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民事訴訟法−訴訟の完結−

 特定侵害訴訟代理業務試験(いわゆる付記試験)のための備忘録です。
 内容の正確性は保証いたしませんので、そのつもりでご覧ください。

訴訟の完結

 訴訟は、終局判決、上訴や訴えの取下げ、和解、請求の放棄又は認諾によって完結する。

訴えの取下げ

 訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる(261条1項)。訴えの取下げがあった部分について、訴訟は、初めから係属していなかったものとみなす(262条1項)。訴えの取り下げは、終局判決確定まで自由に行えるが、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ効力を生じない(261条2項)。
 訴え取下げ後に同一請求につき別訴を提起することはゆるされるが、終局判決があった後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することはできない(262条2項)。なお、同一の訴えは、当事者及び訴訟物の同一、訴えの利益についての事情の同一の場合に限られる。
 有効な訴えの取り下げは撤回することができないが、詐欺強迫など、刑事上罰すべき他人の行為により訴えを取り下げた場合は、338条1項5号の類推適用により取下げが無効となる。


和解

 和解とは、訴訟係属中に両当事者が、相互に譲歩することによって(互譲)、訴訟を全部又は一部終了させる旨の、期日における合意のことをいう。
 訴訟係属前の和解や裁判外の和解とは異なり、出頭困難と認められる当事者が和解条項案を受諾する旨の書面を提出し、他の当事者が口頭弁論等の期日に出頭してその和解条項案を受諾したときは、当事者間に和解が調ったものとみなされる(264条)。 なお、期日には、争点整理手続期日や証拠調べ期日のほか、保全手続き期日や強制執行手続期日などが含まれる。また、裁判所は和解期日を開いて当事者に和解を勧めることができる。
 裁判所は、当事者が共同して和解条項に服する旨を申立てたときは、適当な和解条項を定めることができる(265条)。和解条項の定めは、口頭弁論等の期日に当事者双方に告知され、当事者間に和解が調ったものとみなされる。
 和解は、両当事者の陳述に基づき裁判所がその合意を確認し、調書に記載されることによって確定判決と同一の効力を生じる(267条)。


請求の放棄又は認諾

 請求の放棄とは、原告が請求の理由がないことを裁判所に対して自認する意思表示のことをいう。また、請求の認諾とは、被告が請求の理由があることを裁判所に対して自認する意思表示のことをいう。そして、当事者一方が裁判所に対して意思表示するのみで、訴訟を終了させる。なお、請求の一部について放棄又は認諾をすることができる。
 請求の放棄又は認諾は口頭弁論等の期日においてするが、放棄又は認諾をする旨の書面を提出した当事者が口頭弁論等の期日に出頭しないときは、その旨の陳述をしたものとみなすことができる(266条)。
 請求の放棄又は認諾を調書に記載したときは、確定判決と同一の効力を有する(267条)。


判決

 中間判決(245条)をした裁判所は、その判断を前提として終局判決をしなければならない。また、当事者は中間判決直前の口頭弁論終結時までに提出しえた攻撃防御手段を提出できなくなる。
 裁判所は、訴訟が裁判をするのに熟したときは終局判決をする。なお、一部について終局判決をすることもできる(243条)。 判決は、言渡しによってその効力を生ずる。
 言い渡しによって判決が成立すると、判決をした裁判所は、判決の撤回や変更をすることができない。ただし、所定の場合は、判決の更生・変更をすることができる(256条,257条)。
 判決が確定すると、当事者が上訴によって争えない状況になり、再審によってのみ不服を申し立てることができる(338条)。


既判力

 判決が確定すると、当事者は後訴で確定判決の判断に矛盾する主張・抗弁をすることができず、後訴裁判所も矛盾する判断をすることができない。これを既判力という。
 確定判決は、主文に包含するものに限り既判力を有する(114条)。つまり、事実審の最後の口頭弁論終結時における権利・法律関係についての判断に限られ、訴訟物たる権利・法律関係の存否についての判断に限られる。
 また、既判力は訴訟を追行した当事者などの所定の者にだけ作用する(115条)。


執行力

 給付判決が確定すると、主文に記載された給付請求権を民事執行手続きによって執行することができる。これを執行力という。
 執行力が及ぶ範囲は、原則として既判力が及ぶ範囲と同じであり、判決主文で確定された範囲、つまり、判決の基準時(事実審の最終口頭弁論終結時)における給付請求権の範囲である。また、既判力と同様に、執行力も訴訟を追行した当事者などの115条所定の者にだけ作用する。


仮執行宣言

 仮執行宣言とは、未確定の終局判決に、確定した場合と同等の執行力を付与する終局判決に付随する裁判のことをいう(259条)。仮執行宣言は、判決言い渡しにより判決確定前に執行力を生じさせる。なお、本案判決又は仮執行宣言が変更されるとその限度で失効し、原告は不当利得返還義務と損害賠償義務を負う。

形成力

 形成判決が確定すると、主文に記載された内容通りに新たな法律関係の発生、法律関係の変更・消滅が生じる。これを形成力という。
 形成力は、判決確定時に発生する。



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