実用新案法6条-8条
初学者の方は勉強を始める前に、特許庁HPで公開されている初心者向け知的財産権制度説明会のテキストを見て、知的財産権制度の概要を勉強して下さい。なお、地域におけるサービスに関する項目と、様式及び参考に関する項目は、読まなくとも結構です。
以下、
太字部が条文になります。小文字部が条文以外の暗記項目です。
実用新案法6条
二以上の考案については、経済産業省令で定める技術的関係を有することにより考案の単一性の要件を満たす一群の考案に該当するときは、一の願書で実用新案登録出願をすることができる。
・物とその物を生産する器具等は、一の願書で出願できる。
・二以上の考案が同一の特別な技術的特徴を有している場合には、単一性の要件を満たす。また、特定の関係にある場合の類型として、「物とその物を生産する機械、器具、装置、その他の物」が挙げられる。
実用新案法6条の2(補正命令)
第一項
特許庁長官は、実用新案登録出願が次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面について補正をすべきことを命ずることができる。
・登録主義を採用しているため、登録を受けるに足る基礎的要件を満たす必要があるからである。なお、手続が煩雑となることを防止するため、審査官ではなく特許庁長官が審査する。
・無審査なので、新規事項の追加は補正命令の対象とはならない。
・他の請求項を引用して記載した請求項が引用される請求項よりも前に記載されている場合は、補正命令の対象となる。
第一号
その実用新案登録出願に係る考案が物品の形状、構造又は組合せに係るものでないとき。
・例えば、方法の考案である場合が該当する。
第二号
その実用新案登録出願に係る考案が第四条の規定により実用新案登録をすることができないものであるとき。
第三号
その実用新案登録出願が第五条第六項第四号又は前条に規定する要件を満たしていないとき。
・請求項毎に発明特定事項が記載されていない場合、実用新案登録を受けようとする考案が考案の詳細な説明に記載したものでない場合、実用新案登録を受けようとする考案が明確でない場合、請求項ごとの記載が簡潔ででない場合は、補正命令の対象とはならない。
第四号
その実用新案登録出願の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは図面に必要な事項が記載されておらず、又はその記載が著しく不明確であるとき。
・実用新案登録請求の範囲に技術的事項が記載されていない場合は、補正命令の対象となる。例えば、実用新案登録請求の範囲に「関東全域」と記載されているような場合である。
・請求項に販売地域、販売先等の技術的事項でない事項のみが記載されている場合、請求項に考案の目的、作用、効果のみが記載されている場合は、本号(必要な事項が記載されていない)に該当する。
・請求項の記載内容が技術的に理解できない場合、請求項の記載が詳細な説明又は図面の記載で代用されている場合、2以上の考案が1の請求項に記載されている場合、図面の添付がない場合は、本号(記載が著しく不明確)に該当する。
実用新案法7条(先願)
第一項
同一の考案について異なつた日に二以上の実用新案登録出願があつたときは、最先の実用新案登録出願人のみがその考案について実用新案登録を受けることができる。
・同一の考案又は発明について同日に二以上の特許出願及び実用新案登録出願があったときは、協議命令が行われる。協議が不成立の場合は、いずれも拒絶又は無効理由が生じるが、特許出願について補正がなされるか実用新案登録出願について請求項を削除する訂正が行われれば拒絶理由等が消滅する。
第二項
同一の考案について同日に二以上の実用新案登録出願があつたときは、いずれも、その考案について実用新案登録を受けることができない。
・いずれか一方が訂正されれば、遡及的に無効理由が解消する。
・無審査なので協議命令は出されず、そのまま登録されるが、無効理由を有することとなる。
第三項
実用新案登録出願に係る考案と特許出願に係る発明とが同一である場合において、その実用新案登録出願及び特許出願が異なつた日にされたものであるときは、実用新案登録出願人は、特許出願人より先に出願をした場合にのみその考案について実用新案登録を受けることができる。
第四項
実用新案登録出願又は特許出願が放棄され、取り下げられ、又は却下されたときは、その実用新案登録出願又は特許出願は、前三項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。
・実用新案は無審査なので、特許法とは異なり拒絶の場合は規定されていない。
第五項
特許出願について拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、その特許出願は、第三項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その特許出願について特許法第三十九条第二項 後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。
第六項
特許法第三十九条第四項 の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、実用新案登録出願人は、その考案について実用新案登録を受けることができない。
実用新案法8条(実用新案登録出願等に基づく優先権主張)
