よろしければ、ご意見、ご質問等をこちらへお寄せ下さい
独学の弁理士講座掲示板

メールはこちら



当サイトは
 リンクフリーです。

All Rights Reserved.


弁理士試験の短答試験で得点すべき問題のアドバイス

 まず、得点すべき問題とはなんでしょうか?
 これは、ライバル、つまり他の受験生が正解する問題です。短答試験は、40点獲得すれば、すなわち40問正解すれば合格できると考えて良いと思います(一部の例外はありましたが)。ここで、効率を重要視して一部を運に頼るならば、35問を自力で正解し、残りの5問を勘で正解する(25分の5=5)というのが戦術になります。

 とすると、自ずから自力で正解すべき35問とは何かが分かります。それは、他の受験生が正解する35問、つまり、正答率が高い35問です。従って、正答率が高い35問が得点すべき問題といえます。

 つまり、他の受験生が正解する問題は、得点すべきである。そして、それは、正答率が高い35問である。ということです。以下、具体的に解説を行います。

 これを平成20年度短答試験で考えますと、正答率の高い問題とは、枝2,3,6-8,10,12,13,15-21,24,26,27,29,30-32,35-39,41,43,44,47,49,51-54,56,58の計38問となります(LEC短答リサーチから推測)。このうち、枝18,36,44は条約関連なので優先度が低くなります。よって、残りの35問が正解すべき問題となります。なお、枝12,19,54,58は著作権法ですので、特実意商に自信の無い人は著作権法の基礎も知っておく必要があります。

得点すべき過去問

問題文が短く且つ頻出の問題

 言うまでもありませんが、問題文が短く且つ頻出の問題は得点すべき問題です。問題文が短いということは、短時間で回答できるということですし、頻出の問題ということは、ほぼ全ての受験生が回答できるということです。そのため、これを落とすと致命傷になりかねません。

 このような問題を落とさないためには、過去問で頻出の問題は必ず解けるようにしておくということが重要です。当たり前のことですが、問題で答えを覚えるのではなく、何故そうなるのかといった理由まで覚えることがポイントです。これにより問い方が変わった場合でも、確実に正解することができます。

 具体例:平成20年の問2枝(イ)
 「一組のディナーセット」の組物の意匠について意匠登録出願をし、拒絶をすべき旨の査定の謄本が送達された後、拒絶査定不服審判を請求したとき、その意匠登録出願の一部を分割して「スープ皿」の意匠について意匠登録を受けることができる場合がある。
解説: 意匠登録出願の分割の時期については頻出であり、ひねったところはありません。また、「組物の意匠であっても、全体として統一がない場合は構成物品の一部を分割できる。」という点も頻出であり、ほぼ全ての受験生が回答できると思われます。


「常に」や「場合がある」を含む問題

 問題文の中にヒント的な文言が含まれる場合もあり、このような問題は落としたくないですね。特に頻出するのが、「常に」、「必ず」、「されることはない」又は「・・・場合がある(場合はない)」などの文言です。これは例外を疑うべき重要なヒントになりますので、「常に」や「場合がある」という文言があったら「常に」例外を検討しましょう

 このような問題を落とさないためには、原則と例外を対にして覚えるということが重要です。論文を書く上でも重要ですので、何故そうなるのかといった理由も含めて覚えてしまいましょう。

 具体例:平成20年の問7枝2と枝4との違い
枝2: 意匠登録出願Aに係る「携帯電話機」の操作ボタン部分の部分意匠イが、Aの出願の日前に出願された他人の意匠登録出願Bに係る「携帯電話機」の意匠ロの一部である操作ボタンと同一であるとき、Bについて拒絶をすべき旨の査定が確定したとき、イについて常に意匠登録を受けることができる。
解説: 先願が拒絶査定確定した場合、原則的には公報に掲載されないので意3条の2の対象にならない。しかし、協議不調によって拒絶査定確定した場合は、例外的に公報に掲載されるので、「常に」意匠登録を受けられるわけではない。なお、問題文本文には「意匠法第3条の2に関し」とあるので、他の拒絶理由については考慮しない。

