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平成17年度弁理士試験論文式筆記試験問題[国際私法]

問題

 日本に住む日本人歌手Xは日本よりも甲国において人気を博していた。しかし、甲国に住むYがXに関する事実無根の噂を、甲国に存在するウェブ・サーバの記録装置に記録することにより、当該ウェブ・サーバからワールド・ワイド・ウェブの仕組みを通じて、インターネットにアクセスする者が任意に閲覧できるようにした。これにより、Xに関する事実無根の噂がマスコミで大きく取り上げられ、Xは日本及び甲国を含む各国で人気を失った。以上の事実を理由として、XがYに対してわが国裁判所において損害賠償を請求した場合、この請求にはいかなる法が適用されると解すべきかを論ぜよ。なお、本件請求について、わが国裁判所の国際裁判管轄は認められるものとせよ。


 他人の名誉又は信用を毀損する不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、被害者の常居所地法による(通則法19条)。名誉毀損という結果は複数の法域で発生することがあるので、複数の法域の法をそれぞれ適用するのでは処理が煩雑となるからである。また、多くの場合には、被害者の常居所地法でもっとも重大な損害が発生すると考えられ、加害者にとっても認識可能だからである。
 本問の場合、Yは、インターネットにアクセスする者がXに関する事実無根の噂を任意に閲覧できるようにした。これにより、Xが日本及び甲国を含む各国で人気を失ったことを理由とする損害賠償請求である。そのため、通則法19条に従い、本問の損害賠償請求には被害者であるXの常居所地法である日本国法が適用されると解する。
 なお、明らかにより適用すべき法の属する地よりも密接な関係がある他の地があるときは、当該他の地の法が準拠法となる(通則法20条)。しかし、本問の場合は、不法行為の当時において当事者であるXとYが法を同じくする地に常居所を有していた場合、又は当事者であるXとYの間の契約に基づく義務に違反して不法行為が行われた場合には該当しない。よって、通則法20条は適用されないと解する。

以上


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