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実用新案法14条-15条

 初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
 以下、太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。

実用新案法14条(実用新案権の設定の登録)

第一項

 実用新案権は、設定の登録により発生する。

第二項

 実用新案登録出願があつたときは、その実用新案登録出願が放棄され、取り下げられ、又は却下された場合を除き、実用新案権の設定の登録をする。

 ・出願の瑕疵が補正命令(実2条の2第4項、実6条の2)によっても治癒せず、出願が却下(実2条の3,準特18条の2第1項,準特184条の5第3項)された場合、放棄又は取下げられた場合は、登録されない。

第三項

 前項の登録があつたときは、次に掲げる事項を実用新案公報に掲載しなければならない。

 ・考案の詳細な説明も掲載される。

第一号

 実用新案権者の氏名又は名称及び住所又は居所

第二号

 実用新案登録出願の番号及び年月日

第三号

 考案者の氏名及び住所又は居所

第四号

 願書に添付した明細書及び実用新案登録請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容

 ・H16年法改正によって全文掲載となった。明細書の考案の詳細な説明に対する訂正が可能となったことから、訂正の箇所を判別することができるようにするためである。

第五号

 願書に添付した要約書に記載した事項

第六号

 登録番号及び設定の登録の年月日

第七号

 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

第四項

 特許法第六十四条第三項 の規定は、前項の規定により同項第五号の要約書に記載した事項を実用新案公報に掲載する場合に準用する。

実用新案法14条の2(明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正)

第一項

 実用新案権者は、次に掲げる場合を除き、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正を一回に限りすることができる。

 ・実用新案では補正の機会が少ないため、また、請求項の削除のみでは第三者の攻撃に対する防御の余地がないため、訂正の許容範囲を拡大すべく、H16年に改正された。但し、第三者の監視負担を軽減するため、また、不当に広い権利範囲を有する出願を抑制するため、所定期間内且つ一回に限定される。なお、1号及び2号の制限に同時に該当する場合は、いずれか早く経過する期間が適用される。
 ・「訂正をすることができる」のであり、「訂正を請求することができる」のでは、ない。実案においては、実体審理を行うことなく、訂正を認めるからである。
 ・実案は無審査なので、要件不備であっても権利付与される。そのため、独立して登録を受け得るとの訂正要件は規定されておらず、基礎的要件を満たしている限りは、訂正が認められる。
 ・訂正により登録実用新案が変更された場合、訂正後の登録実用新案に係る評価書を提示して警告をした後でなければ、実用新案権を行使できない。なお、評価書の取得後に訂正書が提出された場合であっても、新たな評価請求をしない限り、訂正後の登録実用新案に係る評価書は作成されない。
 ・実案の訂正は無効審判とは独立しているので、無効審判の請求が取り下げられても効力を生じる。
 ・実案の訂正は無審理であるので、訂正時期に関わらず適式な訂正書が長官に受理された時点で効果が生じる。また、独立特許要件に対応する規定はない。
 ・無効審判の請求人に副本が送付される。
 ・適式な訂正書が提出されると訂正が認められるので、審理は行われない。よって、中断も認められない。


第一号

 第十三条第三項の規定による最初の実用新案技術評価書の謄本の送達があつた日から二月を経過したとき。

 ・実14条の2第1項の訂正は、請求項毎に実用新案登録又は実用新案権があるとみなされるわけでは無いので、一部の請求項について評価した場合であっても、評価されていない請求項についても訂正可能期間が制限される。
 ・不責事由に基づく延長及び遠隔地の延長が可能である。


第二号

 実用新案登録無効審判について、第三十九条第一項の規定により最初に指定された期間を経過したとき。

 ・審判請求に伴う答弁書提出期間内について規定している。

第二項

 前項の訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る。

第一号

 実用新案登録請求の範囲の減縮

第二号

 誤記の訂正

第三号

 明瞭でない記載の釈明

第四号

 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。

第三項

 第一項の訂正は、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面(前項第二号に掲げる事項を目的とする訂正の場合にあつては、願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面)に記載した事項の範囲内においてしなければならない。

