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平成13年度弁理士試験論文式筆記試験問題[国際私法]

問題T

 法人の機関の代表権の有無及び範囲の問題はいかなる法に依るべきか。

 法人の機関の代表権の有無及び範囲の問題は、原則として、法人の従属法によって解決されると解する。法人の人格は法律により付与されるものであるため、原則として、法人に関する問題は、法人に人格を付与した国の法律である法人の従属法を適用することによって解決すべきだからである。
 よって、原則として、法人の機関の代表権の有無及び範囲の問題は法人の従属法に依ると解する。
 但し、外国法人が内国において活動する場合に、全ての法人の従属法の適用により解決することには問題がある。外国法人の相手方は、外国法人の機関の権限について内国法人と同様に考えるのが通常であるので、外国法人の機関の権限が行為地法にはない従属法上の制限を受けている場合に、不測の損害を被る恐れがあるからである。よって、法人の従属法の適用については、行為地における取引安全の保護の観点から一定の制限が課される。
 具体的には、外国法人が会社設立の準拠法を登記している場合、当該法人の代表権の問題は、当該法人の従属法を適用して解決される。一方、登記がされていない場合、取引安全保護の要請から、当該外国法人の代表権の問題については、行為地法を適用して解決される(通則法4条2項類推適用)。

以上


問題U

 ともに甲国籍を有するX(妻)とY(夫)は乙国で婚姻生活を営んでいた。数年前にYは仕事の都合で来日したが、Xは家庭の事情により乙国に留まっている。最近、YからXへの送金が途絶えたので、Xは、日本の家庭裁判所に、Yに婚姻費用の分担を求める申立てをした。この申立てにつき適用される法律は何国法か。

 まず、婚姻費用の分担については、夫婦間の扶養義務という問題であるのか、夫婦財産費用の分担の問題であるのかが問題となる。
 その前提となる法律関係の性質決定は、国際私法自体によりなされるべきであると解する。国際私法は実質法と異なる目的、機能を有する独立した法体系であり、法律関係の性質決定も実質法に拘束されず、独自の国際私法の解釈により決定されるべきだからである。
 その上で、婚姻費用の分担の性質決定について検討すると、夫婦の経済生活を維持するという点では、婚姻費用の分担と夫婦間における扶養とは重複する場合が多いので、婚姻費用の分担の問題は、夫婦間における扶養義務の問題に含まれると解する。
 次に、婚姻費用の分担についての準拠法について検討すると、夫婦間の扶養義務は、夫婦という身分により生じるので婚姻の身分的効力に関する問題ともいえる。そこで、通則法の婚姻の身分的効力に関する規定に基づいて準拠法が指定されると考えることもできる。しかし、夫婦間の扶養義務については、通則法とは別に扶養義務の準拠法に関する法律が存在するので、この法律の規定に基づいて準拠法が指定される。原則として、扶養権利者の常居所地法が準拠法となる(扶養義務の準拠法に関する法律2条1項本文)。
 よって、本問の場合、扶養権利者であるXの常居所地法である乙国法が適用されると解する。
 但し、扶養権利者の常居所地法によって扶養権利者が、扶養義務者からの扶養を受けることができない場合には、夫婦の共通本国法が適用される(同項但書)。さらに、共通本国法によっても、扶養権利者が扶養を受ける事ができない場合には、日本法が適用される(同条2項)。

以上


オリジナルレジュメ



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