以下の内容はあくまで管理人の解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。もし、間違いに気付かれた方は、独学の弁理士講座掲示板、又は、メールにてご連絡下さい。
H20年短答試験問29
特許法に規定する審決取消訴訟に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。
枝1
1 審決取消訴訟において、特許無効審判の手続で審理判断されなかった公知事実との対比における無効原因は、審決を違法とする理由としてだけでなく、審決を適法とする理由としても、主張することができない。
解答
○ 特178条1項解説参照。審決取消訴訟においては、審判手続きにおいて審理判断されていない証拠に記載された発明との対比における無効原因の存否を認定して、審決の適法不適法を判断することは許されないので、主張することができない。
枝2
2 特許無効審判の審決取消訴訟において、特定の引用発明から当該特許発明を特許出願前に当業者が容易に発明することができたとはいえないとの理由により、審決の認定判断を誤りであるとしてこれが取り消されて確定した場合には、再度の審判手続に当該判決の拘束力が及ぶ結果、審判官は同一の引用発明から当該特許発明を特許出願前に当業者が容易に発明することができたと認定判断することは許されないので、再度の審決取消訴訟において、取消判決の拘束力に従ってされた再度の審決の認定判断を誤りである(同一の引用発明から当該特許発明を特許出願前に当業者が容易に発明をすることができた)として、これを裏付けるための新たな立証をし、更には裁判所がこれを採用して、取消判決の拘束力に従ってされた再度の審決を違法とすることは許されない。
解答
○ 最高裁S63 (行ツ) 10号参照。特定の引用例から容易に発明できないとの理由により審決取消が確定した場合、再度の審判手続には判決の拘束力が及ぶ。そのため審判官は、同一の引用例から容易に発明できたと認定判断することは許されない。従って、再度の審決取消訴訟において、取消判決の拘束力に従ってされた再度の審決の認定判断を誤りである(同一の引例から容易に発明できた)として、これを裏付けるための新たな立証をし、更には裁判所がこれを採用して、取消判決の拘束力に従ってされた再度の審決を違法とすることは許されない。
枝3
3 特許を受ける権利の共有者が、その共有に係る権利を目的とする特許出願の拒絶をすべき旨の査定を受けて共同で拒絶査定不服審判を請求し、請求が成り立たない旨の審決を受けた場合に、その共有者の提起する審決取消訴訟は、共有者が全員で提起することを要する。
解答
○ 特178条1項解説参照。共有者の一人が単独で審決取消訴訟を提起した場合、拒絶審決取消訴訟では、合一確定の要請を重視し(固有必要的共同訴訟)不適法とされるので、共有者が全員で提起することを要する。
枝4
4 特許権の共有者の1人は、共有に係る特許権についてその特許を無効にすべき旨の審決がされたときは、単独で当該審決の取消訴訟を提起することができる。
解答
○ 特178条1項解説参照。共有者の一人が単独で審決取消訴訟を提起した場合、無効審決取消訴訟では、権利の財産的価値を重視し、保存行為として適法とされるので、単独で提起することができる。
枝5
5 複数人が共同して特許無効審判を請求し、審判の請求は成り立たない旨の審決がされた場合、当該審決の取消しを求める訴えは、その特許無効審判の請求をした者の全員が共同して提起することを要する。
解答
× 最高裁H12.2.18参照。審決の取消しを求める訴えは、無効審判の請求をした者の全員が共同して提起することを要すると解すべき理由はないから、当該無効審判請求人の一部の者は単独で審決取消訴訟を提起することができる。
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