第四項

 第一項の訂正は、実質上実用新案登録請求の範囲を拡張し、又は変更するものであつてはならない。

第五項

 特許法第四条 の規定は、第一項第一号に規定する期間に準用する。

 ・遠隔地の延長がある。

第六項

 第一項の訂正をする者がその責めに帰することができない理由により同項第一号に規定する期間を経過するまでにその訂正をすることができないときは、同号の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその訂正をすることができる。

第七項

 実用新案権者は、第一項の訂正をする場合のほか、請求項の削除を目的とするものに限り、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正をすることができる。ただし、実用新案登録無効審判が特許庁に係属している場合において第四十一条において準用する特許法第百五十六条第一項 の規定による通知があつた後(同条第三項の規定による審理の再開がされた場合にあつては、その後更に同条第一項 の規定による通知があつた後)は、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正をすることができない。

 ・審理終結通知後は再開されない限り訂正できない。時期的制限は、無効審判の迅速な処理を図るために設けられたからである。なお、相手方が答弁書を提出した後であっても、訂正できる。
 ・審決取消訴訟において訂正可能である。
 ・無効審判が特許庁に係属している場合において訂正があったときは、その副本を請求人に送達しなければならない。


第八項

 第一項及び前項の訂正は、実用新案権の消滅後においても、することができる。ただし、実用新案登録無効審判により無効にされた後は、この限りでない。

第九項

 第一項又は第七項の訂正をするには、訂正書を提出しなければならない。

 ・請求項の削除のみであっても訂正書の提出が必要である。

第十項

 第一項の訂正をするときは、訂正書に訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面を添付しなければならない。

 ・請求項の削除のみの訂正の場合は不要である。

第十一項

 第一項又は第七項の訂正があつたときは、その訂正後における明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面により実用新案登録出願及び実用新案権の設定の登録がされたものとみなす。

第十二項

 第一項又は第七項の訂正があつたときは、第一項の訂正にあつては訂正した明細書及び実用新案登録請求の範囲に記載した事項並びに図面の内容を、第七項の訂正にあつてはその旨を、実用新案公報に掲載しなければならない。

 ・本条7項の訂正の場合は、その旨のみが掲載される。

第十三項

 特許法第百二十七条 及び第百三十二条第三項 の規定は、第一項及び第七項の場合に準用する。

 ・特132条4項は、不準用である。実案の訂正は、その適否を審理する必要がなく、手続の中断という事態が生じないからである。

実用新案法14条の3(訂正に係る補正命令)

第一項

 特許庁長官は、訂正書(前条第一項の訂正に係るものに限る。)の提出があつた場合において、その訂正書に添付した訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の記載が次の各号のいずれかに該当するときは、相当の期間を指定して、その訂正書に添付した訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をすべきことを命ずることができる。

 ・独立して登録し得るとの要件は不要であるが、基礎的要件(実6条の2と同様)は必要とされる。例えば、「自動車」と「自動車のタイヤ」という考案を、「自動車のハンドル」と「自動車のタイヤ」とする訂正は、単一性違反として、補正命令の対象となる。

第一号

 その訂正書に添付した訂正した実用新案登録請求の範囲に記載されている事項により特定される考案が物品の形状、構造又は組合せに係るものでないとき。

第二号

 その訂正書に添付した訂正した実用新案登録請求の範囲に記載されている事項により特定される考案が第四条の規定により実用新案登録をすることができないものであるとき。

第三号

 その訂正書に添付した訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の記載が第五条第六項第四号又は第六条に規定する要件を満たしていないとき。

第四号

 その訂正書に添付した訂正した明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは図面に必要な事項が記載されておらず、又はその記載が著しく不明確であるとき。

実用新案法15条(存続期間)

 実用新案権の存続期間は、実用新案登録出願の日から十年をもつて終了する。

 ・実用新案法には延長登録がない。
 ・H16年法改正によって存続期間が10年になった。短い存続期間では訴訟継続中に権利が消滅してしまい、差止請求権の行使が困難となるためである。また、実際の製品のライフサイクルよりも存続期間が短かったためである。





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