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組物(意8条)

 組物を構成する物品に係る意匠について、組物全体として統一があるときは、一意匠として出願及び登録を認める制度をいう(意8条)。
 法は、手続きの便宜及び権利範囲の明確化を図るべく、一意匠一出願の原則(意7条)を採用する。
 しかし、構成物品の全体が同時に使用される組物は多物品にかかる物であるが、全体として使用されるときにより大きな意匠効果を発揮することが意図されている。また、このようなシステムデザインについて、構成物品毎には類似しないが全体として類似するような巧みな模倣に対しては、構成物品毎に権利取得しても権利行使が困難である。
 そこで法は、全体として統一のある組物について、システムデザインの適切な保護を図るべく、組物の意匠制度を採用している(意8条)。


組物の要件

 @組物とは同時に使用される二以上の物品であって、別表第2に記載の56の組物をいう(意8条)。同時に使用とは、ある一定行為の連続において使用されることを要する。例外であるので、制度趣旨に沿う組物に限定したためである。
 A組物全体として統一があることを要する(意8条)。統一とは意匠上の統一をいう。
 a.形状における統一。構成物品の全体の形状又は主要部が一定の秩序、基調によって構成されているとき、あるいは構成物品の各形状が集合して一つのまとまりある形状を構成しているときは、全体として統一があるといえる。例えば、各構成物品の形状に特殊な形状上の特徴を備えたディナーセット等である。
 b.模様における統一。同じモチーフ又は同じ表現態様による模様が構成物品のそれぞれに同じような構成をもって表されている場合、あるいは個性物品に表された模様が集合して一つのまとまった模様を構成しているときは、全体として統一があるといえる。例えば、バラをあしらった模様で統一されたディナーセット等である。
 c.色彩における統一。統一性ある形状又は模様と結びついた一定の色彩により、全体の統一が成立する場合がある。
 d.観念的統一。各物品の形態が、物語性等ある特定の観念によって相互に関連付けられ、一つのまとまりある形態になっているときは、全体として統一があるといえる。例えば、構成物品が物語の登場人物を表現し、組物全体として見ると物語となっている場合などである。
 B組物全体について一般的登録要件(意3条等)を具備していることを要する。組物全体について一意匠として認め、組物全体として一つの意匠権(意23条)が発生するからである。


出願手続き

 意匠に係る物品の欄に別表第2に掲げられた組物の名称を記載し、意匠に係る物品の説明の欄に組物を構成する物品名及びその個数を記載した願書に、各構成物品毎に作成した図面を添付して出願する(意6条)。


効果

 @登録により、組物全体として一の意匠権が発生する(意23条)。組物の意匠権の効力は、組物全体として同一又は類似の意匠だけに及び、各構成物品には及ばない。組物全体として登録要件が判断され、構成物品毎に登録要件が判断されるものではないからである。
  A組物全体として統一がない場合は、意8条違反として拒絶される(意17条3号)。組物全体として一般登録要件(意3条等)を欠くときはそれぞれの理由で拒絶(意17条)、登録無効(意48条)となる。
 B組物の意匠権における一部侵害について間接侵害の規定を適用することもできるが、各構成物品が組物の製造にのみ使用する物という要件に該当することはほとんど考えられない。




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