実施料相当額以上の損害を証明できる場合は、実施料相当額以上の賠償を請求できる(意39条4項)。
 A過失の推定(意40条)規定が設けられ、立証責任の転換が図られている。但し、秘密意匠の意匠権については、過失が推定されない(同但書)。未公表なので、過失を推定するのは酷だからである。
 B相手方が意匠権者の主張する具体的態様を否定する場合、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない(準特104条の2)。侵害行為の立証を容易にするためである。
 C裁判所は、当事者の申立により損害額を計算するために必要な書類の提出を命ずることができる(準特105条)。当事者が書類を提出しない場合、裁判所は相手方の主張を真実と認めることができる(民訴224条1項)。


不当利得返還請求

 正当な法律上の理由なく、他人の損失において財産的利得を受けた者に対して、自己の受けた損失を限度としてその利得の返還を請求することができる(民703条,民704条)。故意過失を要件とせず、消滅時効が一般債権と同様に10年である点で有効な措置である。


信用回復措置

 侵害者の故意過失により業務上の信用を害された場合、裁判所は、意匠権者の請求により信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる(準特106条)。


刑事上の救済

 @故意に侵害した場合は侵害罪(意68条)が適用される。刑罰による威嚇によって、侵害を予防するためである。
 A法人などには両罰規定(意74条)が適用される。


その他

 外部から視認できない状態での実施は、侵害に該当しないと解する。意匠は、視覚を通じて美感を起こさせるもの(意2条1項)であるため、意匠権侵害の判断においては、流通過程において外観にあらわれず、視覚を通じて認識できない物品の形状等を考慮すべきではないからである。




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