以下の内容はあくまで管理人の解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。もし、間違いに気付かれた方は、独学の弁理士講座掲示板、又は、メールにてご連絡下さい。
また、解説中「○○条解説参照」などとあるのは、本サイトで提供している
オリジナルレジュメの該当箇所を参照するという意味です。
H30年短答特実問01
特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面若しくは要約書の補正又は手続の補正に関し、次の(イ)〜(ホ)のうち、誤っているものの組合せは、どれか。
ただし、特に文中に示した場合を除いて、特許出願は、外国語書面出願、国際出願に係る特許出願、特許出願の分割に係る新たな特許出願、出願の変更に係る特許出願又は実用新案登録に基づく特許出願ではなく、取下げ、放棄又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、設定の登録がされておらず、いかなる補正もされておらず、いかなる優先権の主張も伴わず、文中に示した優先権の主張は取り下げられていないものとする。
また、以下において、「最後の拒絶理由通知」とは、特許法第17条の2第1項第3号に規定する「最後に受けた」拒絶理由通知をいうものとする。
1 (イ)と(ロ)
2 (イ)と(ホ)
3 (ロ)と(ハ)
4 (ハ)と(ニ)
5 (ニ)と(ホ)
枝1
(イ) 特許出願について、拒絶理由通知を受け、指定された期間の経過後に特許法第48条の7の規定による通知(文献公知発明に係る情報の記載についての通知)を受けた場合には、同条の規定により指定された期間内に限り、明細書、特許請求の範囲又は図面の補正をすることができる。
ただし、前記特許法第48条の7の規定による通知の後に拒絶理由通知を受けたり拒絶査定不服審判を請求することは考慮しないものとする。
解答
○ 特17条の2第1項第2号に記載の通り。拒絶理由通知を受けた後は願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の補正が制限されるが、特48条の7の規定による通知を受けた場合において、同条の規定により指定された期間内にするときは、補正をすることができる。
枝2
(ロ) パリ条約の同盟国の国民である甲は、パリ条約の同盟国において、特許請求の範囲に発明イが記載され、明細書及び図面に発明イ及びロが記載された最初の特許出願Aをし、その6月後、日本国において、出願Aに基づくパリ条約による優先権を主張して、明細書、特許請求の範囲及び図面に発明イのみが記載された特許出願Bをした。その後、甲が、出願Bについて、発明ロを明細書、特許請求の範囲及び図面に追加する補正を行った場合、当該補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件(いわゆる新規事項を追加する補正の禁止)を満たす。
解答
× 特17条の2第3項に記載の通り。願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内において補正しなければならないので、特17条の2第3項に規定する要件を満たさず、いわゆる新規事項を追加する補正に該当する。なお、優先権主張基礎出願に完全に記載されている事項は、明細書等補完書を提出して補完できる(特38条の4第9項)。
枝3
(ハ) 特許出願について、最後の拒絶理由通知を受け、指定された期間内に特許請求の範囲の減縮を目的とする補正をした場合において、その補正が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされ、特許法第17条の2第4項に規定する要件(いわゆる技術的特徴の異なる別発明への補正の禁止)を満たし、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であり、かつ補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであったとしても、当該補正が却下される場合がある。
解答
× 特53条1項に記載の通り。補正が却下される場合は、特17条の2第3項(いわゆる新規事項の追加)、同4項(いわゆるシフト補正)、同5項(いわゆる目的外補正)、及び同6項(いわゆる独立特許要件)の規定に違反しているときであるが、設問の事例はいずれの規定にも違反していないので却下されることはない。
枝4
(ニ) 特許出願の願書に添付した要約書については、特許出願人は、特許出願の日から1年4月以内であれば補正をすることができるが、出願公開の請求があった後は補正をすることができない。
解答
○ 特17条の3項解説参照。補正可能期間は特許出願の日(優先日)から1年4月であるが、出願公開の請求があった出願は出願公開の準備に入るため、該請求の後は要約書の補正が認められない。
枝5
(ホ) 特許庁長官は、不適法な手続であって、その補正をすることができないもの(特許法第38条の2第1項各号に該当する場合を除く。)について、その手続を却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明を記載した書面を提出する機会を与えなければならない。
解答
○ 特18条の2に記載の通り。特許庁長官は、不適法な手続であつて、その補正をすることができないものについては、その手続を却下するものとする。 ただし、特38条の2第1項各号に該当する場合は、この限りでない。また、却下しようとするときは、手続をした者に対し、その理由を通知し、相当の期間を指定して、弁明書を提出する機会を与えなければならない。
解説
(ロ)と(ハ)が誤っているので、3が正解。
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