第一項
実用新案登録を受けようとする者は、次に掲げる場合を除き、その実用新案登録出願に係る考案について、その者が実用新案登録又は特許を受ける権利を有する実用新案登録出願又は特許出願であつて先にされたもの(以下「先の出願」という。)の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面(先の出願が特許法第三十六条の二第二項 の外国語書面出願である場合にあつては、同条第一項 の外国語書面)に記載された考案に基づいて優先権を主張することができる。ただし、先の出願について仮専用実施権を有する者があるときは、その実用新案登録出願の際に、その承諾を得ている場合に限る。
・先の出願がみなし取下げとなると先の出願に係る仮専用実施権と仮通常実施権は消滅するため、仮専用実施権者又は仮通常実施権者が不利益を受ける。そこで、H20年改正により、仮専用実施権者又は仮通常実施権者の承諾がなければ、当該先の出願に基づく国内優先権の主張はできないこととした。
第一号
その実用新案登録出願が先の出願の日から一年以内にされたものでない場合
第二号
先の出願が第十一条第一項において準用する特許法第四十四条第一項 の規定による実用新案登録出願の分割に係る新たな実用新案登録出願若しくは第十条第一項 若しくは第二項 の規定による出願の変更に係る実用新案登録出願又は同法第四十四条第一項 の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、同法第四十六条第一項 若しくは第二項 の規定による出願の変更に係る特許出願若しくは同法第四十六条の二第一項 の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合
第三号
先の出願が、その実用新案登録出願の際に、放棄され、取り下げられ、又は却下されている場合
第四号
先の出願について、その実用新案登録出願の際に、査定又は審決が確定している場合
第五号
先の出願について、その実用新案登録出願の際に、第十四条第二項に規定する設定の登録がされている場合
第二項
前項の規定による優先権の主張を伴う実用新案登録出願に係る考案のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面(当該先の出願が特許法第三十六条の二第二項 の外国語書面出願である場合にあつては、同条第一項 の外国語書面)に記載された考案(当該先の出願が前項若しくは同法第四十一条第一項 の規定による優先権の主張又は同法第四十三条第一項 若しくは第四十三条の二第一項 若しくは第二項 (第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された考案を除く。)についての第三条、第三条の二本文、前条第一項から第三項まで、第十一条第一項において準用する同法第三十条第一項及び第二項、第十七条、第二十六条において準用する同法第六十九条第二項第二号 、同法第七十九条 、同法第八十一条 及び同法第八十二条第一項 並びに同法第三十九条第三項 及び第四項 並びに第七十二条 、意匠法 (昭和三十四年法律第百二十五号)第二十六条 、第三十一条第二項及び第三十二条第二項並びに商標法 (昭和三十四年法律第百二十七号)第二十九条 並びに第三十三条の二第三項 及び第三十三条の三第三項 (同法第六十八条第三項 において準用する場合を含む。)の規定の適用については、当該実用新案登録出願は、当該先の出願の時にされたものとみなす。
・後の出願日を基準に新規性喪失の例外適用が可能である。
第三項
第一項の規定による優先権の主張を伴う実用新案登録出願の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面に記載された考案のうち、当該優先権の主張の基礎とされた先の出願の願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面(当該先の出願が特許法第三十六条の二第二項 の外国語書面出願である場合にあつては、同条第一項 の外国語書面)に記載された考案(当該先の出願が第一項若しくは同法第四十一条第一項 の規定による優先権の主張又は同法第四十三条第一項 若しくは第四十三条の二第一項 若しくは第二項 (第十一条第一項において準用する場合を含む。)の規定による優先権の主張を伴う出願である場合には、当該先の出願についての優先権の主張の基礎とされた出願に係る出願の際の書類(明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面に相当するものに限る。)に記載された考案を除く。)については、当該実用新案登録出願について実用新案掲載公報の発行がされた時に当該先の出願について実用新案掲載公報の発行又は出願公開がされたものとみなして、第三条の二本文又は同法第二十九条の二 本文の規定を適用する。
・先の出願が優先権主張を含むものである場合も、公開擬制される。
第四項
第一項の規定による優先権を主張しようとする者は、その旨及び先の出願の表示を記載した書面を実用新案登録出願と同時に特許庁長官に提出しなければならない。
参考書・基本書
試験対策・勉強法
改正・判例解説
短答試験
過去問
論文試験
選択科目
選択科目の免除
口述試験
転職
リンク
メールはこちら
「独学の弁理士講座」TOPへ戻る