論文の書き方は人それぞれであり、問題によっても異なります。下記内容は、必要最小限にまとめてあり、これだけを書けば合格点が付くというものではありません。ですので、あくまで論文のまとめ方の参考としてお使い下さい。
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部分意匠制度(意2条1項かっこ書)
部分意匠制度とは、物品の部分にかかる意匠を保護する制度をいう(意2条1項かっこ書)。
物品全体としての意匠権しか取得できない場合、一の意匠に独創的で特徴のある創作部分が含まれおりその創作部分が模倣されても、意匠全体として模倣が回避されていれば、当該意匠の意匠権の効力(意23条)は及ばないという問題があった。
そこで法は、物品の部分に係る意匠を保護する部分意匠制度を導入した。
要件
部分意匠とは、物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はそれらの結合をいう(意2条1項かっこ書)。部分意匠の要件を満たさない場合、意3条1項柱書違反として、拒絶理由(意17条)又は無効理由(意48条)となる。
@部分意匠に係る物品は、生産され市場において流通する有体物であり、それ自体独立して取引の対象となる物品でなければならず、具体的には別表第1に掲げられるものである。
A部分意匠は、物品全体の中で一定の範囲を占める部分の具体的形態でなくてはならない。よって、物品の形態のシルエットのみを表したものは、部分意匠として保護されない。
B部分意匠は、当該物品において、他の意匠と対比する際に対比の対象となり得る部分でなくてはならない。よって、他の意匠と対比する際に、対比の対象となる意匠の創作の単位が表されていないものは、部分意匠として保護されない。
C物品を離れた模様又は色彩のみは、部分意匠としても保護されない(意2条1項)。物品という有体物の形状を伴うものではないからである。
D組物の意匠については、組物全体として統一のある美観に係る意匠を保護することを趣旨とするものであるので、組物の部分意匠は認められない。
出願手続き
願書に部分意匠の欄を設けて部分意匠についての出願であることを明確にすると共に、図面において部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定し、その特定する方法について意匠の説明の欄で説明する必要がある。
同一及び類似の判断
a.意匠に係る物品、
b.部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の機能、用途、
c.その物品全体の中に占める部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の位置、大きさ、範囲がありふれた範囲か否か、
d.部分意匠として意匠登録を受けようとする部分自体の形態、
の各要素に基づいて部分意匠を認定する。それぞれの要素が同一又は類似である場合、部分意匠が同一又は類似と判断される。
@部分意匠に係る出願と、全体意匠に係る出願とは、願書の中の意匠に係る物品が同一であっても、意匠登録を受けようとする方法・対象が異なる出願であるため、同一又は類似の意匠とはならない。
A意3条及び意3条の2の適用においては、公知意匠又は開示意匠との間での判断を行うので、部分意匠に係る出願と全体意匠に係る出願との間でも同一又は類似の判断が行われる。
審査資料
@意3条1項及び意3条の2の適用においては、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分を含めた意匠公報に掲載された出願意匠の記載全体について、通常の公知資料又は先願意匠と同様に扱われる。
A意9条の適用においては、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分を含めて他の意匠と対比することは行われない。
意匠権
部分意匠に係る意匠権の効力は、同一又は類似する物品に関する意匠の一部が、当該部分意匠と同一又は類似するものに対して及ぶ(意23条)。
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