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H20年短答試験問49
パリ条約のストックホルム改正条約(以下「パリ条約」という。)に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。
枝1
1 特許の対象である物の販売又は特許の対象である方法によって生産される物の販売が国内法令上の制限を受ける場合には、そのことを理由として特許を拒絶し又は無効とすることができる。
解答
× パリ4条の4に記載の通り。特許の対象である物の販売又は特許の対象である方法によつて生産される物の販売が国内法令上の制限を受けることを理由としては,特許を拒絶し又は無効とすることができない。
枝2
2 パリ条約における特許独立の原則は、同条約上の原則であるから、同条約の同盟国についてのみ適用され、同条約の同盟国でない世界貿易機関の加盟国はこの原則を遵守する義務はない。
解答
× TRIPS2条1項参照。世界貿易機関の加盟国はパリ条約1-12条を遵守するので、特許独立の原則(パリ4条の2)を遵守する義務がある。
枝3
3 パリ条約第4条の2及び属地主義の原則は、特許権の相互依存を否定し、各国の特許権が、その発生、変動、消滅に関して相互に独立であること、すなわち、特許権自体の存立が、他国の特許権の無効、消滅、存続期間等により影響を受けないということを定めるものであるから、我が国の特許権の特許権者が国外において譲渡した製品に関する、特許権者による我が国の国内での特許権の行使の可否は、専ら当該譲渡の行われた国の特許法によって判断されるべきである。
解答
× 最高裁H12 (受) 580号参照。特許権の効力の準拠法は、条理に基づいて、特許権と最も密接な関係がある国である特許権が登録された国の法律による。なぜなら、特許権は、国ごとに出願及び登録を経て権利として認められるものであり、特許権について属地主義の原則によれば、各国の特許権が、その成立、移転、効力等につき当該国の法律によって定められ、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められるとされており、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められる以上、当該特許権の保護が要求される国は、登録された国であることに照らせば、特許権と最も密接な関係があるのは、当該特許権が登録された国と解するのが相当だからである。よって、特許権者による我が国の国内での特許権の行使の可否は、専ら我が国の特許法によって判断されるべきである。
枝4
4 日本国の最高裁判所の判例によれば、パリ条約によって特許権について属地主義の原則が定められているから、外国特許権に関する私人間の紛争においては、当然日本国の特許法が適用され、準拠法の決定は不要である。
解答
× 最高裁H12 (受) 580号参照。特許権についての属地主義の原則とは、各国の特許権が、その成立、移転、効力等につき当該国の法律によって定められ、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められることを意味するものである(最高裁H7(オ)1988号参照)。すなわち、各国はその産業政策に基づき発明につきいかなる手続でいかなる効力を付与するかを各国の法律によって規律しており、我が国においては、我が国の特許権の効力は我が国の領域内においてのみ認められるにすぎない。しかし、このことから、外国特許権に関する私人間の紛争において、法例で規定する準拠法の決定が不要となるものではない。また、特許権の効力の準拠法は、条理に基づいて、特許権と最も密接な関係がある国である特許権が登録された国の法律による。
枝5
5 ある物の製造方法について特許が取得されている同盟国にその物が輸入された場合には、特許権者は、輸入国で製造された物に関して当該特許に基づきその国の法令によって与えられるすべての権利を、その輸入物に関して享有する。
解答
○ パリ5条の4に記載の通り。ある物の製造方法について特許が取得されている同盟国にその物が輸入された場合には、特許権者は、輸入国で製造された物に関して当該特許に基づきその国の法令によつて与えられるすべての権利を、その輸入物に関して享有する。
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