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H20年短答試験問20

 特許法第29条に規定する特許の要件及び第30条に規定する発明の新規性の喪失の例外に関し、次の(イ)〜 (ニ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
 ただし、特許出願は、外国語書面出願でも国際出願に係るものでも実用新案登録に基づく特許出願でも、分割又は変更に係るものでもなく、いかなる優先権の主張も伴わないものとする。


枝1

 (イ)甲は、「人の白内障の手術方法」である発明イについて特許出願Aをした。イが特許法第29条第1項各号に掲げる発明に該当せず、当業者がAの出願前に同法第29条第1項各号に掲げる発明に基づいて容易に発明をすることができたものでもない場合、Aは同法第29条の規定により拒絶されることはない。

 解答
 × 特29条1項解説又は審査基準参照。「人の白内障の手術方法」は、産業上利用することができる発明に該当しないとして、特29条1項柱書違反により拒絶される可能性がある。

枝2

 (ロ)甲は、2006年(平成18年)4月5日(水曜日)に自らした発明イについて大韓民国において特許出願Aをした。Aは2007年(平成19年)10月5日(金曜日)に同国で出願公開された。その後、甲は、平成19年10月25日(木曜日)にイについて、日本国において特許出願Bをした。この場合、甲は、イは大韓民国において公開特許公報に掲載されたことにより特許法第29条第1項第1号又は第3号に該当するに至った発明であるとして、Bに係るイについて発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けることができることがある。

 解答
 × 特30条解説参照。公開公報の発行による公知は、特許を受ける権利を有する者が自ら主体的に発表したものではなく、他人が発表することを容認するというような消極的な意思が存在するだけでなので、発表に該当しない。よって、新規性の喪失の例外の規定の適用を受けることはできない。なお、設問にある通り、特許出願Aはいかなる優先権の主張も伴わない。
 受験生を混乱させるためか、西暦と和暦の混用等をしているので個人的に嫌いな問題(笑)。

枝3

 (ハ)甲は、自らした発明イについて特許出願Aをしたが、Aの出願の日前に、大学の講義の中でイの内容を詳細に解説していた。当該講義に出席していた受講者は3人であった。この場合、Aは当該甲の講義により特許法第29条第1項各号のいずれかに掲げる発明であることを理由として拒絶されることがある。

 解答
 ○ 特29条1項1号解説参照。特29条1項1号の公然とは、秘密の範囲を脱した状態を意味し、少数の者のみが知っている場合であっても、守秘義務を有しない者である場合は公然知られたことになる。よって、3人であっても守秘義務が無ければ公知として拒絶されることがある。

枝4

 (ニ) 甲は、部品aと部品bの組合せからなる発明イを自ら発明して、日本国においてイについて特許出願Aをした。乙は、南アフリカ共和国において、部品aからなる発明ロを自ら発明した。ロは刊行物Xに掲載され、Xは同共和国の大学の図書室にAの出願の日前に収蔵され公衆に閲覧可能な状態になっていたが、Aの出願時までにXを閲覧した者はいなかった。Aの出願前において部品bは公知であり、当業者が、部品aを知っていればこれに部品bを組み合わせることを、Aの出願前において容易に想到することができ、イの奏する効果はロの奏する効果と比較して有利なものとはいえなかった場合でも、Aは特許法第29条の規定により拒絶されることはない。

 解答
 × 特29条1項3号解説又は審査基準参照。刊行物公知には、現実に誰かが見た事実又は現実に誰かがアクセスした事実は不要である。従って、閲覧した者がいなかったとしても、特29条2項の対象となるため拒絶され得る。なお、そもそも設問には、発明イや部品aが出願Aの出願前に新規であったという前提がなく、これらが出願前に公知であったならば当然拒絶され得る。


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