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 論文の書き方は人それぞれであり、問題によっても異なります。下記内容は、必要最小限にまとめてあり、これだけを書けば合格点が付くというものではありません。ですので、あくまで論文のまとめ方の参考としてお使い下さい。
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意匠権の効力(意23条)

 意匠権者は業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する(意23条)。
 法は、意匠の創作を奨励しもって産業の発達に寄与することを目的とし(意1条)、創作された意匠を独占排他権たる意匠権により保護する(意23条)。


効力

 意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠を実施する権利を専有する(意23条)。
 @業としてとは、広く事業としての意味である。よって、個人的又は家庭的実施には効力が及ばない。
 A登録意匠とは、意匠登録を受けている意匠をいい(意2条2項)、願書の記載及び図面等に記載された意匠に基づいて定められる。
 B類似する意匠とは、需要者に対して視覚を通じて異なる美感を起こさせない意匠をいう(意24条2項)。意匠の類否判断を明確にするために、H18年改正によって見直されたためである。
 C実施とは、意2条3項に規定する行為をいう。実施行為独立の原則が適用されるが、正当権利者から適法に購入した者が実施をする行為には効力が及ばない。意匠権が消尽したと考えられるからである。
 D専有とは、第三者の実施を排除し、独占排他的に実施する権利を有することをいう。また、意匠権者等は、正当な理由又は権原なき第三者による業としての実施に対して、民事上又は刑事上の救済を受けることができる。
 E侵害の予備的行為から意匠権を有効に保護するために、いわゆる間接侵害の行為を規定し、排他権の拡大が図られている(意38条)。
 F意匠権の効力は設定登録日から20年であり(意21条)、日本国内にのみ及ぶ。


関連意匠、秘密意匠、組物の意匠、部分意匠

 @関連意匠の意匠権も独自の効力を有し、独占排他的に実施することができる(意23条)。同時期に創作されたバリエーションの意匠群を効果的に保護するためである。
 A秘密意匠に係る意匠権については、秘密請求期間中に侵害行為に対して過失が推定されず(意40条但書)、差止請求をする際には警告が要件となる(意37条3項)。
 B組物の意匠(意8条)に係る意匠権については、システムデザイン全体として権利を認めるものであり、各構成物品のみの実施には効力が及ばない。
 C部分意匠(意2条1項かっこ書)に係る意匠権については、同一類似の物品の部分が、当該部分意匠と同一類似の場合に効力が及ぶ。なお、物品全体における当該部分意匠の位置、大きさ、範囲は、侵害の有無の判断において考慮される。


効力の制限

 産業政策的、公共的理由又は衝平の原則から、意匠権の効力には一定の制限が設けられている。
 @専用実施権を設定した場合、意匠権者であっても設定行為で定めた範囲の実施が制限される(意27条,意23条)。専用実施権が物権的効力を有するからである。
 A先願登録意匠等と利用抵触関係にある場合、実施が制限される(意26条)。専用権相互間の利用抵触関係を、先願優位の原則に基づいて調整するためである。
 B共有者との特約がある場合、特約の範囲内で実施が制限される(準特73条2項)。契約自由の原則による。
 C試験又は研究のためにする実施、日本国内を通過するに過ぎない船舶等、出願前から日本国内にある物には、効力が及ばない(準特69条1項,2項)。産業政策的見地、公益的見地、国際交通の利便の考慮、又は、法的安定性を確保するためである。
 D通常実施権が存在する場合、その範囲における実施には効力が及ばない(意28条等)。
 E一定の場合に、登録料の追納又は再審により回復した意匠権の効力が制限される(意44条の3,意55条)。
 F質権者との間に特約がある場合、質権者は特約の範囲内で実施することができる(意35条1項)。





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