枝4: 意匠登録出願Aに係る「自転車用ハンドル」の意匠イが、Aの出願の日前に出願され、Aの出願後に意匠公報に掲載された自己の意匠登録出願Bに係る「自転車」の意匠の一部であるハンドルと類似であったとしても、イについて意匠登録を受けることができる。
解説: 原後願と先願の出願人が同一であり且つ先願の意匠公報の発行日前に出願された場合は、意匠登録を受けることができる。ここで、例外を考えるならば、後願Aの査定時に出願人が異なる場合、意匠登録を受けられないこともあり得る。しかし、「常に」等の文言がないので、例外は考えない。


問題文が短い問題

 他と比較して問題文が極端に短い問題があります。このような問題は簡単且つ短時間で解ける場合が多いので、得点すべき問題といえるでしょう。特によくあるのが、意匠法上の物品について問う問題と、商標法上の商品について問う問題であり、いずれも過去問で頻出されています。このような問題を落とさないためには、過去出題された物品や商品について、該当or非該当を覚えることが重要です。なお、理由付けが困難な場合は、理由まで覚える必要はありません。

 具体例:平成20年の問32
 商標法上の商品に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。
枝1 電気、熱及びエネルギーそのものは、商標法上の商品ではない。
枝2 商品は流通性のあるものでなくてはならず、その場で消費される、料理店が提供する料理は、商標法上の商品ではない。
枝3 料理店で店頭において包装箱などに入れて継続的又は反復的に販売する料理は、商標法上の商品である。
枝4 運送業者が運送役務の提供に関連している段ボール箱そのものを役務提供とは独立して継続的又は反復的に販売し、営業する場合において、その段ボール箱は商標法上の商品である。
枝5 講座の教材として用いられることを予定した印刷物は、講座を離れ独立して取引の対象とされる場合があっても、商標法上の商品ではない。
解説: 商標法上の商品とは、商取引の目的たりうべきもの、特に動産をいい、主として有体物を意味する。よって、不動産、無体物(電気等)、流通性を有しないもの(店舗内で供するための料理等)などは商標法上の商品ではない。


常識的に解ける問題

 著作権法の問題の中には、常識的に考えれば問いを導き出せる問題があります。こういった問題は正解できた方が良いと言えるでしょう。このような問題を落とさないためには、条約及び著作権法についても、基本的事項や主な特徴については、一度は勉強しておくこと、及び、条約及び著作権法についても、一度は過去問をチェックすることが重要です。なお、勉強時間は限られていますので、過去問の解説を読んでも理解できないような問題は、深く考えずにスルーするのが大事です。

 具体例:平成20年の問54
 著作権に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。
枝1 工作機械が著作物とならない以上、工作機械の設計図も著作権では保護され ない。
枝2 ある県の県庁が作成した県民への広報用のパンフレットは、著作権で保護さ れることはない。
枝3 裁判において証拠として提出するために他人の論文を複写することは、その 論文に関する著作権の侵害となる。
枝4 他人の論文の一部を引用して激しく批判すると、その論文に関する著作権の 侵害となる。
枝5 他人の著作物に依存することなく、昔話「桃太郎」の新しい絵本を描いて出 版することは、誰でも自由にできる。
解説: 例えば文化庁著作権テキストを読んだ前提で検討すると、以下のようになります。
 まず、著作物には、設計図が含まれるので・・・枝1は×っぽい。また、パンフとは違うが、行政機関等の報告書ですら「転載禁止」の場合は転載できないので、・・・枝2も×っぽい。また、裁判手続きの内部資料としての複製や、引用は、例外的に利用できるらしいので、枝3,4も×っぽい。となると、枝5が○っぽいが、著作権の保護は創作の時から著作者の死後50年までなので、昔話「桃太郎」なら多分OKだろう・・・。
 という具合です。



オリジナルレジュメ



 参考書・基本書  試験対策・勉強法  改正・判例解説  短答試験  過去問  論文試験  選択科目  選択科目の免除  口述試験  転職  リンク  メールはこちら




 「独学の弁理士講座」TOPへ戻る
inserted by FC2 system