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平成14年度弁理士試験論文式筆記試験問題[国際私法]

問題

 日本法人XとA国法人Yは、YのB国工場で製造した製品をXが購入し、Xがこれを日本において独占的に販売することを内容とする契約を締結することとした。そして、たまたま国際見本市が開催されていたC国に両者の代表が滞在することが判明したため、本件契約はC国において締結された。なお、当該製品はXの注文により日本市場の特性に合わせたものであり、契約書は日本語で作成されていたが、価格はアメリカ・ドルで表示されていた。
 本件契約締結の1年後、当該製品の事故により消費者が傷害を負うという事故が日本で発生し、それが報道されて販売は激減した。そこで、Xは本件契約を解除したいと考えている。Xが本件契約を解除できるか否かを判断する準拠法はどのように決定すべきか。


 Xが本件契約を解除することができるか否かを判断する準拠法は、原則として、当事者であるXとYとの意思により決定されると解する。契約は当事者の意思により形成される関係であるので、国内法上の契約における当事者自治の原則が、国際私法上の契約の準拠法指定においても認められるべきだからある。また、契約に関連する諸要素の中で、いずれか一つが他の要素に優越すると一般的に認めることができないので、当事者による準拠法選択の認める余地があるからである。
 よって、本件契約に準拠法が明示されている場合、明示された国の法律が当該契約の準拠法となる(通則法7条)。
 一方、本件契約に準拠法の明示が無い場合、契約に関する諸事情から当事者が黙示により準拠法を指定したと認められる場合には、黙示に指定された国の法律が当該契約の準拠法とすべきである。契約締結地が契約と関連性を有しない場合があるからである。
 本問の場合、契約が日本向けの製品についての契約であり、契約書が日本語で作成されている。従って、日本法を準拠法として指定するという当事者の黙示の意思があったと推定される。よって、日本国法が準拠法として適用される。
 なお、明示又は黙示による準拠法の指定が存在しない場合は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による(通則法8条1項)。そして、特徴的な給付を当事者の一方のみが行うものであるときは、その給付を行う当事者の常居所地法を当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定する(同2項)。ただし、他の法が最密接関係地法であるとされた場合には、推定が覆される。本問の場合、特徴的給付を行うのは売主であるYであるが、買主側のXの常居所地法である日本国法が最密接関係地法と解される。


以上


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