特許法等改正の閣議決定

 2008年2月1日に、特許法等の改正について閣議決定されました。平成20年度の弁理士試験には関係ありませんが、来年からの受験を考えている方は改正点に注意して下さい。但し、実際の改正法とは細部で異なることがありますので、改正法施行の際に、再度確認することをお勧めします。また、各改正事項の施行日は異なることがあります。

 なお、詳細は特許庁HPの特許法等の一部を改正する法律案についてでご確認ください。
 以下、改正の要点を簡潔に解説しますが、弁理士試験で特に重要となるのは、「通常実施権等に係る登録制度」の見直しと、「拒絶査定不服審判請求期間」の拡大でしょう。

1.通常実施権等に係る登録制度

仮実施権の創設

 特許を受ける権利を有する者は、その特許を受ける権利に基づいて取得すべき特許権について、仮専用実施権を設定、又は、仮通常実施権を許諾できるようになります。そして、仮専用実施権又は仮通常実施権に係る特許出願について特許権の設定の登録があったときは、専用実施権又は通常実施権が設定されたものとみなされます。当然ですが、仮専用実施権者又は仮通常実施権者が発明を実施した場合、特許出願人は補償金の支払請求ができません。

 さらに、仮専用実施権又は仮通常実施権の設定、移転又は処分の制限等については、特許原簿に登録するものとされます。そして、仮専用実施権の設定、移転又は処分の制限等は、登録しなければ効力を生じません。また、仮通常実施権の登録をしたときは、当該仮通常実施権に係る特許を受ける権利等をその後に取得した第三者に対しても、対抗(権利を主張)することができます。

 また、特許原簿等に記載された通常実施権の登録事項のうち、秘匿の要望が強い登録事項(ライセンシーの氏名や、通常実施権の範囲等)の開示が一定の利害関係人に限定されます。

2.拒絶査定不服審判請求期間

 特許・意匠・商標精度における拒絶査定不服審判請求期間が、現行の「30日以内」から「3月以内」に拡大されます。また、意匠制度と商標制度における補正却下決定不服審判請求期間が、現行の「30日以内」から「3月以内」に拡大されます。

 特許制度における審判請求に伴う補正が可能な期間が、現行の「審判請求から30日以内」から「審判請求と同時にのみ可能」に変更されます。

3.優先権書類の電子的交換の対象国の拡大

 特許出願及び実用新案登録出願についてパリ条約による優先権の主張に必要な書類の提出を省略することができる場合が、優先権書類の発行国のみならず、その他の国や国際機関で電子化された優先権書類のデータの受け入れについても可能となるように拡大されます。

4.特許関係料金

 10年目以降の特許料を引き下げるなど、特許料を平均12%引き下げられます。また、商標の設定登録料等を平均43%引き下げられます。

5.料金納付の口座振替制度の導入

 料金納付について、特許印紙その他の料金納付方法に加えて、銀行口座からの振替えによる納付制度が導入されます(平成21年1月運用開始予定)。

オリジナルレジュメ

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