以下の内容はあくまで管理人の解釈であり、受験機関などの解答は参考にしておりません。また、その正確性を保証するものではありません。もし、間違いに気付かれた方は、独学の弁理士講座掲示板、又は、メールにてご連絡下さい。
H20年短答試験問10
特許権侵害訴訟に関し、次の(イ)〜 (ホ)のうち、正しいものは、いくつあるか。
枝1
(イ) 特許権者は、その特許権について地理的範囲をある地域に限定して専用実施権を設定してその登録がされた場合、その地域においては、当該特許権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その特許権に基づく差止請求権を行使することができない。
解答
× 特68条解説又は最高裁H16年(受)997号判決参照。専用実施権を設定した場合でも、特許権者は差し止め請求できる。
枝2
(ロ) 特許権侵害訴訟において、対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がないことは、当該対象製品等が、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものとされるための要件の一つである。
解答
○ 特70条解説又は最高裁H6(オ)1083号判決※ボールスプライン軸受事件参照。均等の範囲内と判断されるには、@置換部分が特許発明の本質的な部分ではなく、A置換しても特許発明の目的を達成でき、同一の作用効果を奏するものであり、B当業者が製造時に置換した対象製品等を容易に創造でき、C対象製品等が出願時の公知技術と同一又は容易に創造できたものではなく、D対象製品等が出願手続において意識的に除外されたものでないことが要件となるので、正しい。
枝3
(ハ) 特許権侵害訴訟において、当該特許が特許無効審判により無効にされるべきか否かが争われた場合に、審理を不当に遅延させることを目的として提出された攻撃又は防御の方法については、裁判所は、特許権者の申立てがなければ却下の決定をすることができない。
解答
× 特104条の3第2項参照。裁判所は、職権で却下の決定をすることもできる。
枝4
(ニ) 特許権者が故意又は過失により自己の特許権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、当該侵害者がその侵害の行為により受けた利益の額は、特許権者が受けた損害の額と推定されるが、特許権者は、自己が受けた損害の額が侵害者の受けた利益の額を上回っているときは、当該自己が受けた損害の額の賠償を請求することができる。
解答
○ 特102条2項参照。利益の額は損害の額と推定できるだけであるので、損害の額が侵害者の受けた利益の額を上回っていることを特許権者が証明できたときは、自己が受けた損害の額の賠償を請求することができる。
枝5
(ホ) 特許権侵害訴訟において、損害が生じたことが認められる場合において、当該損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときに限り、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。
解答
× 特105条の3解説参照。「事実の性質上」極めて困難である場合に適用があり、「損害の性質上」極めて困難とはいえない場合であっても、損害額を認定できる。
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